火災から8日後に猫を発見
スペインのバレンシアで、2024年2月22日に発生した大火災。このとき飼い主に「死んでしまった」とあきらめられていた猫が、焼けた14階建てのアパートの残骸の中で8日間を過ごしたあと、消防士によって無事救出されました。
飼い主のAndrea Rubioさんは、最愛の猫Cocoを抱きしめて泣き崩れました。11階にあるアパートの自宅から2階上のフロアに逃げて潜んでいたのを発見されたCocoは、体中に煙の臭いが残っていたものの、比較的元気な様子でした。
獣医の診察を受けたあと、AndreaさんとパートナーのJavier Fernandezさんは、この猫とともに仮設住宅で暮らすことになっています。
消火用配管の隙間に避難
消防士が公開した写真では、Cocoが消火用設備の内部の隙間に潜んでいる様子が写っています。きっとこの賢い猫は、そこに避難してじっとしていたのでしょう。
消防士たちは、建物の所有者から「もし遺体を見つけたら回収してほしい」と頼まれていました。
アパートがあったのは富裕層が多く住むEl Campaner地区。バレンシア市消防局の広報担当者は、「猫を救出したのは、アパートから持ち物や書類を回収していたときでした。消火用空配管の隙間に潜んでいたのです。引き渡したときの飼い主の喜びようは、例えようもありませんでしたね」と話しています。
多くの命を奪った火災
Andreaさんは火災発生のとき出かけていて、テレビ報道で火事を見た母親からの連絡で、初めて災難を知ったといいます。
「どうやって生き延びたのかは謎ですが、とにかく生きていてくれたことがとてもうれしいです」というAndreaさんです。
今回の火災では、生まれたばかりの赤ちゃん、3歳の男児とその両親の4人家族を含む10人が亡くなっています。また、住人のペット約100匹が死亡したこともわかっています。
集合住宅の外壁材が燃えやすいため、火災が通常より速く広がり、避難が遅れたのではないかという意見もあります。火災の原因については、漏電なども含め、今後さらなる調査が行われることになっています。