猫が『鼻血』を出したら危険?考えられる6つの原因とそれぞれの対処法

猫が『鼻血』を出したら危険?考えられる6つの原因とそれぞれの対処法

猫が鼻血を出していたら、飼い主としては非常に心配になるでしょう。猫はもともと鼻血を出すことが珍しく、単なる外傷で済むこともあれば、重大な病気のサインであることもあります。この記事では、猫が鼻血を出す主な原因と、それぞれの対処法について解説します。愛猫の健康を守るために、いざという時の知識として役立ててください。

SupervisorImage

記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

猫が鼻血を出す原因6つ

猫の鼻をふく

猫の鼻腔は小さく繊細なため、少しの異常でも出血する可能性があります。もし猫が鼻血を出している場合、外傷や感染症、さらには血液凝固異常や腫瘍といった、さまざまな原因が考えられます。

以下にあげる原因をもとに、適切な対処をすることが大切です。

1.外傷による出血

猫が鼻血を出している場合、最も考えやすい原因のひとつが「外傷」です。外傷とは、ケンカや転倒、何かにぶつかることで鼻腔や鼻の表面に傷がつき、出血することです。

【症状の特徴】

  • 鼻血が突然出る
  • 鼻周りや顔に腫れ、擦り傷、あざなどが見られる
  • 顔を触られるのを嫌がる、痛がる素振りを見せる

2.異物が鼻腔に入った

猫が鼻血を出す原因として、異物が鼻腔に入り込んでしまうケースがあります。異物が鼻の中に入ることで鼻腔を傷つけ、出血や炎症を引き起こすことがあります。

【症状の特徴】

  • くしゃみが頻繁に出る
  • 片方の鼻の穴からの出血
  • 鼻水や血混じりの分泌物
  • 鼻の周りを気にする仕草

3.感染症や炎症によるもの

鼻腔内や副鼻腔で細菌やウイルス、真菌(カビ)などが感染を引き起こすと、鼻腔内が炎症を起こし、出血することがあります。

【症状の特徴】

  • くしゃみや鼻水が続く
  • 両方の鼻の穴からの出血
  • 呼吸が苦しそう
  • 鼻周りの腫れや痛み

4.腫瘍などの可能性

猫が鼻血を出す原因として、腫瘍などが考えられることがあります。腫瘍は鼻腔内や副鼻腔に発生し、良性のものもあれば悪性(がん)の場合もあります。

特に中高齢の猫では、腫瘍が鼻血の原因になることが少なくありません。早期発見が重要なため、以下のような異変に気づいたら速やかに動物病院を受診しましょう。

【症状の特徴】

  • 慢性的な鼻血
  • 片方の鼻の穴からの出血
  • 鼻の変形や腫れ
  • くしゃみや鼻づまり
  • 目や顔の周囲に異変が見られる

5.血液凝固異常(血液疾患)

血液凝固異常とは、血が固まりにくくなる疾患で、出血が起こりやすく、また止まりにくい状態を指します。先天的な遺伝疾患や後天的な病気、中毒などが原因で引き起こされることがあります。

血液凝固異常は放置すると出血が止まらず、命に関わることもあるため、早めに原因を特定し、適切な治療を行うことが重要です。

【症状の特徴】

  • 出血が止まりにくい
  • 体の他の部位でも出血しやすい
  • 皮下出血やあざができやすい
  • 貧血の症状

6.中毒や薬剤の影響

特定の毒物や薬物が体内に入ると、血液凝固機能が低下し、出血しやすくなることがあります。例えば、殺鼠剤(ネズミ駆除剤)や特定の植物、誤って飲み込んだ薬剤が影響を及ぼすことが知られています。

中毒の場合、放置すると全身に影響が広がり、命に関わることもあるため、迅速な対応が求められます。

【症状の特徴】

  • 鼻血が突然出る
  • 食欲不振、嘔吐や下痢が見られることも
  • 元気がなくなる、呼吸の異常
  • 神経症状が出ることもある

猫が鼻血を出したときの緊急対処法

猫の鼻アップ

猫が突然鼻血を出した場合、飼い主として冷静に対処することが大切です。原因がわからない場合でも、応急処置を行い、状況に応じて動物病院で診てもらう必要があります。

ここでは、鼻血が出た際の対処法や、動物病院を受診する目安について解説します。

飼い主が行う緊急対処法

  • 出血部位を確認する
  • 猫を落ち着かせる
  • 異物が見える場合は慎重に取り除く
  • 出血の経過を観察する

猫が鼻血を出したら、まず出血部位を確認し、外傷や異物がないか観察します。猫を静かな場所で落ち着かせ、鼻周りを押さえて止血を試みましょう。

異物が見える場合は慎重に取り除きますが、無理は禁物です。

無理に引っ張り出そうとして奥に入ってしまう場合もあります。無理をせずに取り出すのをかかりつけの先生にお願いした方がいい場合もあります。

出血時間や猫の様子を記録し、必要に応じて動物病院を受診してください。

動物病院を受診する目安

以下のような場合は、速やかに動物病院で診察を受けましょう。

  • 出血が止まらない
  • 頻繁に鼻血を繰り返す
  • 出血が両方の鼻の穴から出る
  • 呼吸困難やぐったりしている
  • 鼻血以外にも異常な症状がある

猫の鼻血が止まらない、または頻繁に繰り返す場合、重大な疾患が疑われます。両方の鼻の穴からの出血や呼吸困難、ぐったりしている状態は特に注意が必要です。

さらに、嘔吐や下痢、皮下出血、けいれんなど他の症状が見られる場合、速やかに動物病院を受診し、専門的な診察と治療を受けましょう。

まとめ

ひなたぼっこする猫

猫が鼻血を出す原因は、外傷や異物の混入、感染症や腫瘍、血液凝固異常や中毒など、さまざまです。

特に猫は鼻血を出すことが少ないため、出血を見かけたら注意が必要です。緊急時には、出血部位の確認、冷却、猫を落ち着かせるといった応急処置が重要です。

また、出血がすぐに止まらない場合や、頻繁に鼻血が繰り返される場合、呼吸困難やぐったりする様子が見られたら、速やかに動物病院を受診しましょう。

早期の対応と適切な治療が、猫の健康を守る鍵です。日頃から猫の様子をよく観察し、異変を見逃さないよう心掛けましょう。

スポンサーリンク