原料の大麦を守っていたのは…?
ウィスキーといえば「スコッチ・ウィスキー」が有名です。スコットランドのウィスキーづくりの過程で、原料の大麦を狙ってやってくるネズミを退治することはとても重要です。このため、猫は蒸留所に欠かせない存在でした。
蒸留所にいる猫たちは、ネズミ退治をする代わりに暖かい寝床と餌を与えられてきました。蒸留所にとって、これは長年効果的で経済的なネズミ駆除方法だったのです。
ほとんどの猫は無名のままでしたが、ごくたまにネズミ退治に特別すぐれた技量をもつ猫が現れると、その名は広く知られるようになりました。「Towser」もそんな猫でした。
24年間で3万匹のネズミを退治
Towserは長毛の三毛猫です。1960年代から歴史あるグレンタレット蒸留所で生活し、24年間もネズミの被害から倉庫を守ってきました。人間に甘えたりのんびりしたりして過ごす「家猫の暮らし」にはあまり興味がないようで、かなり高齢になってからも勇敢にネズミを追いかけていたといいます。
Towser は24年間で約3万匹のネズミを捕まえたといわれます。つまり1日あたり3、4匹は駆除していたといことになります。これをしのぐ記録は、今後もなかなか出ないでしょう。Towserは毎晩ウィスキーをほんの少し加えたミルクを飲んでいたといいますが、もしかしたらこれが長寿と活躍の秘訣だったのかもしれません。
記念のお酒や銅像も
グレンタレット蒸留所は、Towserをしのんで「Fairlie’s Light Highland Liqueur」というお酒を製造しています。もちろん、瓶に貼られたラベルにはこの猫のかわいい肉球が描かれていますよ。
そして敷地内には、勇敢なTowserの名声を後世に伝えるため銅像も設置されました。
Towser亡きあと、何匹もの猫がこの任務につきましたが、これほどすばらしいネズミ捕りの腕をもつ猫はまだ現れていないといいます。スコッチ・ウィスキーづくりを支えたTowserの見事な業績は、これからも人々に語り継がれていくことでしょう。
出典:Towser, the greatest mouser in the history of Scotch whisky