1.相手を威嚇している
猫の低い声でよくあるのは、「ウーッ」と唸りながら、相手を威嚇する場面です。心理状態としては、「コワイ!」「イヤ!」「ストップ!(近づくな)」。
いずれにしても、自分を守るために必死で、恐怖心と不安感でいっぱいです。必要以上に接近すると、反撃される恐れもあります。
外猫同士の闘争時が典型的ですが、飼い猫でも見られるケースがあります。同居猫の新規加入や苦手な動物病院の受診などが良い例です。猫は、不安な状況に直面すると低い声で鳴き、警戒心を露にします。
もし新入り猫の登場が原因で、先住猫の威嚇が続くようであれば、生活空間を分けることが先決です。別の部屋に用意したケージに入ってもらうのも選択肢のひとつ。いきなりの対面はできるだけ避け、時間をかけてお互いに慣れてもらうしかありません。
2.不平不満を訴えている
猫はデリケートな動物で、飼い主さんも気づかない間に、ストレスを溜め込んでいることがあります。何らかのストレス状態を表すのが、「アオーン」「ミャーオ」「ニャーオ」などの低めのトーンです。
猫の真意を読み解くと、「ごはんが欲しい」「かまって欲しい」「遊んで欲しい」「寂しい」など、生活上の不平不満を強く訴えかけています。ストレスフルが続くと、食欲不振や粗相、過剰なグルーミングを伴うこともあるので注意が必要です。
また、外出前に決まって鳴いたり、飼い主さんの姿を追いかけたり、落ち着きのない行動が目立つ場合、「分離不安症」の疑いがあります。
対処法としては、愛猫が鳴く理由を飼い主さんなりに分析することが第一です。何を求めているのか、あらかじめ把握しておくと、解決策も見つけやすくなります。
たとえば、「分離不安症」気味であれば、食事回数をはじめ、トイレまわり、キャットタワーなどの生活環境の見直しが急務です。一人で遊べる知育玩具を活用するのもいいでしょう。
3.トイレハイで野生のスイッチ・オン
もし愛猫がトイレの後に、低い声で「ヌォーン」と鳴いたら、「トイレハイ」の一種かもしれません。「トイレハイ」とは、排泄後に示す特徴的な行動で、突然、元気に走り回ったり、力に任せて爪研ぎしたり、見た目的にかなりハイテンションです。
排泄時は、食事時と同じように、猫が最も無防備になる状態です。野生時代までさかのぼれば、外敵に急襲されかねない状況。コトが終われば、外敵に襲われないように、すぐさま立ち去るのがサバイバルのセオリーです。
「ヌォーン」と半ば叫ぶのは、「(うんちを)早く済ませなきゃ、襲われる!」という、わりと切羽詰まった不安感の表れ、と言っていいかもしれません。野生時代から引き継がれた本能ゆえの行動です。
「トイレハイ」自体は、大昔からの習性であり、何の問題もありません。温かく見守ってあげてください。
まとめ
猫の声でポピュラーなのは、ご存じのように、「ニャー」です。かわいらしい声だけで人間を虜にする猫ですが、野生時代はあまり鳴きませんでした。頻繁に鳴くようになったのは、人間との共存以降で、鳴くことで自分の要求が叶った学習経験の結果です。
今回の記事では、普段のカン高い声とは違い、低い声で鳴くときの3つの心理状態を解説しました。なかには、強い緊張や不安感、ストレスが背景になっているケースもあります。その際は、愛猫が何を要求しているのか、冷静に判断して、適切な対応を心がけるようにしましょう。