1.「病院」「爪切り」「歯磨き」
猫は、自分にとって不利益な言葉が大嫌いです。例えば「病院」「爪切り」「歯磨き」などがそれにあたります。
「今日は病院行こうか」などと口にすると、猫がどこかに隠れてしまったという経験がある方もいるかもしれませんね。
これは言葉そのものを理解しているというよりも、飼い主さんが「病院」という言葉を発したあとに怖い場所に連れていかれた記憶があるからです。「パブロフの犬」という心理学の理論と同じように、言葉が条件刺激となって恐怖を感じていると考えられます。
とはいえ、猫の健康のために通院やお手入れは欠かせません。それらの予定があるときは不用意に言葉を発さず、すみやかに行動を起こすようにしましょう。
2.「あの子のほうが賢い!」
「あの子のほうが賢い!」「なんであなたはできないの!」といった、他の猫やペットと比べる言葉もご法度です。比較されていることまで理解していなくても、飼い主さんが自分にネガティブな気持ちを向けていることは感じとれるからです。人と比べられると悲しくなってしまうのは、人間と同じですね。
とくに多頭飼いで暮らす猫は比較されやすい環境にあります。特定の猫に対して必要以上に叱ったり冷たくしたりしてはいないでしょうか。飼い主さんからこのような扱いを受けると、人間や他の猫に対して攻撃的になることもあります。
やんちゃで遊び好きな猫もいれば、窓辺のまったり過ごすのが好きな猫もいます。それぞれの個性を尊重し、平等に愛情を注ぐことが大切です。
3.「嫌い!」「悪い子!」
猫がなかなか言うことを聞いてくれないとき、「もう嫌い!」「本当に悪い子ね!」などと否定的な言葉を発していませんか?そしてそのような言葉を発するとき、あなたはどのような表情と声色をしているでしょうか。それが本心ではなかったとしても、飼い主さんからの露骨な攻撃は猫に伝わっています。
しつけをすることも大切ですが、猫自身を否定する言葉は絶対に口にしてはいけません。また「あっち行って!」というような、猫を拒絶する言葉も同様です。
やってはいけないことを教えるときは、「トイレはここだよ」「遊ぶ場所はここだけだよ」というように、優しく誘導するようにしましょう。
猫は単語を記憶している
そもそもなぜ猫にはネガティブな言葉が伝わるのでしょうか。ある大学が実験したところによると、多くの猫が自分の名前を理解していることが証明されたそうです。また名前の他に、「ごはん」「おやつ」「だめ」などの短い単語も理解できるのだそう。
この実験は、特定の単語に対して猫が反応を示すかを試みたものです。一般の家庭でも、「ごはんだよ」という言葉につられて猫が現れる…なんてことは珍しくないのではないでしょうか。
ただし、猫は飼い主さんの話す言葉をすべて理解しているわけではありません。猫の知能は1歳半〜2歳くらいの子供と同等といわれており、主に表情や声色から相手の喜怒哀楽を感じ取っているようです。つまり、なんとなくの「雰囲気」で言葉のニュアンスを掴んでいるというわけです。
まとめ
喋れない猫が相手だと、イライラに任せてひどい言葉を発してしまうことがあるかもしれません。
しかし、飼い主さんのふとした言葉がきっかけで、猫が心をふさいでしまうこともあるのです。そして一度崩れた信頼関係を元に戻すことはとても困難です。
猫には「大嫌いな言葉」がありますが、反対に大好きな言葉もあります。「大好きだよ」「賢いね」「可愛いね」などの言葉はとても喜ぶでしょう。
愛猫に対しては普段からなるべくポジティブな言葉を使い、たくさんの素敵な思い出を作ってあげてくださいね。