猫に多い『膀胱炎』気になる症状や治療法、再発させないための予防法を解説

猫に多い『膀胱炎』気になる症状や治療法、再発させないための予防法を解説

猫の膀胱炎は、再発しやすく、放置したままでいると、命の危険もあります。愛猫のおしっこ時にちょっとした異変を感じたら、膀胱炎のサインかもしれません。健康を守るためにも、飼い主さんが知っておくべきポイントを紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

膀胱炎の症状と原因

トイレと猫

膀胱炎とは、その名の通り、膀胱内に炎症が起こる病気のことです。頻尿や血尿、おしっこ時の痛みのために鳴く、トイレ以外での粗相、などが主な症状としてあります。

膀胱炎には、結石によるもの、細菌感染、特発性膀胱炎の3つの原因があります。

結石とは、尿内のリンやカルシウム、マグネシウムなどのミネラル成分が固まり、尿路(腎臓、尿管、尿道、膀胱)で結晶、結石化したものです。典型的なのは、ストルバイト結石で、若い猫に多いのが特徴。シニア猫でなりやすいのは、シュウ酸カルシウム結石です。

結石ができてしまうと、おしっこのたびに痛くなり、排尿困難に陥ることもあります。とくに、オスの場合は注意が必要です。身体の構造上、尿道が細長いうえにS字に曲がっているため、結石が詰まりがちで、重症化しやすくなっています。

細菌感染は、大腸菌をはじめ、ブドウ球菌、セラチア菌によるもので、尿道の短いメスがなりやすいと言われています。

3つ目の特発性膀胱炎の「特発性」とは、原因がわからない、という意味です。前述した結石や細菌感染以外の理由で膀胱炎になったケースを指します。

要因は、ストレスや肥満など、生活面での問題です。ちなみに、特発性膀胱炎が膀胱炎の大半を占め、主に若い猫に多い症状となっています。

膀胱炎を放置すると、尿道閉塞から腎不全、尿毒症など、命に関わる病気につながります。日頃からおしっこチェックを欠かさず、愛猫の微妙な変化に気づいてあげてください。

原因別の治療法

猫と病院

では、原因に応じた治療法を簡単に確認しておきましょう。

結石による膀胱炎には、薬や療法食で結石を溶かす、あるいは、種類や大きさによって、結石そのものを取り除く外科手術、2通りの治療法があります。

細菌感染については、抗生物質の投与で治療していきます。症状に応じて、止血剤や消炎剤など、あわせて使用することもありますが、ケースバイケースです。

特発性膀胱炎では、結石や細菌感染と違い、原因として考えられる生活上のストレス改善が主な対策となります。トイレのサイズや数、生活音のチェック、一日の水分摂取量などを見直し、さらに、キャットタワーや爪研ぎスポットなど、猫の習性にふさわしい場所を整えることも、広い意味での「治療」です。

再発防止には適度な水分摂取とストレス解消を

猫と水

膀胱炎の特徴は、繰り返しかかりやすいことです。特発性膀胱炎は、一年以内に再発することもあります。何度も愛猫に苦しい思いをさせないためにも、日々、予防対策に取り組みましょう。

いちばん効果的なのは、水分をより多く摂ることです。おしっこの回数が増えるので、腎臓の負担も軽くなります。一日の水分量は、体重1㎏あたり約50mlで、3㎏の猫だと約150mlが目安です。

水を飲んでもらうためには、新鮮な水はもちろん、複数の水場をつくる、ひげが当たらない皿や器を使う、自動給水器を取り入れる、などの工夫が必要です。栄養が偏らない程度に、ウエットフードを活用するのもいいでしょう。

生活面のストレスを減らすことも、膀胱炎には有効です。とくに、特発性膀胱炎は、ストレスの影響が大きいと言われています。愛猫の負担にならないように、トイレの清潔度や配置、数にも気を配り、隠れられるスペースを確保して、快適な環境を用意してあげてください。

結石による膀胱炎は、食事面でのケアも不可欠です。動物病院で尿検査したうえで、ミネラルバランスに配慮したフードを選びましょう。膀胱炎だけでなく、健康全般にも言えることですが、適正体重を維持するため、適度な運動も欠かせません。

まとめ

人と猫砂

猫の膀胱炎は、見過ごしているうちに、腎不全や尿毒症など、危険な病気に進行することもあります。愛猫のおしっこ時に異変がないか、チェックするのも飼い主さんの大切な「仕事」です。

予防対策として、日頃から適度な水分量を摂ってもらい、ストレスのない暮らしを維持しましょう。

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