1.他者にケガをさせる可能性があるため
野生で生きてきた猫は、食事を取るために狩りをすることが必須でした。獲物を捕えて切り裂くために、歯や爪は発達し、非常に鋭利です。ときとして、それらの機能は、人や他の生き物にケガをさせる要因となります。
もちろん、理由なく攻撃をする猫はおらず、他者を傷つけたいという意図はありません。恐怖や不快な気持ちが高まり、最終的には、自分を守るために行動に出てしまうのでしょう。
猫が冷静でいるためには、ストレスを溜めないよう配慮することが大切です。
コミュニケーションを強要することもNGですが、大声などにも恐怖を感じる猫がいますので、来客の際には特に注意しましょう。猫の生態を理解した上で信頼関係を築きましょう。
2.猫が保有する菌が健康リスクを招くため
猫が保有する菌は、病気の引き金にもなり得ます。代表的な病気は「猫ひっかき病」や「パスツレラ症」であり、どちらも猫に引っかかれたり、噛まれたりすることにより感染する可能性があります。
猫ひっかき病は「バルトネラ菌」が、パスツレラ症は「パスツレラ菌」によって感染する病気です。特にパスツレラ菌は、ほとんどの猫が保有している菌と言われており、軽視することはできません。
万が一自分がケガをしたり、家族や来客にケガをさせたりした場合は、ケガの洗浄・消毒を十分行い、病院の受診をすることをおすすめします。
軽度で済む場合もありますが、治療が必要な場合、重度になってしまう危険性もあります。
ちなみに、完全室内飼いをしていれば「寄生虫」のリスクは低いですが、それでも「トキソプラズマ症」を始めとする寄生虫経由での感染症などにも気をつけたいものです。
3.猫アレルギー発症のリスクがあるため
世界で猫アレルギーを持つ人は、全人口の10〜20%ほどと推定されています。アレルギーの主な原因は、猫の体や唾液に含まれる「Fel d1(フェル ディ ワン)」というタンパク質とされています。
初めて猫を迎え入れてから気づくケースや、突然アレルギーが発症するというケースもあるようです。お互いのためにも、猫を飼う前にはアレルギーの有無を調べることを推奨します。
猫アレルギーであっても、空気清浄機を導入したり、寝室に入れないよう工夫したりして、対策を取りながら生活をともにする人もいます。
もちろん、自分の健康を第一に考えることが前提ですが、適切な対策を講じれば、猫を飼うことをすぐさま諦める必要はないでしょう。
まとめ
愛らしい猫が持つ「怖い」一面を正しく理解することは、猫とともに生活をする飼い主さんには必要な学びです。
狩りのために発達してきた歯や爪は、人や他の生き物を傷つける要因となります。
ケガをすることで、猫が保有する菌が侵入し、猫ひっかき病やパスツレラ症を引き起こす場合もありますので、軽視せずに適切に対応しましょう。
猫アレルギーを持つ人も珍しくありませんが、対策を講じた上で、猫との暮らしを楽しむ選択をする飼い主さんもいます。
生き物としての怖さを過剰に恐れるのではなく、猫と共生するためのヒントとしてとらえることで、これまで以上に猫の愛らしさや尊さに気づけるようになるでしょう。