猫(ペット)による火事にご注意を
一般社団法人ペットフード協会の2023年の調査によれば、犬・猫ともに室内飼いが90%以上を占めています。室内飼いを選ぶと、交通事故などの危険は回避できますが、一方で、外出中や飼い主さんが目を離した隙の事故が心配の種です。
製品評価技術基盤機構(以下、NITE)に寄せられた製品事故情報では、2013年度から2022年度までの10年間で、ペットによる事故が61件発生し、そのうち54件が火災につながっています。
なかでも、猫に関するものが最も多く35件で、火災に至ったのは32件です。このデータが示す通り、室内で発生する事故のほとんどが火災に発展しています。
ちなみに、猫による事故の製品別件数は、以下の通りです。
- ガスコンロ 16件
- 配線器具(延長コード、テーブルタップなど) 5件
- IHコンロ電気コンロ 5件
- ストーブ 1件
- 太陽光発電用パワーコンディショナー 3件
- プリンター、ファクシミリ 3件
- その他の電気製品 2件
どれもごく身近にありふれた製品ばかりです。猫による火災は、室内飼いのみなさんにとって遠い出来事ではありません。
火事の原因は「もふもふプッシュ」
人間にとって便利な家電製品も、猫からすれば、ただの日常のひとコマです。ちょうど良い高さなら遠慮なく上り、洗濯機の中のように、居心地が良ければ中にも入ります。
ちょっとしたハプニング程度で済めば笑い話ですが、愛猫や飼い主さんの命まで奪う火災となると、大問題です。
猫による火災で多いのは、ガスコンロなどの「スイッチを知らずに押す」、ファックスなどに「おしっこをかける」、「電源コードをかじる」の3つです。どれも猫の行動特性に沿ったもので、飼い主さんなら一度は目撃したことがある場面かもしれません。
前述したNITEは、事故の原因となるペットの思わぬ行動を「もふもふプッシュ」と総称し、火災事故防止のため、広く飼い主さんに注意を促しています。かわいらしいネーミングですが、一歩間違えれば悲劇です。他人事とはとらえずに、自覚を持って対策しておきましょう。
2つの実例と火災事故防止策について
では、代表的なものを実例で2つ紹介しましょう。
まずは、2014年7月、岐阜で起こった火災事故です。飼い主の外出中、15匹飼っていた猫のうち、誰かがリビングに備え付けられたプリンターの上でおしっこ。機械の内部でトラッキング現象が発生し、出火する要因になりました。
2つ目も同じく2014年8月、大阪で火災事故が起こりました。飼い主が留守の間、室内猫の「もふもふプッシュ」によって、IHコンロのスイッチがオンに。トッププレート上にあった金属製ボウルが加熱された結果、そばにあった可燃物に引火しました。
注目したいのは、どちらとも飼い主さんの留守中に起こった火災事故だということです。しかも、猫の日常行動が引き金になっています。普段の暮らしがいかに危険と隣り合わせであるか、気づかされることでしょう。
猫の行動はむやみにコントロールできません。やはり、飼い主さん自身が愛猫と我が家の安全を守る必要があります。対策として、以下のことに取り組んでみてください。
- 外出中はガスコンロの元栓を閉める(IHコンロの場合は主電源を切る)
- ロック機能を使う
- 留守番時など、目の届かないときはケージに入ってもらう
- 使わない家電製品はコンセントごと抜いておく
- おしっこしそうな場所には家電製品を置かない
まとめ
火事はとても怖いものです。愛猫や飼い主さん、家族、さらに近隣住民まで時に巻き込みます。今回は、猫の何気ない行動が火事の原因になっているケースを紹介しました。具体例を挙げると、「スイッチをオン」、「おしっこする」、「電源コードをかじる」の3つです。
危険はすぐ身近に潜んでいます。最悪の事態を避けるためにも、特に外出中は、ガスコンロの元栓を閉めておくなど、日常的に火事の芽を摘むようにしましょう。