「猫アレルギー」の猫愛好家に朗報!スイスの研究者らがまったく新しい発想のワクチンを開発中

「猫アレルギー」の猫愛好家に朗報!スイスの研究者らがまったく新しい発想のワクチンを開発中

猫の体内に、猫アレルギーを引き起こす物質への抗体を作ることで、人間のアレルギー発症を抑えるワクチンが、間もなく実用化されそうです。商品化されれば、人間にも猫にもよい効果がありそうです。

猫用のワクチンで、人間のアレルギーを防止

ベルトコンベアで運ばれる、製造途中のワクチン

写真はイメージです

猫アレルギーに悩む人には朗報です。スイスの研究者らは、人間に注射や薬を与えなくても効果のある「猫アレルギー・ワクチン」がまもなく実用化されそうだと発表しました。ワクチン開発に取り組んでいるのは、スイスに本拠を置く企業「Saiba Animal Heath」の研究者たちです。

「Journal of Allergy and Clinical Immunology」に掲載された内容によると、研究者たちは猫アレルギーの人々に効果が期待されるワクチンを開発したといいます。

「HypoCat」と名づけられたこのワクチンは、人間ではなく猫に接種するもので、猫の持つ「Fel d 1」と呼ばれるアレルギーを引き起こす物質に反応します。Fel d 1は通常、猫の唾液や皮脂腺に含まれています。

通常のワクチンとは異なり、猫アレルギーを持つ人々の免疫システムに働きかけるのではなく、猫にワクチンを投与してFel d 1に対する抗体を作ることで、猫の体内のアレルギー物質自体を減らし、人間へのアレルギーを引き起こしにくくするものです。これはまったく新しい発想です。

猫にも人間にもメリットが

アレルギー反応によるくしゃみをする女性

写真はイメージです

研究チームは、Fel d 1に対する猫の免疫系を刺激するために、Fel d 1分子と「キュウリ・モザイク病」のウイルスを混ぜて投与しました。

ワクチンを接種した猫は、免疫がFel d 1分子を破壊し、通常の猫よりも人間にアレルギーを引き起こす可能性が低くなることがわかりました。しかもこのワクチンに目立った副作用はないようです。

このワクチンが実用化されるようになれば、人間にとっても猫にとってもメリットが大きいと期待されています。

というのも、全米で4分の1の世帯が猫を飼っているといわれるなかで、猫アレルギーをもつ人は人口の約10%を占めています。とくに子供の場合は、ぜんそくを発症する危険があります。

「飼い主家族にぜんそくなどの慢性疾患を発症するリスクが減れば、猫を泣く泣く手放す必要がなくなり、愛情をもって対応できるようになります。ということは、人間にも猫にもよい効果があるということです」と研究者は述べています。

年内の商品化めざして

ワクチンを打たれる猫

写真はイメージです

現在、猫アレルギーに対する治療法はなく、アレルギーを発症しないよう猫を完全に避けるしかありません。重度のアレルギー症状があって愛猫を手放さざるを得ない人間にとっては辛いことです。実際、人々がペットを手放す理由の第3位が「アレルギーのため」だそうです。

同社CEOのGary Jennings博士は、ワクチンの早急な商品化を望んでいます。

「このデータが公開できて大変うれしく思います。猫が体内につくるFel d 1に結合して中和するワクチンが開発できたことは、大きな前進です」

なおワクチンは2024年内に米国での商品化をめざしています。

出典:Scientists Have Created a Cat-Allergy 'Vaccine'

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