猫のフェロモンの役割
猫の嗅覚は犬の嗅覚に劣るもののフェロモンを感知する能力は猫の方が優れています。
これは猫達がフェロモンや臭い匂いを感じ取る受容体が犬の3倍も発達していることが理由とされます。では何故、猫達はフェロモンを感じ取ることが必要なのでしょうか?。猫達のフェロモンの役割を見ていきましょう。
フェロモンで猫はオスかメスかを判断する
フェロモンとは猫の体から分泌されるもののため、猫が縄張りに生きる上で必要な様々な情報を相手に伝える役割があります。例えば、夜の暗闇の中でも猫達は近くにいる猫のフェロモンを嗅ぎ取り、フェロモンの匂いから相手がオスかメスかを判断することが出来ます。
相手の猫の状態をフェロモンで知る
また猫は嗅いだフェロモンから相手が発情しているか、病気を持っているかなども嗅ぎ分けることが出来るとされています。
このため猫の体から分泌されるフェロモンは、猫達が生きて行く上で欠かせない情報を匂いに乗せて相手に伝えるコミュニケーション手段です。
猫が分泌するフェロモンの3つの特徴
フェロモンの役割は分かりましたが、次は猫の体のどの部分からフェロモンが分泌されているのか詳しく知りたいですね。まずフェロモンの特徴ですが、フェロモンには幾つかの種類があります。
そのフェロモンの種類は猫の感情や場面によって変化するとされています。ではフェロモンが分泌される体の部分と種類をご紹介します。
顔のまわりから分泌されるフェロモン
猫を安心させる効果のあるフェロモン
猫の顔のまわりや、尻尾の付け根から分泌される「フェイシャルフェロモン」と呼ばれるフェロモンは別名「安寧フェロモン」と呼ばれます。このフェロモンは名前の通り猫を安心させる効果のあるフェロモンです。
このため猫が顔を擦りつける行動は、このフェイシャルフェロモンの匂いを付けて自分の縄張りを「安心できる場所」とマーキングしています。飼い主の方の手に顔を擦り付けるのも猫が安心している証拠で、このフェロモンが分泌されているといいます。
足裏、肛門から分泌されるフェロモン
警戒フェロモン
足裏や肛門から分泌されるフェロモンは、猫が主に危険を感じて警戒したりした時に分泌されるフェロモンのため「警戒フェロモン」とも呼ばれています。人間で例えると冷や汗などにあたるものですね。
興奮した時に出るフェロモン
また、人間が興奮し過ぎると汗をかくように猫も甘え過ぎて「嬉しい!」と興奮した時にもこの警戒フェロモンが足裏や肛門から分泌されるとされています。
尿に含まれている分泌フェロモン
性フェロモン
猫が発情期を迎えた時に尿に含まれる分泌フェロモンを「性フェロモン」と呼ばれます。このフェロモンはスプレーのような尿から排出されており、このフェロモンの匂いによって発情した猫がどこにいるのかを猫達は察知しています。
オス猫がメス猫の性フェロモンを嗅ぐことでオス猫の発情のきっかけになるなど、猫達の繁殖に役立つフェロモンと言えます。
スプレー行為は性フェロモンとは関係ない
猫達が発情期を迎えた時にスプレー状の尿から「性フェロモン」を排出しますが、家の中で尿のマーキングをあちこちにしてしまうのは性フェロモンではなくストレスのサインとも考えられます。飼い主の皆さんは猫のストレスの原因が何かを探して改善してあげることが大切です。
猫がフェロモンを感知する器官
猫がフェロモンを嗅ぎ分けると言われる器官が、猫の口の中にある第二の鼻「ヤコブソン器官」です。このヤコブソン器官から、猫達はフェロモンを嗅ぎ取り相手の情報を受け取ると言われています。
これは最近の研究で発表されたものですが、ヤコブソン器官に障害を持つと猫達は相手の情報を受け取ることが出来なくなるため、猫は酷く攻撃的なる判明しました。
つまり、フェロモンを嗅ぎ取る「ヤコブソン器官」は猫にとって重要な役割を持つ器官と言えるんですね。
そして、猫がヤコブソン器官でフェロモン感じ取った時に起こす「フレーメン反応」という、猫が半開きにして驚いた顔で固まるという反応があります。
この口を半開きにした驚いたようにも見える猫の反応は、口の中にあるヤコブソン器官にフェロモンの匂いの粒子を多く流し込むための表情と考えられています。
まとめ
猫のフェロモンには猫達が生きて行く上で必要な情報を相手に伝える役割があるコミュニケーション手段であり、その情報を受け取る器官であるヤコブソン器官は猫には重要な役割を持つ器官と言えます。また猫達のフェロモンには用途に合わせて、分泌する部分が違うと言うことですね。