1.「手」を舐めるのは信頼の表現
猫は飼い主の手を舐めることで、関係を再確認しています。つまり、信頼を示す行動です。
猫も人間と同じように社会的な動物なため、ほかの個体と身体的に接触することで、お互いの関係を再確認する習慣があります。
猫同士は鼻をくっつけてニオイを嗅ぎあったりお互いにグルーミングをしたりしますが、人間に対してなぜ「手」なのかというと、人間が猫に触るときには一般的に手を使うからです。
わたしたちは、猫がいると、つい猫の頭や背中を撫でてあげますね。これは、人間にとって触りやすい猫の一部分なためです。
猫にとっては、飼い主の手がとても身近です。そのため、猫は自分が触りやすい部分を舐めることで、飼い主への信頼をたくさん伝えているのです。
2.「足」を舐めるのはニオイを消したいから
猫が足を舐めてくるのは、ニオイを消してしまいたいからです。
飼い主の足も、手のように猫にとって自分の近くにある飼い主の「パーツ」です。しかし、足の場合にはすこし事情が違います。
人間の足は思っているよりも多くの汗をかいています。嗅覚のいい猫は、飼い主の足や履いている靴下のニオイから、飼い主の情報を収集しています。
そして、いつもと違ったニオイのときは、舐め取ってキレイにしようとしているのです。ちょっと、ショックですね。
子猫のうちは、飼い主の足を舐めているうちに楽しくなって、思い切り噛みついてくることもあります。怪我には十分注意してください。
3.「顔」を舐めるのは最大の愛情表現
猫が飼い主の顔を舐めてきたら、最大の愛情表現だと思ってよいでしょう。
肉食である猫の武器は鋭い爪とキバです。相手に対して、急所である自分の頭を近づけることを本能的に避けようとします。
一方、子猫の頃は、母猫に体を舐められることで愛情や安心感を覚えます。特に目や口の周りを舐めてもらうのは、大切にされている愛情であると理解しているのです。
そのため、飼い主の顔を舐めるのは、自分のこどものように大切にしているという最大の愛情表現なのです。
ただし、寝ているときに猫が顔を舐めてくるのは、ごはんの催促や遊びのお誘いなど何か要求があることが多いようです。できるだけはやく起きてあげましょう。
4.「髪の毛」を舐めるのはグルーミングの延長
抱っこしたときや寝ているときに、猫が髪の毛を舐めてくるのはグルーミングの延長です。
猫がグルーミングするのは、ニオイや汚れを除去するためと、自分の唾液に含まれる固有のニオイで自分をまとうためですが、親しい相手を舐めるときも同じ理由が考えられています。
そのため、飼い主の髪の毛にニオイがあればそれを消し去り、できるだけ自分のニオイにしようと一生懸命舐めてくるのです。
特に頭皮からは皮脂が出やすいので、ニオイが気になれば猫は舐めてくるかもしれません。
髪の毛が長い人は、香りが残るヘアケア剤やスタイリング剤を使っていると、猫が舐めてしまいますので、髪に何かつけているときは舐めさせないように注意しましょう。
5.「腕」を舐められたらストレスサインかも
飼い主の腕の内側は柔らかくて、猫が安心して寝たり抱っこされたりできる場所です。猫がうっとりしながら腕を舐めてくるのは問題ありません。
一方、猫はストレスを感じると、自分自身や周りのものや人を舐めて気持ちを落ち着かせようとします。
これは「転嫁行動」という一種の防衛反応ですが、このような状態が原因で舐めてくることもあります。
たとえば、猫が「抱っこされたくない」と感じているのに抱き上げられた場合にも、ベロベロと腕を舐めてくるかもしれません。
暴れて逃げ出す代わりに、相手をなだめて解放をうながすようなイメージです。
もし、猫を抱きかかえているときに腕を舐められたら、猫の様子をよく観察してみてください。
隙を狙うように目を開けたまま舐めていたら、もしかしたら、すぐに降ろしてほしいのかもしれません。
まとめ
今回は、猫が舐めてくる場所別に、猫の気持ちを解説しました。
舐めてくる場所によって意味が違っていることや、猫と人間の体格差によってその場所を舐めるという背景も見えてきました。
猫が飼い主を舐めるのは、基本的に愛情や信頼の表現です。子猫のころに母猫からの愛情を受けた猫ほど、頻繁に飼い主を舐めてくれます。
一方で、「うちの猫はあまり舐めてこない」というケースもあるでしょう。
猫の性格や小さなころに母猫と別れてしまった猫などは、あまり舐めてこないケースもあるかもしれません。
もし、愛猫が舐めてくれないときは、その分、飼い主さんからたくさん撫でて愛情を注いであげてください。いつか猫の方から愛情表現として舐めにきてくれるでしょう。