1.念押しの「ねぇってば!」

野生下の猫は、もともとあまり鳴きません。安易に鳴いてしまうと、敵やライバルに居場所が知られ、命の危険が高まるからです。
一方で、飼い猫は、人間と暮らすようになってから、自分の要求を伝えるため、鳴くようになりました。たとえば、お腹が空いたときに「ニャー!」と鳴けば、飼い主さんが美味しいゴハンをすぐに用意してくれます。
つまり、猫が鳴くようになったのは、鳴く=良いことが起こる、と学習した結果です。鳴き声は、猫にとって、今や願いを叶えるための重要な表現手段になっています。
いつもより長めで、なおかつ、トーンが高い鳴き声は、ゴハンが欲しい、遊んで欲しい、かまって欲しいなどの要求を訴えています。人間風に言えば、「○○してよ!ねぇってば!」といった念押しに近い気持ちかもしれません。
トイレの前で愛猫が飼い主さんの顔を見上げながら、「ニャーーーーン!」と鳴いていれば、おそらく、トイレに何かしらの問題が発生している証拠です。すかさずトイレをチェックして、快適に使えるようにメンテナンスしてあげてください。
2.不安とストレスを訴えている

2つ目は、不安やストレスを訴えかけている気持ちです。
猫は環境の変化に敏感で、引越しだけでなく、家具のレイアウトが変わっただけでも、ストレスを感じることがあります。
「ニャーーーン!」と長めに鳴くのは、いつもと違う状況に、「安心できるおうちじゃない!」と愛猫なりに違和感を感じているせいかもしれません。
また、飼い主さんの長時間の留守時にも、「ニャーーーーン!」と鳴く場合があります。普段から飼い主さんにベッタリな甘えん坊猫ほど、まるで助けを求めるかのごとく、切なげに鳴きます。
不安やストレス状態に陥ったときの鳴き声は、声のボリュームが大きく長めで、トーンがやや下がりがちです。
ちなみに、低く唸るような「ニャーーーン!」は威嚇のサインで、たとえば、窓越しに外猫を見つけたときなどに表れやすくなっています。
3.発情期を迎えている

最後の3つ目は、発情期ゆえの鳴き声です。
去勢・避妊手術がまだ済んでいない猫は、日照時間が長くなる春から秋にかけて、繁殖期を迎えます。猫の性成熟(繁殖が可能になる)は、生後約6~10か月後ぐらいです。
繁殖期になると、雌、雄、両方で鳴き声がひときわ大きくなります。とりわけ、雌の鳴き声は強烈で、通常時よりも甲高く、しかも、繰り返し鳴きます。場合によっては、ひと晩中鳴きっぱなしもあるほどです。
発情期の声を正確に表現するのは難しいですが、「ニャーーーン!」をベースに、「ンニャーーォーン!」や「アオーーン!」といった鳴き方に変わります。
みなさんの愛猫が、未去勢・未避妊手術で、要求鳴きやストレス以外の理由で長く鳴いている場合は、繁殖期に突入した影響かもしれません。
繁殖期を迎えた雌猫の行動の特徴としては、執拗に身体をこすりつけたり、腰を高く持ち上げたり(ロードシスのポーズ)などが挙げられます。雄猫の場合は、大きな声を上げるほか、ソワソワしたり、スプレー行動に出たりします。
猫の発情期の鳴き声は、近所トラブルになる可能性もあります。もし繁殖を予定していなければ、愛猫の健康面も考慮したうえで、去勢・避妊手術を検討してみるのもひとつの対策です。
まとめ

今回は、猫がどんなときに「ニャーーーン!」と鳴くのか、その気持ちについて解説しました。
可能性としては、「要求の念押し」、「不安やストレスの表れ」、「発情期」、この3つが考えられます。
猫の鳴き声は、飼い主さんとの大事なコミュニケーション手段です。文脈や置かれた状況などをもとに、愛猫の真意を冷静に判断してみてください。
鳴き声に込めた気持ちをわかってもらえると、愛猫もうれしくなり、ますます飼い主さんのことが好きになるはずです。