『寿命が短め』と言われている猫種3つとその理由 寿命を左右するポイントも解説

『寿命が短め』と言われている猫種3つとその理由 寿命を左右するポイントも解説

最近では、20歳を超える猫も見かけるようになりましたが、一方で、平均寿命が比較的短いとされる猫種も存在します。今回は、そのうちの3種を紹介します。もちろん、寿命には個体差が大きく出ますが、あらかじめその特徴を知ることで、愛猫との時間をより大切にすることもできるでしょう。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

1.スフィンクス

ソファに座るスフィンクス

スフィンクスは、被毛がほとんどなくしわしわな外見が特徴の猫種です。一見クールな印象がありますが、実はとても人懐っこく甘えん坊な性格の子が多いといわれています。

スフィンクスの平均寿命

スフィンクスの平均寿命は8~14歳程度とされています。中央値は11歳です。ほかの猫種より短めですが、さらに、最新の研究では平均寿命がわずか6.7歳だったというデータもあります。

報告書では、未去勢・未避妊であることや、体重の管理が適切でなかったことなどが、スフィンクスの寿命に影響を及ぼした可能性が指摘されています。

この数値に関しては、調査の対象となった猫群の約8千匹のうち、スフィンクスはわずか18頭であったことで平均寿命の振り幅が大きくなった可能性も考えられます。

スフィンクスの寿命に影響を与えるポイント

スフィンクスは、肥大型心筋症の発症率が高い猫種だといわれています。心臓の壁が厚くなっていく病気で、心臓から送り出す血液量が減少し、血栓形成やうっ血性心不全を引き起こす可能性があります。

また、スフィンクスは、重症筋無力症(筋肉が正常に動かなくなる疾患)になることがあります。自己免疫疾患によって筋肉が正常に動かなくなる病気です。薬物治療で改善が望めますが、治療を行わなかった場合には、命に関わるおそれもあります。

2.ミヌエット

2匹の白いミヌエット

短い足のマンチカンと優雅なペルシャやヒマラヤンなどを交配して生まれたのがミヌエットです。ふわふわな被毛とずんぐり体型、成猫になってもかわいらしく愛嬌のある顔立ちが特徴です。

ミヌエットの平均寿命

ミヌエットの平均寿命は約12歳前後といわれていますが、ペット保険を扱う会社の調査によると、2020年〜2022年までの3年間では、ミヌエットの平均寿命は9.4歳でした。

ほかの猫種が13歳を超える中で、比較的短命な傾向が見られます。

ミヌエットの寿命に影響を与えるポイント

血統種同士の人工交配で生まれたミヌエットには、血統由来の遺伝性疾患を引き継いでいることがあります。

ペルシャ系によく見られる多発性嚢胞腎は、腎臓にたくさんの液体の袋ができてしまい、慢性腎不全につながります。慢性腎不全は高齢猫に多く見られる病気ですが、多発性嚢胞腎は比較的若齢でも発症します。

また、ミヌエットは、肥大型心筋症の好発種です。突然死のおそれもあります。

3.エキゾチックショートヘア

窓辺のチャトラエキゾ

エキゾチックショートヘアは、ペルシャにアメリカンショートヘアを掛け合わせて短毛化した猫種で、丸い顔にぺちゃんこの鼻が特徴です。性格はおっとりした子が多く、運動量も少ない傾向があります。

エキゾチックショートヘアの平均寿命

エキゾチックショートヘアの平均寿命は10〜13歳です。室内で飼われる猫の平均寿命16歳よりもだいぶ下回っている数値です。

一般的な猫の平均寿命よりもやや短命なのは、遺伝的にペルシャの特徴を濃く持つことで先天的・構造的な要因が健康リスクを高くしているためです。

エキゾチックショートヘアの寿命に影響を与えるポイント

エキゾチックショートヘアは生まれつき鼻や喉が狭く、呼吸をする際の負担が大きく、短頭種気道症候群になりやすい構造をしています。平常時でも呼吸が浅く、いびきをかくなどの症状が見られます。十分な換気ができないことで熱中症リスクが高まります。

また、ミヌエット同様にペルシャ系に多い多発性嚢胞腎になることがあります。この病気は遺伝子検査が可能ですが、陽性でも治療で完治することはできません。もし、エキゾチックショートヘアをお迎えしようと考えている場合は、親猫が遺伝子検査を受けているかどうかを確認しておくと安心です。

まとめ

女性に抱っこされる猫

大切な愛猫とは出来る限り長く一緒にいたいものですが、純血種の中には遺伝的ポイントや猫種としての特徴そのものが寿命を縮めているケースもあります。

固定された血統種では、同じ猫種同士の繁殖が繰り返されることで、外見的な特徴だけでなく、特定の疾患も遺伝しやすくなる傾向があります。

もちろん猫には個体差があるため、寿命は数字だけで語れるものではありませんが、遺伝的に命にかかわるリスクを背負っている場合には、健康状態に十分注意しながら日常生活を送ることが大切です。

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