愛猫が『運動不足』になっているサイン6選 動きたがらない猫の対処法も

愛猫が『運動不足』になっているサイン6選 動きたがらない猫の対処法も

頑として動こうとしない猫に、無駄なイタズラが多い猫。もしかすると、運動が足りていないのかも。今回は、愛猫が『運動不足』になっているかもしれないサインと対処法を徹底解説致します!

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

『運動不足』を疑うべき6つのサイン

だらける猫

最近、愛猫がダラダラしがち。子猫時代の活発さはどこへ行ってしまったのやら。もしかしたらそれは、『運動不足』の始まりかもしれません。

ここでは、運動量が足りない猫に見られるサインを6つ紹介いたします。

あわせて効率よく動いてもらうための対処法も解説していくので、参考にしてみてください。

1.筋力の低下

寝転がる猫

運動不足を疑うべきサインの1つ目は、『筋力の低下』です。せっかく備わっている筋肉も、使われなければ退化してしまいます。

ここで厄介なのは、筋肉が衰えてくると動くことが億劫になってしまうことです。日頃寝てばかりいることで筋肉量が減り、さらに動きが鈍くなる。そして最終的には少しの移動で疲れ果て、ますます動かなくなるという悪循環に陥ります。

2.肥満になる

ぽっちゃり猫

2つ目のサインは『肥満』です。正しく使われなくなった筋肉はやがて脂肪に置き換わり、肥満の材料となります。

加えて毎日のようにおやつをねだっては貰い、食事も豪快に食べるという食習慣が続けば、さらに脂肪を育てるようなもの。

ゆくゆくは本格的な肥満へと移行してしまうでしょう。すでに"お耳が痛い話"と危機感を覚えた飼い主さんは、『猫のボディコンディションスコア(BCS)』を元に愛猫の肥満度をチェックしてみましょう。

(BCSには5段階と9段階で表示する2タイプがありますが、ここでは5段階評価を採用しています)

理想の体型はBCS3で、体に触れた時のみあばら骨がわかるというもの。外見からもくっきり肋骨の位置がわかるものは『痩せ(BCS2以下)』で、逆に触れてもあばら骨の位置が認識できないものは『肥満(BCS4〜5)』になります。

肥満は万病の元です。糖尿病や心臓病、これらに付随する高血圧などを引き起こす恐れがあります。

3.便秘になる

トイレ中の猫

3つ目のサインは『便秘』です。運動不足と便秘には密接な関わりがあり、その鍵を握るのは筋肉です。

筋力の低下は、排便に必要な"力み"をも奪ってしまいます。かろうじて便は生成されるものの、踏ん張れないがために蓄積されてしまう恐れが出てくるのです。

猫は1日平均1回〜2回排便があります。これが3日に1回のペースになった場合は要注意、5日に1回になってしまったら本格的な便秘と捉えましょう。

ここまで紹介してきたどの状態においてもいえることなのですが、気になる活動量の低下・ぽっちゃり体型・便秘が目立って来た際は一度診察を受けるようにしてください。

まずは重大な病気の可能性をしっかり否定してもらうことが重要です。そのうえで獣医さんのアドバイスの元、安全なダイエットや運動療法を実行してください。

猫の場合は体重1kgの増減が、人間に換算すると10kgに相当すると覚えておくと良いですね。極端に増えることも減ることも危険ということです。

4.猫同士の揉め事が増える

睨み合う猫

多頭飼育のご家庭では、運動不足が原因で猫同士の揉め事が増えることがあります。そう、4つ目のサインは『ストレス』です。

特に子猫や若い猫は、まだまだエネルギッシュなので退屈になるとイライラしてしまいます。若い猫同士の同居の場合は思う存分走り回れるスペースを作り、時々運動会をさせてあげると良いでしょう。

同居猫が高齢の場合は、飼い主さんの積極的な関与が要になります。じゃらし系のおもちゃや、蹴りぐるみにマタタビを塗るなどの工夫をして、若い猫の運動量を増やしてあげましょう。

5.余計なイタズラや真空行動が増える

イタズラする猫

4つ目と同様の理由から、余計なイタズラや真空行動が目立つようになることがあります。5つ目は言うなれば『有り余ったエネルギーの発散』です。

真空行動とは、何も刺激がない中で突如猛スピードで走り回る行動です。特に若い猫にありがちな行動で、時間帯によっては下の階の住人に迷惑をかけてしまう恐れがあります。

やはり適宜一緒に遊んであげることも大切ですし、キャットタワーによる上下運動が効果的です。タワーに関しては、60cm程度の低いものであればシニア猫の運動不足の解消にも繋がります。

6.無気力になる

やる気が起きない猫

運動不足のサインとして最も深刻なのは『無気力』です。これは退屈やストレスの過程を通り越し、完全にやる気を失ってしまう状態です。

肥満や便秘などの体の病気もさることながら、うつ状態に似た精神面の問題も心配になる事案です。

これを防ぐ手立てとしても、やはりキャットタワーの導入は有効です。猫にとって高い場所は、安らぎの場となること・適度な運動になること・脳への刺激など、メリットがたくさん。

住宅事情や経済的な事情でタワーが設置できない場合は、家具の配置を工夫して登って遊べる空間を生み出してみてください。

全く動かない猫に対しては、『おやつ』を使った運動が良いかもしれませんね。まずは一口食べさせて、その後はおやつで気を引きながら後ずさりをします。愛猫が辿り着いたら再び一口あげて、さらに遠ざかる、という動作を繰り返します。

"体を動かすと良いことがある"と刷り込ませ、毎日のイベントのように楽しんでみてはいかがでしょう。

シニア猫の場合は、あえてトイレと食事場、水飲み場などの位置を離すだけでも運動になります。移動の際は歩き方をよく見てあげてください。関節の動きが硬いと感じたら、一度獣医さんに相談するようにしましょう。

これは年齢を問わずですが、何らかの要因で関節炎を患っていると痛みから動けなくなっているという可能性が考えられます。どんな刺激にも無反応な場合はまず、無理強せずに診察を受けてみることが大切です。

まとめ

遊ぶ猫

今や、完全室内飼育の猫の平均寿命はおよそ16歳。毎日健やかに楽しく過ごしてもらうためには、適度な運動と適切な食事、飼い主さんとのコミュニケーションが重要になります。

中でも今回のテーマである『運動不足』は、様々なトラブルの引き金になります。小さなサインを見逃さず、日頃からよく動くように仕向けましょう。

猫は元々短期集中型の動物です。まずは毎日5分程度歩かせたり、上下運動をしてもらう習慣を取り入れてみてください。

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