猫のお手入れに「人用のケア用品」を使うのはOK?NG?
多くの飼い主さんが、愛猫にはできるだけ長く元気に暮らしてほしいと願っていることでしょう。
そのためには、日頃のお手入れがとても大切です。身体を常に清潔にしておくことで健康を維持でき、全身を触りながら愛猫を観察することで、ちょっとした異変にも早く気付けるようになるからです。
愛猫のお手入れも私たち人間と同じで、身体を衛生的な状態に保つことが基本です。猫の場合、具体的には「被毛」「身体」「顔周り」「口内」「お尻周り」と「爪切り」です。
それでは、それぞれのお手入れに必要なアイテムについて、人用のケア用品を流用可否について見ていきましょう。
1.被毛のケア
被毛のケアの中心は、ブラッシングです。猫は、肉球と鼻先以外はすべて被毛で覆われているため、セルフグルーミングの際に飲み込む抜け毛の量を減らすことで、毛球症の予防になります。
また、ブラッシングには血行を良くする効果や、被毛に空気の層を作って体温調節をサポートする効果もあります。長毛種と短毛種で、必要なブラシやコームの種類が異なりますので、愛猫の被毛に合わせて適切なものを選びましょう。
人用のブラシや櫛の流用は、基本的にはおすすめできません。ただし、人用でも豚毛などの動物の毛のブラシは流用可能です。
2.身体のケア
人は入浴をして全身の皮脂汚れやホコリなどを落とし、清潔な状態を維持します。猫はセルフグルーミングで全身を清潔な状態に維持できるため、短毛種の猫は基本的にシャンプーは不要です。
長毛種の猫は、抜け毛が被毛に絡まって毛玉を作りやすく、またそれが原因で皮膚が蒸れやすいため、定期的なシャンプーが必要になります。
しかしここで注意しなくてはいけないのは、猫の皮膚のpHは人のpHとは異なる、ということです。つまり、人用のシャンプーは猫の皮膚には合わないのです。
また、猫が舐めるとよくない成分や猫にはきつすぎる香料が使用されていることも多いため、人用のシャンプーは流用せず、必ず猫専用のシャンプーを使用しましょう。
冬に乾燥してひび割れた肉球は、保湿クリームでケアします。その際も、人用ではなく猫専用のクリームを使用しましょう。
3.顔周りのケア
目、耳、鼻などのお手入れには、ぬるま湯で湿らせた人用のガーゼやコットンを使って、目ヤニや涙やけ、耳垢、鼻水などをやさしく拭き取りましょう。
ここで気を付けたいのは、耳のお手入れです。耳のお手入れをする際には、頭から飛び出している耳介の部分のみをケアしてください。
猫の耳道は人と異なりL字型をしているため、綿棒などで耳の穴の中までケアしてしまうと、かえって耳垢を奥の方にためてしまうことになります。猫と人の身体の構造の違いをきちんと把握せずに人間と同じようなケアをしてはいけません。
4.口内のケア
猫の口内は、実はとても歯周病になりやすい環境です。
歯周病は歯肉炎、歯周炎などを引き起こし、悪化すると歯や顎の骨を溶かし、最終的には全身に歯周病菌が感染して大きな病気を引き起こしかねません。そのため、歯磨きは猫にとっても大切なケアのひとつです。
理想は歯ブラシでしっかりと磨くことです。小型でブラシが柔らかい幼児用のものであれば、人用の歯ブラシも流用可能です。歯磨き粉はつけずに、やさしく歯磨きしてあげましょう。
どうしても嫌がってさせてくれない場合は、動物病院に相談し、猫用の歯磨きシートや液体ハミガキで代用することも考えましょう。
5.お尻周りのケア
体調を崩して下痢気味のときなどは、お尻周りの汚れが特に気になるでしょう。その際も、ぬるま湯に湿らせた人用のガーゼやコットンで、やさしく拭いてあげましょう。
ただし、お尻には肛門腺といって、特に強いニオイのする皮脂を分泌する線があるため、猫用のボディシートなどを利用するのもよいでしょう。
6.爪のケア
猫の爪は、古い爪の層が剥がれて鋭利な新しい爪の層が出てくることを繰り返します。爪の先端が鋭利過ぎてしまうだと、フローリングなどの床で滑りやすくなり、足腰の関節に負担がかかったり、爪が伸びすぎて肉球を傷つけたりするため、猫にも爪切りが必要です。
猫の爪の形は人の爪の形と異なるため、人用の爪切りではなく、猫専用の爪切りを使いましょう。
看病・介護用は動物病院に要相談
猫も、病気やケガ、介護が必要になると、飼い主さんがしなければならないケアの種類が増えていきます。
愛猫の状態により、必要なケアの内容はさまざまです。それぞれに、猫専用のケア用品が商品化されていますが、場合によっては人用のものを流用できることも多いです。
愛猫の看護のために、筆者も薬局でワセリン、グリセリン、消毒用アルコール綿などを購入していた時期がありました。
人用を猫に流用する場合は、猫の体質等を考慮する必要があるため、その都度動物病院に相談することをおすすめします。
まとめ
猫用として販売されているケア用品は猫の特徴に合わせて作られているため、安心して使えるものがほとんどです。逆に、人間用に作られたものは猫にとっては刺激が強く悪影響があるものもあるため、猫用のものが存在する場合はそちらを使うようにすべきです。
しかし、なかには人用で代用できるケア用品もあり、猫用のものよりも入手しやすい、というメリットがあるため、代用できるものに限っては獣医と相談しつつ上手に使っていきたいですよね。
「人用のケア用品」はOKなものを上手に代用しながら、こまめに愛猫の健康管理をしていきましょう。