『しっぽを触ると怒る』4つのワケ
動きや形状が可愛らしい猫のしっぽ。一緒に暮らしていると、ついつい触れてみたくなりますよね。
しかし、いざ触ると一大事!『ウー』『シャー』と怒りの洗礼を受けた経験のある飼い主さんも多いのではないでしょうか。
実は、しっぽに触れると怒るのには理由があるのです。ここでは4つのワケを紹介いたします。
猫のしっぽの役割も含めて解説していくので、嫌がる事情について理解を深めてみてください。
1.大事な神経が通っているから
猫のしっぽは、18~23個の尾椎と複数の筋肉、そして3本の神経が通った器官です。変幻自在に操ることができるのは、この複雑な構造に秘密があります。
さらにしっぽの神経は、骨盤や下腹部、陰部などとも繋がりを持ち、排尿や歩行にも関与しています。
そのため、強く握られたりあらぬ方向に向けられてしまうと痛みが出るだけでなく、歩行困難や排尿困難などを招く恐れも。とてもデリケートで重要な役割を担う器官だからこそ、警戒してしまうという背景があります。
2.バランスを取るのに必須だから
猫は高い場所や、狭い塀の上などを器用に歩くことができますよね?実は、これを可能にしているのもしっぽが正常に機能しているおかげです。
しっぽはバランスを取るための重要なセンサーのような役割を果たしています。例えば、人間が平均台を渡る際に、両手を広げて均衡を保つのと同じです。
高い場所から飛び降りるときも、しっぽを降ってスピードをコントロールしています。
先ほどの神経のお話と同様に、なくてはならないものという意味で、安易に触れることは許してもらえません。
3.猫同士のコミュニケーションツールだから
猫が生きる上でとても大切なしっぽには、他にも重要な役割があります。それは、猫同士のコミュニケーションツールであることです。
猫は本来、『ニャー』という鳴き声ではなく、ボディランゲージを用いて会話をする動物です。例えば、親しい相手にはピーンとしっぽを立てて敵意がないことをアピールします。
人間に対しても同じです。気持ちを伝える手段として、しっぽを活用しています。
そのため、痛みが出るほどの触り方をしてしまうと、会話に支障をきたしてしまう可能性があります。人間に例えると声が出ないのと同意のため、とても困りますよね。
4.マーキングをする器官だから
猫は縄張り意識の強い動物です。だから独占したいものや自分の居場所にはマーキングをしています。
マーキングができる器官は複数あるのですが、しっぽもそのひとつで、付け根に臭腺が備わっています。
時々、愛猫がしっぽを絡ませて来ることはありませんか?これは『私だけの大事な人』という意味のマーキングをあらわす行動です。
万が一しっぽを損傷してしまうと、猫にとって重要なマーキングにも影響が及びます。これは大きなストレスになるため、やはりしっぽに触るのはやめておきましょう。
まとめ
猫にとって『しっぽに触る』という行為は、緊張感やストレスを伴うものです。しっぽには生活に欠かせない重要な役割があるためです。
人間にはない不思議な存在だけに、ついつい気になって触れたくなるかもしれませんが、その好奇心はぐっとこらえましょう。
特に小さなお子様がいるご家庭では、『さわると痛い痛いなんだよ』と教えてあげることが大切です。無理やり触ることはもちろんのこと、うっかり踏んでしまうことにも注意が必要です。