けがをした猫を引き取った青年
ホームレスの青年に大きな影響を与え、立ち直りへと導いた猫がいたのをご存じでしたか?
この猫の名前は「Bob」といいます。2007年、捨てられてけがをしていたBobは、薬物中毒でホームレスだった青年James Bowenと出会い、ロンドンの街角で一緒に生活するようになりました。
Jamesさんは日銭稼ぎのために大道芸をしたり、雑誌「Big Issue」を売ったりするときに、この猫を一緒に連れていきました。意外なことに、首にスカーフをまいたBobのかわいらしい姿は、多くの人々を惹きつけたのです。
著書が大ヒットし、立ち直るきっかけに
2012年、彼は猫との生活を本「A Street Cat Named Bob: And How He Saved My Life」にまとめ、出版しました。
これが大ヒットし、Bob自身が出演して映画にもなったのです(邦題「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」)。その後も合計5冊の本が執筆され、40ヵ国語以上で出版されたほか、映画の続編も公開されています。
これをきっかけに、Jamesさんは中毒を克服して人生を立て直すことができました。
「Bobは、ぼくの命を救ってくれました。この猫はぼくに友情以上の大切なものを与えてくれたのです。猫のそばにいることで、見失っていた生きるための目標を見つけることができました。とても感謝しています」と彼は話しています。
人々の心にふれた猫
残念なことに、Bobは2020年に14歳で亡くなってしまいました。そのとき悲しみにくれる彼は次のように語っています。
「この猫は非常に多くの人々に出会い、数えきれないほどの人生に触れてきました。Bobのような猫には、もう2度と会えないでしょう。人生の灯が消えたようです。これからもずっと忘れません」
Bobに会いたい方は、ロンドン北部にある等身大のブロンズ像を訪ねることができます。彫刻家のTanya Russellさんが制作したものです。
この像が除幕されたとき、Jamesさんは次のような声明を出しています。
「Bobと同じ時間を共有できたことを、とても感謝しています。人々がこの像を訪れるとき、あるいは単に通り過ぎるときにでもいいのですが、『誰にでも2度目のチャンスがあるし、決して孤独なのではない』ということをぜひ思い出してほしいですね」
出典:
・Street Cat Bob: Statue unveiled to animal that inspired books and films
・A Street Cat Named Bob: Stray who inspired series of books dies