猫の飼い主さんが知っておくべき「猫に多いがん」5つ 症状や悪性度を解説

猫の飼い主さんが知っておくべき「猫に多いがん」5つ 症状や悪性度を解説

猫は人間と同様に、がんにかかることがあります。特に高齢の猫に多く見られ、飼い主にとっては非常に心配な問題です。この記事では、猫に多いがんの種類や症状、悪性度について詳しく解説します。

SupervisorImage

記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

猫に多い「がん」5種

入院する猫

猫がかかりやすいがんの種類を悪性度が高い順に紹介します。悪性度はがんの攻撃性と転移性に基づいていますが、個々の猫の病状やがんの進行状況によって異なる場合があります。

1.リンパ腫

悪性度が高く、リンパ系全体に急速に広がる可能性があります。猫のリンパ腫は治療が困難であり、特に進行が早いタイプでは、生存率が低いことが多いです。

発生部位は様々で、部位によって型の名前が異なります。わかりやすい兆候ではリンパ節の腫脹なども見られる場合もあります。

2.扁平上皮

このタイプのがんは口内の粘膜などで発生して急速に成長し、周囲の組織に深く浸透することが一般的です。猫の扁平上皮がんは、舌、歯茎、口蓋(口の屋根)などの口の部分や鼻や耳などに見られます。

口内で急速に成長した場合、痛みや食事の困難、体重減少などの症状を引き起こすことがあります。

3.悪性黒色腫

悪性黒色腫は、悪性の腫瘍であるため早期に他の体部への転移を起こす可能性があります。見つかった場合は非常に注意が必要です。

口などの粘膜との境界部や目などによく見られますが、他の部位にも見られる可能性はあります。

4.乳腺腫瘍

乳腺に発生する腫瘍で、乳腺にしこりや腫れが見られます。猫では約90%が悪性で、進行すると、潰瘍や出血が起こることがあります。早期に発見されない場合、他の臓器に転移するリスクが高くなります。

外科的切除が最も一般的な治療法であり、腫瘍が転移する前に行うことが推奨されます。避妊手術を早期に行うことが、乳腺腫瘍発生の予防になるとされています。

5.腎臓腫瘍

発見された場合、進行の速さなどで重大な影響を及ぼす可能性があります。

猫における悪性の腎臓の腫瘍の例として腎細胞がんやリンパ腫などが挙げられます。腎細胞がんは腎臓の細胞から始まるがんで、腎臓の機能障害を引き起こす可能性があります。リンパ腫も血行性やリンパ行性などに腎臓へ転移して発生する可能性があります。

腎臓細胞がんなどの腎臓にできる悪性腫瘍が進行すると、体重減少や食欲不振、嘔吐や血尿などの症状があらわれることがあります。進行すると腎不全を引き起こすこともあります。

がんの症状と見つけ方

猫のごはん

猫のがんは早期に発見することが治療成功の鍵です。しかし、猫は痛みや不調を隠す傾向があるため、飼い主が注意深く観察することが重要です。

以下の症状が見られたら、すぐに動物病院で診察を受けることをおすすめします。

  • 食欲の減退
  • 体重の減少
  • しこりや腫れ
  • 持続的な嘔吐や下痢
  • 異常な出血

猫のがん予防と早期発見

診察を受ける猫

予防と早期発見は、猫の健康を守るために不可欠です。以下のポイントに注意して、猫の健康管理を行いましょう。

また、腫瘍の種類を特定するために、細胞を採取したうえでの検査や組織を採取したうえでの顕微鏡検査が必要であり、しこりに気づいたらまずは速やかに受診をして検査をしてもらうことをおすすめします。

定期的な健康診断

年に一度は動物病院での健康診断を受けることが推奨されます。特に7歳以上の高齢猫は、半年ごとの検診が望ましいです。

適切な食事と運動

バランスの取れた食事と適度な運動は、健康な体作りに役立ちます。肥満は体への負担をかけるため、体重管理が重要です。

早期の避妊・去勢手術

メス猫の場合、早期に避妊手術を行うことで乳腺腫瘍のリスクを大幅に減らすことができます。

日光からの保護

特に白猫や被毛の薄い部分には、紫外線から保護する対策が必要です。紫外線は皮膚への刺激を与えるとされています。室内での生活を促進し、日差しの強い時間帯は外出を控えるようにしましょう。

まとめ

ごきげんな猫

猫のがんは飼い主にとって心配な問題ですが、適切な予防と早期発見、そして迅速な治療で、多くのケースで猫の命を救うことができます。

愛猫の健康を守るために、日々の観察と定期的な健康チェックを欠かさないようにしましょう。

スポンサーリンク