「猫の完全室内飼い」ニュージーランドでは30%の飼い主が「反対」

「猫の完全室内飼い」ニュージーランドでは30%の飼い主が「反対」

ニュージーランドの調査で「猫を完全室内飼いするのは反対」という飼い主が30%もいることがわかりました。野生動物の被害を防ぐのに室内飼いは有効ですが、自由に歩き回ってきた飼い猫の生活スタイルを変えるには、人間の意識改革が不可欠なようです。

猫が野生動物の脅威に

野鳥を襲うリンクス

写真はイメージです

近年、自由に出歩く猫が、野鳥などの生き物の脅威になっていることが問題視されています。しかしニュージーランドでは、飼い主の30%が「猫の完全室内飼い」に反対しています。

猫の愛護活動家は「ほとんどの飼い主にとって、猫を室内飼いにするのは現実的ではないし、お金もかかります。避妊手術とマイクロチップの装着に向けて政府が補助金を出すほうが、よい解決策です」と主張しています。

「NZ Cat Foundation」の創立者Anne Batley-Burtonさんは、高齢になった猫を保護する活動を続けています。彼女は「猫は必ずしも捕食動物ではない」と考えています。

「狩りが得意な猫もいれば、日光浴をしながら昼寝するのが好きな猫もいます。それぞれに個性があって、まわりのことを気にしないのが本来の猫なのです」

室内飼いに「反対」または「わからない」が大半

ベランダから顔を出す茶トラ猫

写真はイメージです

ニュージーランドには約120万匹の飼い猫がいます。追跡カメラによる調査では、そうした猫が多くの野生動物を殺していることがわかっています。

「飼い猫には、強い狩猟本能が残っています。そのため、十分な餌をもらっていても、外に出て鳥などの在来種を捕獲するのです」というのは、捕食動物の生態を研究しているHelen Blackieさんです。

また、猫が歩き回ることで、トキソプラズマ症を引き起こす寄生虫の病気も運ぶことになります。

猫の室内飼いについて、飼い主395人に調査した結果は次の通りです。

「現在、室内飼いをしているのは全体の6%」
「17%の飼い主は、今後室内飼いをする可能性があると答えている」
「48%の飼い主は、どちらがいいかわからない」
「30%の飼い主は、室内飼いに反対している」

室内飼いの場合、脱走を防止するために庭を柵で囲んだり、専用の大型ケージ(いわゆる「キャティオ」)を用意したりするなど、多くの工夫が必要になります。

猫のために27種の在来野生動物が絶滅に追い込まれたオーストラリアでは、全国の市で「猫の室内飼い基準」を設けています。

「諸外国では、室内飼いのためのすぐれた指導基準を設けていますが、ニュージーランドは遅れています」というHelenさんです。

政府主導で避妊手術の推進を

治療を受ける猫

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これに対してAnneさんは「交通量の激しい道路近くに住む猫は、すべて室内飼いにすべきです。でもそれ以外の場合は、自由に歩き回らせるのが自然です」と主張しています。

Helenさんは「海外では、猫を室内飼いするほうが、健康が増進するという多くの研究があるのです」と反論します。

Anneさんとボランティアは、約350匹の猫の世話をしています。多くは高齢で、体調を崩している例も多くみられます。

猫の世話には1匹あたり約3千から4千NZドル(およそ27から36万円)もかかり、さらに「猫を引き取ってほしい」という電話が1日10件もかかってくるそうです。彼女は猫がよじ登れない特製の塀を設置しましたが、これには数千ドルもかかりました。

「ふつうの飼い主にとっては、高額すぎて非現実的です。ましてや特別に仕立てた『キャティオ』の設置など、無理な話です」というAnneさんです。

むしろ彼女は、政府主導で避妊手術の無料化やマイクロチップの推奨を進めるべきだと考えています。

「そうすることで、時が経てば猫の数が減っていき、やがて野良猫はほとんどいなくなるでしょう」

Helenさんもこの意見には同意しています。

「避妊手術が進めば、飼い猫が交尾して野良猫を増やすような現象もなくなり、野良猫は減っていきます」

どうやらニュージーランド国内では、「避妊手術を広めることで野良猫を減らす」ことについては多くの人々が同意しているようです。ただ飼い猫を「完全室内飼いする」のは、まだ意見の一致には至っていないようです。

出典:Study reveals 30 percent of New Zealand cat owners oppose keeping them inside despite wildlife harm

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