『大型猫種』と『小型猫種』の“違うところ”3選 それぞれの特徴や飼育上の注意点を解説

『大型猫種』と『小型猫種』の“違うところ”3選 それぞれの特徴や飼育上の注意点を解説

猫は、犬のように小型・大型で明確な差があるわけではありませんが、実は大型猫と小型猫には、見た目の大きさ以外の違いも見られます。そこで今回はそうした違いに焦点を当てながら、特徴と飼育時のポイントをわかりやすく解説します。これから猫を飼いたいと考えている人はぜひ参考にしてみてください。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

猫の大型・小型とは?

巨大メインクーン

猫の「大型」「小型」という区分には、明確なルールが設けられているわけではありませんが、主に体格や体重によって分けられています。

分類は、猫種による成長後の平均的サイズや傾向などから「大型」「小型」と呼ばれているのが一般的です。そのため、同じ猫種の中でも多少の個体差が出ることはあります。

たとえば、大型猫種として知られる品種には、以下のようなものがあります。

  • メインクーン
  • ノルウェージャンフォレストキャット
  • ラグドール
  • サイベリアン
  • バーマン

一方、小型の猫種には、以下のような種類があります。

  • マンチカン
  • ミヌエット
  • シンガプーラ
  • トイボブ
  • ジャパニーズボブテイル

小型猫は成猫になっても2〜4kg前後の軽量な体つきなのに対し、大型猫は6kgを超えることも珍しくなく、なかには10kg以上になる猫もいます。また、オスとメスの間でも体格に差が見られます。

大型猫種と小型猫種の違うところ3選

隣の猫を見る猫

大型・小型というだけあって、体格には違いがありますが、実はそれ以外にも、大型種と小型種の猫にはさまざまな違いが見られます。

もちろん個体差はありますが、猫種ごとにある程度の傾向があるため、「大型か小型か」という分類でも違いを感じる部分が多くあります。

1.性格の傾向

性格の違いには、個体差が大きく出ますが、純血統の場合には、人が飼いやすいように人為的に交配されてきた経緯があります。そのため、品種ごとにある程度の性格の傾向が見られることから、大型・小型といった体格の違いに伴っても、大まかな傾向をとらえることはできます。

大型猫種は、刺激に対して過剰反応することはあまりなく、はじめて会う人や猫などにも寛容な態度を見せることが多いようです。

一方、小型猫種は、活発で元気いっぱい、好奇心旺盛な個体が目立ちます。物音や動くものには素早く反応し、探索や遊びに夢中になることがあります。

こうした違いはあくまで傾向であり、もちろん個性には幅があります。機敏な大型種や、おっとりした小型種もいますので、「うちの子はちょっと違うな」と感じても心配はいりません。

2.運動量

大型種と小型種では、運動量も異なります。室内飼いの猫では、遊び方に違いがみられるでしょう。

小型猫種は体が軽いため、ジャンプが優れているタイプの子が多くいます。特に若い猫は、遊びの時間には部屋中を走り回ったり、冷蔵庫の上やカーテンレールなど高いところにも容易に登ったりして、活発に動きたがる傾向があります。反応も素早く、家の中に小さな虫などがいれば、家族の誰よりも先に見つけて追いかけます。

一方、大型猫種は体格がしっかりしている分、体もやや重たくなります。もちろん、猫である以上、まったく動かないわけではありませんが、自ら好んでバタバタと走り回って遊ぶよりも、猫じゃらしのような手元で遊べるものや、グルグル回る電動のおもちゃなどでゆったり遊ぶことを好む傾向があります。

3.成猫になるまでの期間

小型猫種は、生後1年ほどで体の成長がほぼ落ち着き、「成猫」とみなされるようになります。骨格や筋肉が発達し、性ホルモンの分泌も安定してくることで、少しずつ行動も落ち着いてきます。

ただし、メスの場合は、生後半年くらいから発情が始まることもあるため、「性成熟=成猫」というわけではない点には注意が必要です。

一方、大型猫種は、骨格や筋肉の発達に時間がかかるため、完全に成猫と呼べるようになるまでに2〜3年、猫種によってはそれ以上かかることもあります。

見た目は成猫らしくなっても内側ではまだ成長が続いているため、もうすこし時間がかかります。大型種は遺伝子で予定されている標準サイズが大きいので、骨格や筋肉が発達するまでには、より多くの時間が必要となるのです。

大型猫種の飼育上の注意点

三毛メインクーン

大型猫種は体が大きい分、生活に欠かせない「猫グッズ」にもゆとりが必要です。キャットタワーや猫用ベッド、トイレなどは、通常サイズでは窮屈に感じてしまう可能性があります。商品をよく選ぶ必要がありますので、大型猫にあったサイズをよく見て買うようにしましょう。

おっとりしていることの多い大型猫ですが、体が大きくなりやすいため、体重管理をきちんと行い、運動不足にならないためにも、しっかりと遊ぶ時間を確保することが大切です。

また、長毛種の多い大型の猫は、被毛のケアも欠かせません。換毛期の抜け毛や毛玉ができやすいことから、毎日の定期的なブラッシングが必要です。特に夏場は、熱中症リスクも高くなりますので、丁寧なケアを心掛けましょう。

小型猫種の飼育上の注意点

ミヌエット

小型猫種は、活発で遊び好きな猫が多いため、運動できる時間をしっかり確保して、日中に蓄えた体力を発散できるようにしましょう。ジャンプやすばやい動きが得意な個体も多く、おもちゃやキャットタワーなどで適度に刺激を与えることが大切です。

また、小柄な猫の中には、やや神経質で繊細な性格の猫もいます。人工的な音や頻繁な人の出入りを嫌う場合もあるため、落ち着いて過ごせる静かな環境づくりを心がけましょう。なかには、慣れている飼い主でも、抱っこや触られることを苦手とする子もいます。

小型猫は、大型種と比べると、多様なケースが考えられるため、愛猫の様子を観察しながら付き合うことが重要になってきます。猫が安心してのびのび過ごせるよう、工夫してあげましょう。

まとめ

メインクーンと女の子

猫の大型種と小型種のサイズの違いは、成長スピードや運動量、性格などにも影響しており、それぞれの個性や魅力、飼育上の注意点にもつながっていることがわかりました。

穏やかな性格の猫とゆったり過ごしたい方には大型猫種、元気な猫と遊びながら暮らしたい方には小型猫種が向いているかもしれません。どちらが飼いやすいかは、ライフスタイルや住環境によって異なります。

どちらを選ぶにしても、大切なことは猫の個性を把握して、その子に合った環境と接し方を整えてあげることです。大型・小型という分類にとらわれすぎず、家族として猫との暮らしを楽しめたら最高ですね。

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