猫が『ビニール』をかじりたくなるのは、なぜ?考えられる4つの理由 やめさせたほうがいい理由も

猫が『ビニール』をかじりたくなるのは、なぜ?考えられる4つの理由 やめさせたほうがいい理由も

どうして猫は『ビニール』をかじりたくなるの?ただ遊びたいだけ?その理由や危険性、やめさせる方法など徹底解説いたします!

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

猫が『ビニール』をかじりたくなる理由4つ!

ビニールに入る猫

猫は好奇心旺盛な生き物。特に子猫や若い猫は何にでも興味を持つ時期です。

そんな遊び盛りの猫が『ビニール』をかじろうとするケースは多く、ヒヤッとした経験のある飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

なぜ通常のおもちゃではなくビニールに執着してしまうのか。今回は4つの理由と共に、その危険性について解説いたします。

1.ワクワクするから

獲物を見つめる猫

“カサカサ”と音の出るビニールは獲物を連想させる音。つまり、音が出ている物にはネズミなどの獲物がいるのではないかと期待し、ワクワクします。

また、猫はもともと狩猟本能が強い動物です。音の正体を突き止めようと目を輝かせながら集中し、遊び心もくすぐられるため、ビニール袋に夢中になります。

2.肉を引き裂こうとする

おもちゃを銜える猫

完全に狩りのスイッチが入った猫は興奮し、相手がビニールでも容赦なく仕留めに入ります。

“かじる”という行動の裏には『肉を引き裂く』という連想があり、まさに獲物を分解している気分を味わっているのです。

とはいえビニールは、本来口にする食品ではありません。誤って飲み込んでしまうと気道を塞ぎ、窒息する恐れがあります。

また、ビニール片が胃腸に到達することも非常に危険です。飲み込んだ量が多かったり、裂けて長い形状になったりした場合は腸閉塞を引き起こす可能性があります。

腸閉塞を起こさなくとも、異物を取り込んだことで胃腸粘膜に炎症を起こすことも。十二指腸付近に異物が停滞した場合は急性膵炎のリスクもあり、最悪の場合は命を落とす可能性すらありえます。

このような悲しい事故を防ぐには、日頃から誤飲のリスクが少ないおもちゃで遊ばせる習慣を身につけさせることが大切です。もちろんビニールを放置しないことも重要です。

3.飼い主さんの気を引きたい

寝転ぶ子猫

ダメだと理解しつつも、敢えてビニールに噛み付く場合は気を引こうとしている可能性があります。

忙しさにかまけて愛猫を放任していませんか?毎日ほんの数分で構わないので、一緒に遊んだりスキンシップを取ってあげましょう。

イタズラをし始めてからそれを止めるために遊ぶと、余計に気を引くためのイタズラをしてしまうので、「イタズラをする前に遊ぶ」ことが大切です。

猫の様子を日頃からよく観察し、こちらを気にしていたり、おもちゃなどをちょんちょんと触り始めたり、そろそろ遊びたそうだな、と感じたら飼い主自ら遊びに誘ってみましょう。

悪さをせずとも気持ちが伝わることがわかれば、危険な行動をしなくなるものです。

4.様々な理由から『異食』をしている

舌なめずりをする猫

単に気を引こうとするばかりではなく、『異食症(異嗜)』の方向性も疑うようにしてください。

例えば、栄養が不足している・空腹状態が長い・異物を吐き出そうとしている・寄生虫感染がある・内臓やホルモンの病気などの理由から、食べ物ではないビニールをかじってしまうことがあり、実際に飲み込んでしまう恐れがあります。

異物を飲み込む頻度が高い場合、まずは異食を引き起こす病気がないかを動物病院で検査してもらいましょう。

異食行動への対処法としては、飲み込む可能性のあるものを生活環境から完全に排除する、適切なフードの摂取量を見直す、ストレスを溜めないように遊ぶ、猫の望む程度のスキンシップをとる、必要な場合は自動給餌器や置き餌を上手く活用する、他の異物を飲み込んでいないか毎日確認するなどが有効です。

なお、明らかに異物を飲んでいる場合や不明な場合、毛球症などが疑わしい場合はすぐに診察を受けてください。

嘔吐と食欲不振といった症状がすでに出ている場合は、緊急性が高い可能性があるので様子を見ずに動物病院を受診しましょう。

まとめ

じゃれる猫

今まで一度も狩りをした経験がない猫にも狩猟本能は備わっています。基本的にビニールはネズミなどの獲物、正確には獲物が動く音や隠れている音を連想させるものです。

特に食べ盛り、遊び盛りの猫は遊びの延長からビニールに興味を持ちやすく、誤飲のリスクも高まります。

異物を飲み込むということはそれ自体が危険です。加えてビニールの場合はその性質上、特に窒息を招く恐れがあります。遊びだした時点で安全なおもちゃで気を引き、取り上げるようにしてください。

ただし、「イタズラをすれば遊んでもらえる」と学習すると逆にイタズラを助長する可能性があるので、同じ状況を繰り返さないよう気をつけましょう。

万が一口に入れてしまった場合は、口腔内にあるものは口を開いて取り出すようにしましょう。窒息はしていないけれど飲み込んでしまったという場合には、催吐剤を用いた処置が必要になります。必ず動物病院に連れて行ってください。

飲み込んでから時間が経つと吐かせることもできなくなるので、発覚したらすぐに病院へ向かいましょう。

日頃からビニールはもちろんのこと、危険物は猫の手が届かない場所で保管するようにしてください。また最悪の状況を想定し、夜間対応の動物病院の連絡先や場所を把握しておくことも大切です。

あらゆるイタズラは叱ることで他の問題行動を引き起こす可能性があるため、叱りつけるなどの罰は解決にはなりません。理由への理解と対処を徹底し、触れさせないように気をつけましょう。

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