猫も『喘息』になるって本当?原因や症状、治療法など、知っておくべき4つのこと

猫も『喘息』になるって本当?原因や症状、治療法など、知っておくべき4つのこと

猫も『喘息』になると聞くと驚く方も多いかもしれません。実は猫の喘息は人間と同じように気道に炎症を引き起こし、慢性的な咳や呼吸困難などの症状をもたらす疾患です。では猫の喘息の症状や治療法にはどんなものがあるのでしょうか?

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

1.猫の喘息の概要

咳をする猫

猫の喘息は気道に炎症が起こり、呼吸が困難になる病気です。人間の喘息と同じように、気道が狭くなることで呼吸障害が引き起こされます。

猫の喘息は比較的よく見られる病気で、シャム猫などに多い傾向があり、2~8歳での発症が多いとされていますが年齢は問わず発症する病気です。

完治は難しく早期発見・早期治療が重要で、適切な治療を行えば症状をコントロールできます。

2.猫の喘息の症状

咳をする猫

猫の喘息は、以下のようなさまざまな症状を示します。

咳や息切れ

運動後や興奮時、もしくは安静時でも断続的な咳や息切れが見られます。

喘鳴

喘息の猫は呼吸時にゼーゼーという音(喘鳴)を立てて、とくに発作時にこの音が顕著になります。

口呼吸

症状が進行すると、猫が口を開けて苦しそうに息をする様子がみられ、呼吸が浅くなります。猫は通常口を開けて呼吸しないので、口呼吸をしているときは明らかに異常を示しています。

胸や腹部の収縮

呼吸時に胸や腹部が不自然に収縮するパターンが見られます。

活動の変化

呼吸が苦しいためあまり活動をしなくなったり、食欲が落ちたりします。

皮膚や粘膜の青白さ

発作が重度になると酸素不足で皮膚や粘膜が青白くなることがありますが、このときは緊急の対処が必要です。

猫喘息のは喘鳴で飼い主さんが気がつくパターンが多く、我が家の場合も喘鳴がキッカケで愛猫の猫喘息をみつけました。

猫喘息は重症化すると、呼吸困難により突然死に至る危険性もあるため、早期発見と適切な治療が何より重要となります。

3.猫の喘息の原因

咳をする猫

猫の喘息の具体的な原因は解明されていませんが、アレルギーによって引き起こされる気道炎症が主な原因とされています。

猫のアレルギーの原因は、主に以下のようなものです。

  • アレルゲンの影響(ハウスダストやカビ、ダニ、花粉など)
  • 化学物質(芳香剤や掃除用の化学薬品などの強い香りや揮発性物質)
  • タバコの煙

猫のアレルギーを完全に防ぐことは難しく、キレイな環境を整えていても猫喘息を引き起こすケースはあります。

猫喘息には確立された予防法はなく、もちろんアレルギーのリスクを低減させる工夫は大切ですが、猫の喘息を早期に発見して治療を始めるのがポイントとなります。

4.猫の喘息の治療法

咳をする猫

猫の喘息に対する治療は症状の重症度によって異なりますが、以下のような3つのアプローチがあります。

気管支拡張薬の投与

発作時の症状を速やかに緩和させる即効性のある薬剤や、長期的な予防効果をもつ薬剤を処方することで、呼吸困難を改善することができます。

ステロイド剤の使用

ステロイドには強力な抗炎症作用があり、気道の炎症を抑えることで症状の管理が可能になります。

環境改善

先述のようなアレルギー性の要因を取り除くため定期的な掃除や換気、禁煙、消臭剤の使用制限など、猫の生活環境を整備します。

猫の喘息は完治を目指すのではなく、症状を和らげることを目的に行い、病気と上手に付き合っていかなければなりません。

つまり飼い主の丁寧なケアと獣医師との緊密な連携が何より重要なのです。

まとめ

診察を受ける猫

猫の喘息は完全に治すことは難しいですが、適切な治療と生活環境の改善により、発作の頻度を減らし猫のQOL(生活の質)を向上させることが可能です。

愛猫の健康管理をしっかりと行い、喘息を抱える猫でも安心して生活できるようサポートしましょう。

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