猫の「キャリーバッグ」選びのポイント
猫には特に散歩の必要性がないため、散歩トレーニングもさせないことがほとんどです。しかし、散歩トレーニングをしていない猫だからこそ、外出時にはキャリーバッグが必要になります。懐いていて長時間抱かれたままでいられる猫も、外に出てしまうと怖がってパニック状態になるかもしれません。
車のクラクションや真横を通り過ぎたトラックの大きな音などに驚いた猫は、恐怖のあまりに飼い主さんの腕の中を飛び出して、あっという間に行方不明になってしまうこともあるのです。
また、動物病院に連れて行くときや、自然災害などで同行避難が必要になったときなどには、必ず愛猫をキャリーバッグに入れて移動することが、愛猫を守ることにつながります。
そこで今回は、猫の「キャリーバッグ」選びのポイントについてご紹介します。
1.大きさ
猫は狭くて四方を囲まれた場所にいると落ち着きます。そのため、キャリーバッグの長辺が猫の体長より少し長めのサイズがおすすめです。目安は、猫が伏せられ、中でくるりと方向転換できる広さです。
子猫の成長速度は早いので、成猫になったときのサイズ感を目安に購入しましょう。特に大型種の猫の場合は、大きくて頑丈な製品を探しましょう。
2.使用目的
キャリーバッグを選ぶ際に注意したいのが、使用目的によっておすすめのキャリーバッグの形態も異なるということです。
例えば、動物病院への通院が主目的なのであれば、上部に出入り口のあるキャリーバッグがおすすめです。嫌がる猫の出し入れがしやすく、猫をバッグの中にいれたまま上部の扉から診察や注射ができます。
宿泊や同行避難のために使用する場合は、キャリーバッグがそのまま行き先での猫の居場所になりますので、頑丈で大きさを拡張できるタイプのバッグを選ぶと便利でしょう。
3.移動手段の違い
徒歩の場合は、肩紐のついているソフトタイプのバッグが、便利です。ただし、ソフトタイプのバッグは床面が不安定になるため、老猫などには居心地が悪いでしょう。
舗装道路が多いのなら、カートタイプがおすすめです。バッグの部分を取り外せてカート部分は折り畳める形態だと、待合室でも邪魔になりません。
車や公共交通機関で移動する場合は、人混みや車内での安全確保のため、ハードタイプがおすすめです。それぞれの鉄道会社ごとに、乗せられるバッグの大きさなどが決められていますので、事前に確認してから用意しましょう。
4.猫の性格に合っているか
猫は総じて臆病です。バッグへの出し入れの際に、物音などに驚いて飛び出す事故が多く見られます。そのため、猫の性格やしがちな行動に対応できるキャリーバッグを選ぶことをおすすめします。
バッグの中に飛び出し防止用のリードフックがついているのなら、ハーネスとリードをつけさせて、驚いたときの飛び出し事故を防げます。
通気性を確保するために、側面などにメッシュが施されているバッグが良いです。メッシュ部分に目隠しがついていれば、外の音を弱め、景色を隠せるので、臆病な猫も安心させられるでしょう。
5.安全性・利便性を重視して「猫用」を選ぶ
サイズが合っても、小型犬用を猫に使わせるのはおすすめできません。猫は犬よりもジャンプ力があるため、小型犬によく使われるような、顔を出したまま移動するスリングタイプは、逃走の危険があります。
また、猫は体が柔軟なので、犬用バッグの隙間からすり抜けてしまうこともあります。必ず猫用のバッグを選びましょう。
本来の運搬機能に加え、付加機能の付いた利便性の高いバッグもあります。筆者の場合、毎回動物病院で大量の補液パックや注射器、薬を処方されていたため、カートタイプで収納力の高いものを利用していました。
6.多頭飼育か否か
多頭飼育の場合、避難先の居場所確保のためにも、頭数分のキャリーバッグを用意しておくことをおすすめします。
予防注射などの通院時であれば、大きめのカートタイプを利用することで、1度に複数の猫を病院に連れて行くこともできます。
猫の「キャリーバッグ」のタイプ・種類
猫用の「キャリーバッグ」として販売されているものには、実にさまざまなタイプ・種類が存在します。初めて猫をお迎えする場合には迷ってしまうかもしれません。
愛猫に合ったタイプを正しく選べるように、まずは種類を把握しておきましょう。
ハードタイプ
「ハードタイプ」はその名の通り、硬い素材で作られた、頑丈で耐久性の高いキャリーバッグです。
籐などの素材もありますが、プラスチック製が多く、中には扉の部分に金属が使われているものもあります。重く、また肩掛け紐などがないタイプが多いです。
ソフトタイプ
こちらは布やポリエステルなどの柔らかい素材で作られていて、肩掛け紐のあるタイプが多く、飼い主さんの体にフィットし、軽くて持ち運びしやすいという特徴があります。
ただし、強度や耐久性はハードタイプに劣ります。
リュックタイプ
背中に背負う形態の「リュックタイプ」のキャリーバッグもあります。移動時に、両手が自由に使えることが大きな特徴です。
おなか側にも背負えるタイプなら、移動中でも愛猫の様子を確認できるので安心できます。
カートタイプ
「カートタイプ」のキャリーバッグもあり、乳母車のような形態です。猫を乗せる部分を取り外してキャリーバッグのように使える製品もあります。
通常はカートとして使用するため、重さが気にならないのが特徴です。ただし、道路の状態がぬかるんでいたり、階段のように段差の激しい場所では使用しづらくなります。
まとめ
猫と一緒に移動する場合の必需品となるキャリーバッグですが、最初は怖がってなかなか入ってくれないことが多いです。
また、出かける先が動物病院のみ、という場合は、キャリーバッグを見ると逃げ出すようになることも多いです。
そのため、キャリーバッグを「嫌なもの」と思わせないことが大切です。
日頃から、猫が暮らしている空間にバッグを置いておき、中で遊んだりおやつを食べさせたりすることで、キャリーバッグは楽しい場所だと思わせるようにしましょう。