1.本能的な「安全確認」
猫が手を使って水を飲む理由のひとつは、猫のルーツにもヒントがあります。
猫の先祖はリビアヤマネコという砂漠に住む動物ですが、砂漠での給水は、オアシスだけでなく水たまりや雨水を飲まなくてはならないことも多いもの。砂漠の水には泥や砂が混じっていることもあるため、当時のリビアヤマネコは不要なものを飲んでしまわないよう、前足で水をすくって飲むこともあったようです。
現代のイエネコたちは衛生的な水を与えられているので、そんな「安全確認」をする必要はありません。しかし、本能にリビアヤマネコの習慣が残っていて、手で水を飲むことがあるのかもしれませんね。
このタイプの猫の対処法としては、「器の配置場所を変える」のがおすすめです。猫が水を飲むための器は、猫トイレの近くや洗面所の排水口の近くに置くのは避けましょう。
2.たまたま「習慣化」してしまった
水を手で触っているうちに、直接口で飲まずにすくって飲むようになった猫もいます。
猫は水に濡れることを嫌いますが、それは体が濡れて体温調節がきかなくなることを避けたり、シャワーの音が怖かったりという理由が大半です。中には水で遊ぶ猫もいるので、たまたま手で水を飲んだことが習慣化することもあるのです。
特に、猫は動くものに興味を持つ動物なので、水に触れることで静止していた水面が動くと、おもしろいと感じる子もいます。
そんなときには、自動給水器を設置するもおすすめです。
「自動給水器は流水しているので猫が遊んでしまう」と思われがちですが、常に水が動いていることで次第にその光景に慣れ、逆に遊ばなくなる猫もいます。
また、自動給水器の中にも、フタがついたタイプや水量を自動で調節できる商品などさまざまなタイプが開発されているので、いろいろ試してみることをおすすめします。
3.目が悪いから
猫の視力はとても弱く、近くにあるものでも実はあまりよく見えていません。そのため、器の中に入っている水の量を把握しにくい猫もいるようです。
猫が水を飲むときに、水面に顔をゆっくり近づけて、おそるおそる舌をペロペロさせながら水を飲み始めることがあります。それは、「水面の位置の確認作業」という説もあります。同じように、手で水を飲もうとしている動作も、あまりよく見えていないがゆえの水面の位置の確認行動かもしれません。
そのため、愛猫のための給水場所は、できるだけ安心できるように、コンパクトな場所を選んであげましょう。特に背後のスペースが広すぎる場所だと猫は不安になりやすいようですよ。
4.「ヒゲ疲労」によるもの
猫が水を飲むときに、器や水面に「ヒゲ」が接触しやすいものです。猫にとってヒゲは「第6の感覚器」ともいわれ、とても敏感な場所。ヒゲに水があたることで、多大なストレスを感じてしまう猫もいます。これを「ヒゲ疲労」と呼ぶこともあります。
猫が「ヒゲ疲労」を不快に感じると、水の器に顔を近づけて飲むことを避けるようになります。その結果、水を手ですくって飲むようになるというわけです。
近年では「ヒゲが当たりにくい」設計の猫専用食器が売られているので、もしヒゲ披露が原因で手ですくうようになっていたら、愛猫のヒゲが当たりにくいサイズの専用食器を探してみましょう。
まとめ
今回は、猫が「手で水を飲む」ワケについて解説しました。水場がビシャビシャになったりするのには、いくつかの理由があることがわかりましたね。
今回解説した以外にも「もとから水遊びが好き」という猫もいます。たとえば、ベンガルやメインクーンなども水遊びが好きな子が多い傾向があります。
猫が水場で遊ばないように対策をしても、なかなか思うように躾がすすまないことも多いはず。
そんなときは、猫のトイレ用ガードに給水マットや珪藻土マットを敷き、そこに給水ボウルを設置しましょう。「給水ブース」を設置してみる方法もありますのでぜひ諦めずに色々試してみてくださいね。