悲劇の王妃マリー・アントワネットの愛猫が、実は「メインクーン」の起源だった? フランス

悲劇の王妃マリー・アントワネットの愛猫が、実は「メインクーン」の起源だった? フランス

メインクーンはどのように生まれたのでしょうか?「王妃マリー・アントワネットの飼い猫に由来する」という説もあります。革命下のフランスから米国へ、猫が渡っていった謎を探ります。

王妃の6匹の愛猫たち

野外にたたずむ長毛のメインクーン

画像はイメージです

人気の猫種メインクーン。その起源にはさまざまな説がありますが、なかでも印象的なのはフランス国王ルイ16世の妻マリー・アントワネットに由来する伝説です。

パリの人々が飢えに苦しんでいる間、彼女は宮廷で贅沢に暮らしていました。ペットが好きな彼女は、飼っていたパグをオーストリアに連れて行ったこともあります。

そしてマリーはアンゴラ猫を6匹飼っていたともいわれています。もっとも当時のアンゴラ猫は単なるトルコ産の長毛猫だったと考えられており、アメリカで飼育された純血種のトルコアンゴラとは違っているようです。マリーは宮廷でも、こうした猫たちがテーブルの周辺を自由に歩き回るのを許していたようです。

しかし、世はまさにフランス革命の時代。彼女は逮捕される運命にありました。

船での逃亡計画は実現せず

18世紀の船の絵

画像はイメージです

当時、米国メイン州にあった船会社が運航していた「Sally」号は、米国とフランスの間を航行していました。1792年の夏にルイ16世とマリーが逮捕されたとき、この船はルアーヴル港に停泊していました。

当時Samuel Clough船長らは、女王を救出し、船に乗せて米国へと逃亡させる計画を立てていました。しかしその前に女王らが逮捕され処刑されてしまったため、この計画は実現しなかったのです。それでも彼女の猫を含む所有物は、すでに船に積み込まれていました。

結局、彼女の猫たちは米国東海岸に到着しました。その後はとくに世話をされないまま、おそらく放置され、あちこちへと散らばってしまったのでしょう。

しかし猫たちはニューイングランドの田舎で自力で生き延びました。伝説によると、この猫たちが美しいアメリカの猫メインクーンの祖先となったのです。

毛むくじゃらの長毛は、当地の厳しい冬を生き延びた名残なのかもしれません。その後は地元の猫たちと交配を重ね、長毛で美しい外見をもつようになったと考えられています。

「農場の猫」から「ショーの主役」へ

美しいメインクーン猫

画像はイメージです

今日のように純血種が人気になる前は、メインクーンは農場でたくましく暮らす猫でした。機能的で働き者なうえ、美しい外見をもっていたため、やがてキャットショーにも登場するようになっていったのです。

ある年にマディソン・スクエア・ガーデンで開催されたキャットショーに、こうしたメインクーンが出品され、みごとに優勝しました。それ以前にも非公式のショーでこの種の猫は優勝を重ねており、すでにその人気は確立されていました。

実は今回ご紹介した節のほかにも、11の説があるといわれます。メインクーンの美しさの謎は、今後も人間たちを魅了し続けることでしょう。

出典:Marie Antoinette and the origin of the Maine Coon cat

スポンサーリンク