1.薄明薄暮性
猫が早朝に鳴くのは薄明薄暮性である可能性があります。
薄明薄暮性とは明け方(薄明)と夕方(薄暮)に活発になる性質を言います。獲物となる小動物や爬虫類などを狙いやすいのがこの時間帯なので、それに合わせて猫も寝起きします。
そして目が覚めたときになんらかの要求があれば鳴いてアピールします。つまり猫にとってはごく自然な行動なのです。
猫としては飼い主さんが起きて要求に応えてくれないから激しく鳴くのですが、毎朝ともなるとつらいものがありますよね。
2.トイレが汚い
猫はとてもきれい好きなので、汚れたトイレは使いたがりません。猫によってはトイレを使うとすぐに「片付けてー」と飼い主さんにアピールしにきます。
多頭飼いの場合では、自分が使ったときは黙っていて、ほかの猫が使ったときだけアピールする猫もいるようです。
こうしたアピール鳴きであれば、「この時間はまだ人間は活動しないんだよ」と学習してもらうために、あえて無視するのもひとつの方法です。
ただし放置した結果、粗相することが増えたり、トイレを我慢して膀胱炎や尿路結石症などの病気の原因になる可能性もありますので注意が必要です。
3.遊んでほしい・かまってほしい
薄明薄暮性の猫にとって早朝は狩りの時間です。飼い猫の場合は狩りの代わりが遊びですから、早朝に遊びたがるのはあたりまえ。
いつも飼い主さんに遊んでもらっているなら「起きてよう!」とアピールすることになるでしょう。
とくに夜はケージですごす猫の場合は、ケージから出してほしくて鳴くこともあります。縄張りのパトロールをしたい、遊んでほしいといった理由が考えられます。
一方、甘えん坊な性格の猫の場合、飼い主さんにかまってほしくて起こすために鳴くこともあるようです。
これらの場合も、あえて無視することで人間の生活パターンに合わせてもらうのも方法ですが、遊ぶ時間を増やすのも良いでしょう。
しつけをするのが難しいのが猫という生き物ですが、猫に完全に生活パターンを合わせるのではなく、飼い主さんにも負担にならない程度に我慢をしてもらうことも大切です。
4.発情期
避妊・去勢手術を受けていない猫が春先に突然鳴くようになったのであれば、メス猫が発情期を迎えているからかもしれません。
発情期のメス猫は普段より大きな声で鳴きます。一晩中鳴きつづけることもあり、飼い主さんにとっては睡眠不足の原因になるだけでなく、近所迷惑にもなります。
オス猫自身に発情期はありませんが、発情期のメス猫の発するフェロモンを感知して応えるように鳴く場合があります。
メス猫が発情期に鳴くのを避けるには避妊、オス猫がメス猫の発情に応じるように鳴くことを避けるには去勢が必要です。自然の摂理に反することですが、繁殖させる意図がないのであれば、早い段階で避妊・去勢手術を受けさせることをおすすめします。
また避妊・去勢することでさまざまな病気のリスクを回避できるというメリットもあります。
5.ストレス・病気
猫が激しく鳴くのはストレスや病気が原因かもしれません。
たとえば最近引っ越しをした、新しい家族が増えた、近所で工事が始まった、ケージの中が汚れているといったさまざまなストレスから早朝に激しく鳴くこともあります。
ストレスが原因の場合は、ストレスのもとが解消されれば、あるいは状況に慣れれば鳴かなくなります。ただし、なにが問題なのか解消が不可能でも軽減はできないかどうかなどは確認しておく必要があるでしょう。
一方病気が原因で早朝に鳴く可能性もあります。
高齢の猫がかかりやすい甲状腺機能亢進症になると、代謝が過剰に活性化する関係で病的に活動的になるため早朝から鳴いたりします。
また認知症なども鳴く原因になりますし、歳をとって耳が遠くなったために声が大きくなる場合もあります。
病気の場合は早朝に鳴く以外にも症状や行動の異常があらわれているかもしれません。気になるときは動物病院の受診をおすすめします。
まとめ
猫が早朝に鳴く原因はいろいろです。トイレを掃除してほしい、遊んでほしいなどの要求鳴きであれば様子を見る、断固拒否もありえますが、放置しておいてはいけない場合もあります。
とくにストレスや病気で鳴いている場合は急いで対処する必要があるかもしれません。ストレスがもとで病気になったり問題行動につながったりする可能性もありますし、放置しているうちに病状が悪化してしまうこともありえます。
「鳴いていてもほうっておけばあきらめて鳴きやむ」という意見もありますが、まずは猫が鳴く原因を見きわめたうえで、ほうっておかれる猫がつらい思いをしないかどうかも、しっかり考えてから対応を決めましょう。