酷寒の森で出会った猫
退役軍人のAdam Faatzさんは、難病の肺線維症を患っています。しかし、この病気の患者としては初めて、タンザニアのキリマンジャロ山登頂に成功しました。
その偉業を成し遂げたほんの数日後、絶滅危惧種の専門家として活動していた彼は、緊急に助けが必要な生きものに出会うことになったのです。
2024年1月、仲間とともにニューヨーク州にあるHarriman自然公園で猛禽類の巣を記録していた彼に、猫がさかんに鳴いて訴えてきました。気温は零下6.7度。その猫はひどく痩せて衰弱し、ほとんど凍りついている状態でした。
このままではワシの餌に!
「猫は、ぐったりと力なく横たわっており、持ち上げるのは簡単でした。でもわたしが抱くとすぐにゴロゴロと喉を鳴らし始め、とてもかわいらしかったですね。なんとか助けてあげたいと思いました。あのまま放置していたら、凍死してワシの餌になってしまったでしょう」と彼はいいます。
Adamさんは猫をジャケットにくるみ、そのまま約5キロの距離を歩いて車に戻りました。猫はその後Oaklandにある「Ramapo-Bergen Animal Refuge」の施設に運ばれました。獣医の診察で、この猫が「猫免疫不全ウイルス(FIV)」陽性で、栄養失調の影響で衰弱状態にあることがわかったのです。
回復後は飼い主探しを
猫は推定2歳。「Sawyer」と名付けられました。
現在Sawyerは動物保護施設の医療スタッフの看護で健康を取り戻してきており、飼い主探しも検討されています。Ramapo-Bergen Animal Refugeでは、治療のための寄付金も募集しています。
「猫を助けることが正しいことだと感じたので、自分の直観に従いました」とAdamさんはいいます。
「このまま凍死してしまったり、長い時間苦しんだりするのは耐えられなかったのです。猫がわたしを見つめて鳴いたとき、この子には生きようとする意志がある、まだ助かる見込みがあると感じましたね」
「わたしは信心深い人間ではありませんが、病気の自分と猫との出会いは運命だったと感じます。不思議な力が猫をあの森の中に導き、わたしが見つけるようにしたのではないかと思うのです」
出典:North Jersey veteran saves nearly frozen cat found in Harriman State Park