猫の『チョコによる中毒症状』7選 バレンタインを愛猫と無事に過ごすための注意点も

猫の『チョコによる中毒症状』7選 バレンタインを愛猫と無事に過ごすための注意点も

バレンタインデーは、1年のなかでもとくにチョコレートが身近になる時期です。家族や恋人と過ごす人もいれば、愛猫と一緒に過ごす飼い主さんもいるでしょう。しかし猫にとってチョコレートは、危険で「食べてはいけない食品」であるのを知っていますか。そこで今回は猫のチョコ中毒症状7つと、猫と安全にバレンタインを過ごすための注意点を解説します。猫の飼い主さん必見の内容です。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

猫がチョコを食べてはいけない理由は?

ばってんの指

猫がチョコレートを食べてはいけない理由は、チョコレートに含まれる「テオブロミン」と「カフェイン」という成分の分解・排出能力が人に比べて著しく低く、中毒症状を引き起こしてしまうからです。

テオブロミンは、心拍数や呼吸数を増加させる、興奮や神経過敏を引き起こすなどの作用があり、カフェインもテオブロミンと似たような作用を起こします。

猫の致死量は体重1kgあたりテオブロミンを100~200mgといわれています。一般的なミルクチョコレート1枚(55g)に含まれるテオブロミンの量は約110~150mg程度なので、ミルクチョコを少し食べた程度ではすぐに死に至ることはほぼありません。

しかし高カカオチョコレートの場合、ミルクチョコと比較すると約2.3~4.5倍のテオブロミンが含まれているので、少量でも命に関わるリスクが高くなります。

また、上記の量は50%致死量(LD50)と言って、「摂取した猫が50%の確率で死にいたる量」です。つまり、猫によってはこれよりも少ない量で命を脅かす危険があります。さらに言えば、中毒症状を起こす「中毒量」はこの50%致死量よりはるかに少ないのです。

チョコレートは猫にとっては必要のない食べ物です。バレンタインでチョコが身近にあったとしても、猫におすそ分けはしないでくださいね。

猫がチョコを摂取するとあらわれる中毒症状7選

元気のない猫のイラスト

1.嘔吐

摂取後すぐ~6時間の間に発症。

中毒症状としてよく見られるもののひとつは「嘔吐」です。

猫は生理現象でも嘔吐をするので気づかない飼い主もいますが、茶色くいつもと違うにおいの吐しゃ物が見られたら、まず誤食を疑ってください。

2.下痢

摂取後2時間~12時間の間に発症。

下痢も中毒症状としてよく見られます。普段から下痢をしている猫は少ないと思うので、飼い主も気づきやすいでしょう。

3.興奮

摂取後2時間~6時間の間に発症。

テオブロミンの作用によって中枢神経が刺激されると、猫は興奮状態になります。

瞳孔を見開いたり毛を逆立てたり、どうみても「落ち着きがない」と感じたらチョコの誤食を確認しましょう。

4.多尿

摂取後2時間~12時間の間に発症。

テオブロミンは消化器官や脳だけでなく、腎臓にも悪影響をもたらします。その結果猫に多尿の症状があらわれるのです。いつもよりトイレに行く回数が増えていたり、一回あたりの尿量が増えていたりする場合は注意してください。

5.頻脈・不整脈

時間の経過とともに発症。

テオブロミンが心臓に作用すると、頻脈や不整脈といった症状があらわれます。呼吸が荒かったり元気がないなと思ったら、危険な状態かもしれません。

6.痙攣

時間の経過とともに発症。

テオブロミンが筋肉に作用すると全身が痙攣(けいれん)することもあります。この状態まで中毒症状が悪化するとかなり危険です。すぐに病院に連れてってください。

痙攣が数分でおさまらない場合は、体温が上がりすぎて熱中症を起こしてしまうこともあります。痙攣が止まらない場合は、保冷剤を脇や内股に挟むなどし、体を冷やしながら病院に向かってください。

7.昏睡

時間の経過とともに発症。

毒素が体にまわり長時間たつと、猫はやがて昏睡状態に陥ります。そのままにしておくと短時間で死に至る可能性が高いです。

もちろん早急に病院に連れていきますが、早急に治療を開始しても助けられない可能性もあります。まずは昏睡に至る前に中毒症状に気づけるようにしておきましょう。

なお昏睡に至るまでの時間は、猫の年齢や体質によって異なります。通常よりも早く毒素がまわる猫もいるので、猫の「SOSのサイン」を見落とさないことが大切です。

猫と無事にバレンタインを過ごすためには?

冷蔵庫にチョコパンをしまう女性

猫と無事にバレンタインを過ごすためには、以下のことに注意しましょう。

チョコレートを愛猫の手が届かない場所に保管する

効果的で安全な保存方法は、猫が届かない場所に保存することです。チョコ本体だけでなく、チョコがついたゴミの捨て方にも慎重になりましょう。

チョコに興味のない猫もいれば、好奇心旺盛でとりあえず口に入れてみるという猫もいます。猫は甘みを感じることはできませんが、それでもチョコを食べてしまうこともあります。

そのためチョコは冷蔵庫の中やロック付きの棚にしまったり、ゴミは蓋つきのゴミ箱に捨てるようにしましょう。

チョコレートを食べている愛猫を見かけたら、すぐに取り上げる

もし愛猫がチョコレートを食べていたら、すぐに取り上げましょう。ミルクチョコの場合、少量であれば中毒症状もあらわれず大事に至ることも低いです。

ただしチョコレートを摂取してから時間が経つほど中毒症状があらわれてくる可能性があるので、念のためにも少量であれ動物病院にいきましょう。

万が一に備えてすぐに受診できる病院を確認しておく

万が一に備えて、かかりつけ病院や夜間救急病院の診療時間のチェックをしておくのがベター。もしなにかあっても、すぐに駆けつけられる態勢をとっておくと安心です。

誤食を発見した際は、いかに早く処置を行えるかがポイント。そのため1分でも早く病院に連れて行けるように、準備をしておくのも大切です。

まとめ

チョコを食べる女性と猫

猫にとって、チョコレートは中毒症状を引き起こす危険な食べ物。バレンタインデーはチョコレートが身近になる、とくに注意が必要な時期です。愛猫の健康を守るために、チョコレートの管理は徹底するようにしましょう。

もし今回紹介したような中毒症状があらわれたら、すぐに動物病院に連れていき適切な処置を受けてください。

愛猫とのハッピーバレンタインを過ごすために、飼い主はチョコレートの危険性を知り、対策を取ることが重要です。猫の特性を理解して、安全面に配慮したバレンタインを楽しみましょう。

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