歴史に根ざした都市伝説2選

1.黒猫が横切ると不吉
そもそも日本では、黒猫は不吉どころか福を呼ぶシンボルとされていました。そんな黒猫のイメージを混乱させてしまった原因は、ヨーロッパから伝わった「魔女狩り」の影響と考えられています。
中世ヨーロッパ時代では、穀物の不作や伝染病の流行を魔女の仕業と決めつけ、罪のない女性を標的とした拷問を行っていたという、悲しい過去があります。魔女と黒猫が結びつけられ、その名残が現代の黒猫にまで影響を与えています。
単なる迷信に過ぎず、毛の色に関係なく、どの猫も尊い存在です。
2.猫が年を取ると猫又になる
猫が妖怪化した姿を指す「猫又」のルーツは、鎌倉時代にさかのぼるとされています。
「明月記(めいげつき)」という藤原定家の日記に登場する猫又は、人を襲ったり食ったりするような恐ろしい存在として書き記されています。
当時の猫は今ほど長生きせず、10歳以上生きるのは珍しかったため、長生きをすると猫又になるとささやかれていたようです。
「妖怪になって人間の言葉が話せるようになる」「尻尾が2つに分かれる」とさらに尾ひれがついて、事実と反するイメージが定着したのでしょう。
一方、長生きが望まれる現代では、むしろ「猫又になってほしい」と願う飼い主さんも続出しています。
根拠がある都市伝説2選

3.猫が顔を洗うと雨が降る
猫のヒゲにはたくさんの神経が通っており、刺激にとても敏感です。猫は濡れるのが苦手なため、湿気がヒゲに伝わると違和感を覚え、熱心に顔を洗い始めるのでしょう。
ヒゲは、周囲の状況を感知するセンサーとしての役割を担っているため、清潔な状態を保つ必要があります。
ただし、天気の不安を紛らわせる「転移行動」としてグルーミングを行っている可能性も潜んでいるため、必ずしも顔を綺麗にすることが目的とは限りません。
人も雨の日は気分が沈みがちですが、猫とほどよいスキンシップを取り、お互いに安心感を与え合いましょう。
4.猫が貝を食べると耳が落ちる
一部の貝を除き、猫に貝を与えることは、健康上NGとされています。
貝類はピロフェオホルバイドと呼ばれる成分を持ち、猫には有害であり「光線過敏症(こうせんかびんしょう)」という病気にかかる原因となります。
光線過敏症を発症すると、日の光が当たりやすい耳や顔周りに炎症が起き、最悪の場合、耳が壊死してしまうリスクがあります。
このため注意喚起として「猫が貝を食べると耳が落ちる」という説が広まったのでしょう。
とはいえ、キャットフードにもよく含まれるホタテのように、害がない貝類もあるため、食べられる種類も把握しておくとよいでしょう。
まとめ

猫にまつわる都市伝説は、歴史に根ざしたものとして「黒猫が横切ると不吉」「猫が年を取ると猫又になる」という説が挙げられます。
この2つは事実に反したものですが、当時の歴史や人々の考え方が語り継がれているのでしょう。
一方の「猫が顔を洗うと雨が降る」「猫が貝を食べると耳が落ちる」は、猫の習性や食性から定着した説のため、根拠があると言えます。
都市伝説を全て鵜呑みにせずに正しく解釈し、猫との生活をより豊かにしていきましょう。