「猫には危険すぎる魚介類」とは
『猫は魚介類が好き』というイメージがありませんか。実はこのイメージは、生魚を食べる習慣のある日本特有のものなのです。
猫は生粋の肉食動物で、海外では鶏肉を食べるイメージのほうが圧倒的に強いのです。しかも魚介類によっては、猫が食べると健康を害してしまう場合も。
そこで今回は、「猫には危険すぎる魚介類」について解説いたします。誤解したまま誤って猫にはNGな魚介類を与えてしまわぬように確認しておきましょう。
1.アワビ
『猫がアワビを食べると耳が落ちる』という噂があります。これはあながち嘘ではありません。
アワビの内臓に含まれる「クロロフィル」という成分が日光過敏症を引き起こし、皮膚が薄い耳がただれてしまう恐れがあるのです。
また炎症による違和感から、『耳が取れるほど引っ掻く』という行動に出る可能性があることから、『アワビで耳が落ちる』という文言が出回ったのでしょう。
いずれにせよ、アワビが猫の身近にある環境では、猫の誤食に気をつけてください。ちなみに、人間がアワビを食べてもこのような事態にはなりませんので美味しく召し上がってくださいね。
2.生イカ
アワビと同様に、イカにまつわる噂も出回っていると思います。それは、『猫がイカを食べると腰を抜かす』というもの。
これは少々大袈裟な表現になりますが、生のイカを食べると危険なのは事実です。
生のイカには、ビタミンB1を分解するチアミナーゼが含まれています。これがビタミンB1欠乏症を引き起こすとふらつきが出る恐れがあります。
ビタミンB1欠乏症自体は加熱することで防げるのですが、食物アレルギーやその他の病気などの観点を加味すると、猫にイカを与えるのはやめたほうが無難でしょう。
万が一食べてしまった場合、いつもとは異なる行動(歩き方がおかしい・嘔吐や下痢などの消化器症状が出たなど)が見られたら、動物病院を受診しましょう。
3.生エビ
生イカと同じく、生エビにもチアミナーゼが含まれています。少し舐めた程度ではビタミンB1欠乏症には至らないものの、直接食べる習慣が身についてしまうと危険です。
やはり加熱したものであればリスクを回避できますが、アレルギー症状が出てしまう恐れがあるので一切与えないほうが安全です。
ちなみに、チアミナーゼによる中毒症状は、チアミンを投与することで改善することが可能です。ただし対応が遅くなってしまうと治療を行っても命に関わります。万が一、生エビ及び生イカを食べて痙攣や全身麻痺などの症状が出てきた場合は早急に治療を施してもらいましょう。
何となく元気がないなどの症状が見られる場合も、早めに動物病院に相談しておくと安心です。受診するか否かで迷った際は、電話でその旨を伝えると良いでしょう。
まとめ
冒頭でも紹介したように、猫は本来、肉を主食とする動物です。すなわち、魚介類を食べなくても心は満たされます。家猫の場合は、栄養バランスが整った『総合栄養食』と『新鮮な飲み水』があれば必要な栄養素を網羅することが可能なのです。
イカやエビのように加熱すれば食べられるものもありますが、食べる必要性がないことを考慮すると、あえてわざわざ与えなくても良いかもしれませんね。
『アワビを食べると耳が落ちる』『イカを食べると腰を抜かす』という噂に関しては、表現こそ大袈裟になってしまいますが、事実無根というわけでもありません。
魚介類を好んで食べるご家庭では、好奇心旺盛な愛猫に狙われないように気をつけてくださいね。