猫が『かかりやすい厄介な病気』4選 日々取り入れたい予防対策も解説

猫が『かかりやすい厄介な病気』4選 日々取り入れたい予防対策も解説

「猫がかかりやすい病気」と聞いて、なにを思い浮かべますか?今回は、猫に多い注意すべき4つの病気を紹介します。それぞれの病気の特徴を理解し、早期発見に役立てましょう。また予防法についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

1.慢性腎臓病

座布団の上でくつろぐ猫

慢性腎臓病は高齢猫の代表的な病気です。加齢とともに腎機能が衰えることが原因で、15歳以上の猫では高い割合で慢性腎不全に陥ると言われています。

慢性腎臓病は初期には目立った症状がなく、飼い主さんが気づくきっかけとなることが多い「多飲多尿」の症状は、腎機能の70%が失われてはじめて見られるようになります。そのため腎臓病に気づいたときには、かなり症状が進行していることが多いのです。

さらに症状が進行して腎機能が失われると、尿毒症を発症し、死に至ります。

腎機能は一度失われると元には戻ることはありません。そのため早期に発見し、病状をコントロールすることが極めて重要な病気なのです。

慢性腎臓病を予防するためには、腎臓に負担をかけない食事と、定期的な検査を行うことで腎機能の低下に早期に気づくことです。

2.下部尿路疾患

トイレの横に座っている猫

猫のかかりやすい病気として外せないのが、下部尿路疾患です。下部尿路疾患とは膀胱から尿道の出口までのあいだで発症する病気の総称です。

猫の下部尿路疾患のなかでも多いのが特発性膀胱炎です。特発性膀胱炎は、膀胱に細菌が認められず、膀胱炎の原因となる結石なども見つからない原因不明の膀胱炎です。一説にはストレスが原因とも言われています。

ほとんどは、治療をしなくても1週間ほどで症状が改善しますが、再発をくり返すこともあり、厄介な病気と言えるでしょう。

次いで多いのが尿路結石症です。結石で膀胱や尿道が傷つくことで炎症が起きたり、尿道に詰まって尿道閉塞を引き起こしたりします。尿道閉塞になるとおしっこが出なくなり、放置すると命にかかわる場合もあります。

予防には水分摂取量を増やすことが重要です。ウェットフードやドライフードをお湯でふやかすなどして与えるのがおすすめです。

3.歯周病

歯磨きをする猫

歯周病も猫のかかりやすい厄介な病気のひとつです。高齢の猫や口腔ケアが苦手な猫などが高い確率でかかっていると言われています。

歯周病とは、歯に付着した歯垢で歯周病菌が繁殖し、歯肉に炎症を起こす病気です。初期には、歯肉の腫れやよだれが増える、口臭が強く感じられるなどの症状が見られます。

進行すると、化膿して膿が出たり、歯が抜けるなどして生活の質にも影響するようになるでしょう。

また重度の歯周病になると、歯周病菌が血液に運ばれて全身に広まり、肝臓や腎臓、心臓などの病気を引き起こしたり、悪化させたりする原因にもなり得ます。

歯周病の予防には、歯垢を付着させ、歯石につなげないことが重要です。毎日の歯磨きを習慣にしましょう。無理な場合も週に3回はおこなうようにしてください。歯石が付着している場合は、歯石除去を検討しましょう。

4.肥大型心筋症

ソファーの上で寝ている猫

猫の心疾患で多いのが肥大型心筋症です。中高齢になると起こしやすいと言われています。

肥大型心筋症とは、心室の壁が分厚くなって、血液を正常に送り出せなくなる病気です。猫の突然死の原因にもなります。

猫の肥大型心筋症は、初期では明確な症状が見られないため早期発見が難しいと言われています。そのため発見したときにはかなり進行していることが多く、呼吸が苦しそう、後ろ足が動かなくなったといって受診するケースが多いようです。

またメインクーンやラグドール、アメリカン・ショートヘアに多く見られることから、遺伝的な要因が疑われています。そのほか甲状腺機能亢進症、高血圧などの病気に併発することもあります。

肥大型心筋症は、早期発見ができれば、薬でコントロールすることも可能です。好発年齢にあたる中高齢の猫は、異常が見られなくても定期的に検査をするようにしましょう。

まとめ

診察中の猫

猫に多い厄介な病気を4つ紹介しました。ほとんどが命にかかわる重大な病気です。ただし早期発見、早期治療で病状を適切にコントロールできれば、普通に暮らすことも可能ですし、病気によっては完治も望めます。

早期発見のためには、日頃から愛猫の様子をよく観察し、少しでも気になることがあれば、動物病院を受診するようにしましょう。

また定期的に健康診断を受けるなど、必要に応じて検査をおこない健康管理をすることも重要です。

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