猫の認知症 症状4つ
1.ウロウロ徘徊する
認知症に罹患すると、猫は場所の概念が分からなくなり、目的もなく歩き回る「徘徊」症状があらわれます。
意味もなく部屋中をウロウロしたり、同じところをグルグルしたり、壁や家具にぶつかったり、狭いスキマに入り込もうとしたり。また戸締りがされていないと、外に出てしまうこともあります。
2.無駄に鳴く
認知症になると、猫は理由もなく無駄に鳴くようになります。昼夜を問わず、場所を選ばず、ニャーニャーと大声で鳴き続けるように。
これは認知機能の低下により、自分の居場所が分からなくなって困惑する気持ちが原因だと考えられています。
3.粗相をする
認知症になった猫はトイレの場所や使い方を忘れたり、周囲の状況を理解できなくなってしまい、トイレ以外の場所で排泄することがよくあります。
自分が排泄すべき場所を見失い、いつもの生活環境にも適切に対処できなくなるのです。
粗相をする猫は、部屋のあちこちでお漏らししがちに。家具や壁・自分のベッド・飼い主のヒザのうえといったさまざまな場所に、粗相をすることがあります。
4.飼い主に甘えなくなる
認知症になると飼い主のことがわからなくなったり、飼い主に対する信頼や愛情を感じづらくなることで、飼い主に甘えなくなる猫もいます。
これまで飼い主になついていた愛猫が突然無視するようになり、飼い主の存在自体を忘れてしまったような様子は、心理的な負担となるかもしれません。
しかし飼い主は猫が認知症であることを理解し、愛情を持って接してあげましょう。
猫の認知症の進行を遅らせるためにできることは?
猫の認知症の進行を完全に抑えることや、完治させることは非常に難しく、特効薬もありません。
しかし家庭内でも次のような工夫を実施することで、進行を遅らせたり猫のQOLを向上する効果は期待できます。
環境の整備
認知症の猫は新しい環境に置かれると戸惑いを覚えます。できるだけ自宅の間取りを変更せず、なじみの寝床やトイレ、ごはんの場所は維持しましょう。
そしてトイレが入りやすくなるようにスロープを設置したり、粗相をしてしまう場合はペットシーツを張ることも検討します。
なるべく猫の動線を短くするといった、猫に分かりやすい環境を作ることで、徘徊も少なくなるでしょう。
運動と遊びで脳に刺激を与える
運動や遊びを取り入れて、脳に刺激を与えましょう。おもちゃでひとりで遊ばせるだけでなく、飼い主も一緒に遊び相手になってコミュニケーションをとりながら遊ぶことが大切です。
猫用のおもちゃ以外でも、紙袋やボールなど身近な物で工夫して遊び道具を作っても良いでしょう。猫の興味を引く遊びを通して、脳の活性化を促します。
日光浴をする
日光浴には、体内でビタミンDを生成する働きがあるとされています。そしてこのビタミンDは、認知症の進行抑制の効果も期待できる物質だとか…。
というのも人の場合では、ビタミンDを摂取していた高齢者の認知症診断が、40%少なかったことがわかっているそうです。
猫の認知症とビタミンDの関係は詳しくわかっていませんが、人に効果があるなら猫にも効果があることも否定できません。
さらに日光浴では「幸せホルモン」といわれるセロトニンの分泌が促進され、猫の不安を和らげる効果もあります。実際に猫の認知症の症状緩和のために、セロトニンを使用するケースもあるようです。
このように、日光浴は認知症の進行を抑える手段として役立つと考えられています。浴びすぎはNGですが、1日30分程度は日光浴を取り入れるのもいいでしょう。
ストレスフリーな環境を用意する
認知症の進行を緩やかにするためにも、猫がストレスを感じないような環境を整えることは大切です。安定した日常生活と穏やかな環境を用意してあげましょう。
外出や来客はできるだけ控え、騒音やほかの動物との接触を可能な限り回避するなど。ストレスフリーな環境を提供することで、認知症の進行を遅らせたり、猫の生活の質を向上させることが期待できるでしょう。
サプリメントの利用
DHAやEPAと言った不飽和脂肪酸は人に認知症の予防や症状の緩和に効果が期待されており、猫の認知症でも効果が期待されています。また、抗酸化物質であるビタミンEやポリフェノールも細胞にダメージを与える活性酸素を減らす働きがあります。猫に対して効果があるといったはっきりしたエビデンスはありませんが、猫が嫌がらないのであれば試してみてもよいでしょう。
まとめ
猫の認知症は猫の高齢化に伴い発症率が増加傾向にあって、15歳以上では半数の猫が認知症を患うともいわれています。飼い主にとっても深刻な問題ですが、積極的なケアを行うことで進行を遅らせたり、QOLを維持することも期待できます。
理解と忍耐を持って、猫に愛情をそそぐことも忘れず、認知症をサポートしましょう。