1.メス猫をめぐって争う
外で暮らす猫は去勢手術や避妊手術をしていないことが多いため、発情期になるとメス猫をめぐった争いが起こります。
しかし、野生に生きる猫にとって負傷は生活の危機をまねく事柄。にらみ合いやボディランゲージで力の大差が明確である場合、ケンカにはなりません。
猫キックや猫パンチ、とっくみあいのケンカになる場合は力関係がほぼ互角のときです。どちらも身を引かず、譲らない場合にケンカに発展するのです。
飼い猫の場合は避妊手術や去勢手術をしているため、複数のオスとメス猫が同居していた場合でも、メス猫の奪い合いでケンカになることはないに等しいでしょう。
2.遊びの延長戦
室内飼いの猫にとって、じゃれあいは運動不足やストレスを解消する方法です。猫を買い慣れていない人が見ると「ケンカ!?」と焦ってしまうかもしれませんが、ほとんどが「遊び」の範囲内の出来事です。
追いかけっこは猫の典型的な遊び方のひとつですし、やさしい猫パンチや猫キックも「戦いごっこ」のようなものです。飛びついたり噛みついたりしても、甘噛みのうちは放っておいてよいでしょう。
しかし、その遊びがエスカレートしてケンカに発展することもあります。
うなり声をあげたり「シャーッ」とふいたりなど、本気で怒っている様子が見られた時には要警戒です。それでも、同居猫同士のケンカは関係性を構築するための自然なものなので、基本的には見守るというスタンスで大丈夫です。
ただし大きなケガにつながるようであれば、仲裁に入りましょう。おやつやおもちゃで気を紛らわすなどするとよいですよ。
3.テリトリーやパーソナルスペースの侵害
本来、猫には「ホームテリトリー」という縄張り意識が備わっています。これは食事や睡眠など生活エリアのことで、安全に暮らせる場所という意味があり、外猫の場合ホームテリトリーはそれぞれです。
しかし、人間のペットとして同じ家の中に暮らす猫同士は、ホームテリトリーを共有することが多いもの。そのため、ホームテリトリーを侵略されたと感じたときに、猫同士がケンカになることもあります。
また、猫には「パーソナルスペース」が備わっており、これは一定の距離を超えて近づかれると不安や不快な気持ちになる距離のことです。一般的に、猫のパーソナルスペースは「2メートル」とされているので、相性の良くない猫同士はこの距離感を保つことが必要なのです。
もし片方の猫が好意的で片方の猫が嫌がっていた場合、2メートル以内に近づいた時点で「フーッ!」「シャーッ!」などの威嚇が始まるはずです。不仲の猫同士は、家の中ですれ違うときも2メートルを保つ必要がるため、それが侵略されたと感じた場合はケンカになってしまうでしょう。
もしこれらが理由であまりにもケンカをするようなら、可能な限りエサ場や水場、トイレなどを分けてみるとよいでしょう。
4.相性が悪い
人間にも相性があるように、猫にも「合う、合わない」が存在します。
同居猫がいつも一緒に寝ているような場合もあれば、常に近寄らないように生活しているというケースもあるものです。後者のように相性の悪い場合は、日常的にケンカが起こりやすいと考えられます。
ただし、猫は基本的にケンカを好む動物ではないため、上下関係ができてしまえば、猫同士で上手にケンカを回避するようになるものです。そのため、相性が悪い猫がケンカになった場合はいったん見守りましょう。
万一ケガをしそうな状態のときは、猫と猫の間に段ボールを挟んだり、それぞれの猫に布をかけたりして、視界を遮るようにするとよいでしょう。落ち着くまでケージに入れてプライベートのスペースを用意してあげるのも効果的です。
まとめ
今回は、猫同士が「ケンカを始める」原因について解説しました。
外に暮らす猫は見知らぬ猫と遭遇する機会があるため、室内飼いの猫と比べるとケンカをする確率が高いものです。一方ペットとして飼われている猫は同居猫なので、基本的にケンカは少ないと考えられます。
それでもケンカになることがあり、ケンカの原因は遊びの延長線やパーソナルスペース、相性の悪さといったもの。特に相性の悪い猫はケンカになりやすいものです。
なお猫の相性の善し悪しを左右する「組合せ」があり、若いオス同士は縄張り意識が高いもの同士となるため相性がよくありません。また、長らく1匹だけで暮らしていた先住猫と新人猫、臆病な性格の猫と積極的な猫も相性がよくないことを覚えておくとよいですよ。