1.「喜」は分かりやすい

「喜ぶ」とは、嬉しいと思うことやその気持ちを動作に表わすことです。猫の「喜ぶ」という感情は、とてもわかりやすいでしょう。
猫が嬉しいと思うことは、なんといっても食事です。毎日の生活の中でごはんをもらうときは、かけよってきたり喉をゴロゴロと鳴らしたり、しっぽをピーンと立てて甘えてきたりします。
これらははじめて猫を飼う人の目から見ても、あきらかに喜んでいることがわかる反応です。
また飼い主さんが帰宅したときに、玄関まで迎えにくる猫もいますよね。これは食事を与えてくれる人が帰ってきたからなのか、留守をしていた飼い主さんに甘えたかったのか詳細は不明ですが、喜んでいるといえましょう。
ほかにも心地よい毛布にのったときや、気持ちの良い場所にふれられたときなど、猫の所作には喜びの気持ちが満ちあふれています。
2.「怒」は態度に出たときには手遅れ
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「怒る」とは不満や不快なことが起きて、それをガマンしきれなくなった感情のことですよね。
猫が怒っているときは「喜」の感情以上にわかりやすく、キバをむいて「シャーッ」とふいたり、低い声で「ウーッ」と唸ったりします。
怒りが頂点を越えると、その対象となるものに対して、噛んだり飛びついたり、手足を使ってパンチやキックをしたりしてきます。
そんな怒りの表現ですが、猫も人間のように怒る前に「イライラする」とか「不快だな」という段階はあります。
そのサインは耳やシッポなどで察することができますが、怒り出す前ならそっとしておいてあげればセーフ。
しかし怒りが明らかに態度に出てしまったら、しばらく猫は興奮状態になるので、何をしても猫の怒りは増すばかりです。
3.「哀」の感情は猫には存在しない
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「哀しい」とは、心が痛くなって苦しくなったり泣いたりする感情のことです。しかし、猫は「哀しくて涙を流す」という概念はないといわれています。
そもそも哀しいという感情は人間だけがもつ感覚で、野生動物には備わっていないともいわれているのです。
しかし、飼い主さんから見て猫が哀しそうに見えるシーンはありますよね。
たとえば飼い主さんや同居猫が死んでしまったとき。いつものような元気が見られず、誰かを探しているような行動も見せますが、これは「普段とは違う状況」や「環境の変化」に戸惑っているからです。
人間のフィルターに通すと、その姿が「哀しそう」と映ります。それは人間が「哀しい」という感情が理解できるがゆえのことで、そもそも猫には「死ぬ」という概念がないのだそうです。
4.「楽」は狩猟本能
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心が満たされたときや夢中になれる時間のことを「楽しい」と表現しますが、猫にとっては「狩猟」のことです。
猫はおもちゃで遊んだりジャレたりしますが、それらは狩りの疑似体験。本来は野生の中で狩猟生活をしていた動物なので、その本能を満たすために備わった習性です。
猫にとって遊びの時間は、人間にとって「楽しい」という感情は人生に欠かせないものであるように、猫にとっても必要な時間です。室内飼いの猫だからこそ、「楽」という感情が満たされるようにしてあげたいものですね。
まとめ
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感情の種類を大きくわけて『喜怒哀楽』で整理しましたが、怒りの感情の前ぶれに恐怖や不安があったり、楽しいという感情の中に期待や興味があったりします。
動物学として猫に「哀しい」という感情はないようですが、もし飼い主さんが愛猫に対して「哀しそうである」と感じ、愛猫にやさしく接するなら、その見方はある意味正解なのかもしれません。