1.白/黒/白黒
日本では幸運を招くといわれている白・黒の単色の猫。白と黒の2色は「バイカラー」といいます。白黒バイカラーはシンプルにもかかわらず、出てくる模様はとても個性豊かです。
ここでは人気者の白と黒、さらに白黒のパターンを紹介します。
白ネコ
全身が白一色の猫は、内気なタイプが多くやや神経質です。
真っ白な猫は、自然界で目立ってしまい捕食者に襲われやすいことから、警戒心が強くなったためだといわれています。
その分、自分を大切にしてくれる飼い主に対しては甘えん坊になり、すこし独占欲が強い傾向があるようです。
黒ネコ
同じ単色でも、全身真っ黒な猫は、好奇心が旺盛で人間への警戒心も薄い傾向にあります。
狩猟能力が高く、狩りやおもちゃ遊びが大好きです。同時に、場の雰囲気を感じて状況に応じて対応する能力が高ので、飼い主にも上手なつきあい方をしてくれます、
白黒/黒白
白が多く黒い模様があるのは白黒で、黒い毛が少ないとブチとも呼ばれます。白猫のようにやや警戒心が高めです。
黒地に白い模様は黒白と呼ばれます。穏やかで人が好きな子が多いようです。
バイカラー(2色)の猫は、甘えん坊な面と好奇心旺盛な面を持ち合わせているため、室内飼いをする猫の中でもメリハリ付けて飼いやすいタイプです。飼い主がいるときは上手に甘え、お留守中もひとりで上手に遊べます。
2.三毛/サビ
三毛とサビは、同じ遺伝子で茶と黒の配列ができるため、ここでは同じ項目で扱います。三毛もサビも基本はすべてメス猫です。オスが誕生するのは3万分の1とも言われています。
三毛
白い毛のベースに茶色と黒が混ざっている三毛猫。黒い被毛が単色黒の三毛と、シマ模様のはいったシマ三毛がいます。
三毛猫は、気高く、よそよそしく、気まぐれで、まるで女王様なタイプといわれます。これは世界中の猫好きの多くが同意するでしょう。
しかし、実際に三毛を飼っている人は、甘えん坊さんな面をよく知っています。三毛猫が気安く甘えないというイメージが強いのは、三毛の美しさから人間が勝手にイメージしているだけなのかも知れませんね。
サビネコ
別名「トーティシェル(べっ甲)」と呼ばれるサビ猫は、茶色ベースに黒いベールをまとったような複雑な模様をしています。
性格は毛柄のように複雑で、警戒心が高く、気が強くて攻撃的な個体がいる半面、協調性があって飼い主や同居猫に対しても甘えん坊な個体がいるほど両極端です。
基本的には頭がよく、記憶した情報を上手に活用します。たとえば、ごはんの時間や飼い主の車の音、冷蔵庫や戸棚の開閉の仕方まで覚えてしまうかもしれません。
「飼う」というより「一緒に生活する」と考えると、とてもつきあいやすい猫です。
3.茶トラ/チャ白
茶トラの多くはオス猫で、メスが生まれる確率は約2割。三毛やサビのオスと比べると確率は高いものの、圧倒的にオスが多い毛色なのです。
茶トラの猫は、人懐っこくてやさしい明るい性格をしています。若いころは、かなりやんちゃでムキになるような一面もありますが、年を重ねるにつれて温和になるでしょう。
ときどき、臆病な一面を見せるため、環境の変化は注意深く行う必要があります。
茶トラに白が混ざっている茶シロは、賢さや落ち着きが増して、パートナーとして暮らすのに最適です。はじめて猫を飼う人も、チャ白は飼いやすいでしょう。
茶トラやチャ白のメスは、オスと比べるとのんびりした性格をしている傾向があります。
4.キジトラ/キジ白
キジトラのキジは、鳥のキジ(メス)から来ています。こげ茶色ベースに黒いシマ模様があり、毛の一本一本もよく見ると、茶色と黒のシマシマになっています。
この模様は、イエネコの祖先であるリビアヤマネコの毛柄を引き継いでいて、ほかの毛色に比べて、保身的で野性味あふれる性格をしています。
野性的だからといって排他的・攻撃的なわけではありません。リビアヤマネコが人間の生活に近づいてきたように、ほかの猫に対しても社交的な性格をしているのです。
キジトラに白が入るキジ白は、慣れてしまった相手にはとても甘えん坊になります。「遊んで、遊んで」「撫でて、撫でて」と要求が多いこともありますが、一方で身体を拘束される抱っこは嫌う傾向にあります。
5.サバトラ/サバ白
灰色ベースに、黒いシマ模様があるのがサバトラです。セイヨウサバの銀色の体に濃いシマ模様がハッキリ表れているところから「サバトラ(マッカレルタビー)」と名付けられました。
日本に昔からいる猫の毛色には、サバトラの遺伝子はないため、現在見られるサバトラは洋猫の血を引いているといわれています。
サバトラは遊び好きで、人懐っこくて、素直。まるで大きくなっても純粋なこどものような性格です。フレンドリーな欧米の気質を持っているのかもしれませんね。
おなかや足が白くなっているサバ白は、白い毛のないサバトラより、ややプライドが高く、慎重派が多いようです。ややマイペースなところもあります。
猫の性格を決定するもの
猫の毛色・毛柄は見ているだけでも楽しいものですが、このようなバリエーションと性格の結びつきはどのように決められるのでしょうか。
実は、同じ毛色・毛柄であれば、必ずしもそのような性格になるという生物学的な根拠はありません。
これまでにいろんな国で、猫の毛色と性格の研究は行われてきましたが、いずれも研究者や飼い主など人間の主観が大いに反映されているためです。
猫は個体差が大きい動物です。女王気質の三毛猫でも、本当は飼い主に気を使いがちで、常に控えめにしているだけかもしれません。日本では、人懐っこくフレンドリーな茶白も、海外の研究では「ほかの毛色と比べて、臆病で攻撃性が高い」といわれています。
猫の性格は、生まれつきの気質や生育過程、そして飼い主との関係が大きく影響します。過酷な環境で暮らしてきた野良猫が、警戒心が高く、臆病、または攻撃的になってしまうのは理解できるでしょう。
どんな毛色・毛柄の猫でも、良好な環境で生活することで、おだやかで付き合いやすい性格になります。
大切なことは、猫の性格をあまり決めつけずに、そのときどきの猫の在り方を、ありのままに受け入れてあげることでしょう。
まとめ
今回は、猫の毛色5タイプについて解説しました。
猫の毛色は遺伝子によって決まりますが、性格を決定づける要因は多岐に渡ります。
最初は神経質で怒りっぽく攻撃的だった猫でも、飼育環境によってはまったく別の猫になったようにおだやかなのんびり屋さんになることもあるのです。
そのため、猫を飼っている人にとっては、「うんうん、ホントにそう」とうなずける部分と「え?うちの子はそうではないけど」と疑問に思う部分もあったかもしれませんね。
猫の性格や行動は、最終的には、お世話をする人との相性も関係してきます。大きな愛情を持って接していると、どんな子でもつきあいやすい性格になりますよ。