完全肉食の猫に『ヴィーガンフード』は大丈夫?愛猫の健康のために正しく知っておきたいこと

完全肉食の猫に『ヴィーガンフード』は大丈夫?愛猫の健康のために正しく知っておきたいこと

みなさんは何を基準にキャットフードを選んでいますか?やはり、何よりも大事にしたいのは、愛猫の健康です。いろいろ探す中で、ヴィーガンフードという言葉を目にした人もいるかもしれません。慌てて導入する前に、どんなものなのか、いっしょに考えてみましょう。

SupervisorImage

記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

ヴィーガンはベジタリアンの進化形

3つのキャットフードボウル

最近、話題のヴィーガンとは、肉や魚、卵、乳製品など、加工食品を含め、動物由来の食べ物をまったく口にしない考え、ライフスタイルのことです。

ベジタリアンはチーズ、ヨーグルトなどの乳製品や卵は食べるので、ヴィーガンは、より徹底した菜食主義の進化形と言えます。

猫のヴィーガンフードとは、人間の菜食主義をキャットフードにも適用したものです。

大豆やコーン、ポテト、エンドウ豆など、野菜由来の原材料で作られ、動物性タンパク質をいっさい使っていません。その点が、一般的なキャットフードとは大きく異なります。

本来、完全肉食動物である猫にヴィーガンフードを与えてもよいのか、みなさんも疑問に思うかもしれません。次のトピックで、そもそも猫に必要な栄養素とは何か、基本をおさらいしてみましょう。

動物性タンパク質はアミノ酸スコアが高く消化しやすい

動物性タンパク質

猫に必要な6大栄要素は、タンパク質、脂肪、ミネラル、ビタミン、炭水化物、水と言われています。なかでも、極めて重要なのはタンパク質です。

筋肉をはじめ、骨、内臓、被毛、爪など、猫の身体はタンパク質でできている、と言っても過言ではありません。

しかも、猫にとってのタンパク質は、身体の成長や維持だけでなく、エネルギー源でもあります。

そのため、必要量も多く、犬の約3倍、人間の約5~6倍です。

もちろん、植物からもタンパク質は摂れますが、アミノ酸スコアの高さ(食品中のタンパク質と必須アミノ酸のバランスを表す指標。肉や魚は100で、トウモロコシは31)や消化しやすさという面で、動物性タンパク質のほうがはるかに優れています。

効率や身体の負担を考慮すれば、動物からタンパク質を得ることは、猫にとってごく当たり前の食事と言えるわけです。

毎日の食事は愛猫の健康を最優先に

じっと見つめる猫

動物性タンパク質アレルギーの猫は例外として、現時点でのヴィーガンフードは、効果やリスクなど、すべてを解明できているわけではありません。従来のキャットフードに取って代わるまでの信用には達していないのが現状です。

食は健康に直接関わるものなので、安心して口にできるものでない限り、手を出さない。これもまた飼い主さんの務めでしょう。

キャットフードの歴史はまだ浅く、今後も、多種多様な商品、食事法が開発されるかもしれません。そのつど、目新しさに惑わされずに、愛猫ちゃんの健康のために必要なものは何なのかを第一に考え、信頼できる情報をもとに、適切な判断を下すことがとても大切です。

まとめ

猫と野菜

人間と同じように、猫の身体も食べたものでつくられています。そういった意味でも、キャットフード選びはとくに重要です。

人と猫では体の構造が違うことをしっかり認識しましょう。

悩んだり、迷ったりすることも多いかもしれませんが、愛猫ちゃんの健康を守るのは、他でもない飼い主さんの役割です。

さまざまに飛び交う情報を吟味して、「うちの子」にピッタリなものを選ぶようにしてみてください。

スポンサーリンク