1.骨軟骨異形成
骨軟骨異形成は、スコティッシュフォールドやマンチカンなどがなりやすい遺伝子疾患です。疾患名で分かる通り、軟骨部分になんらかの異常が起こるというもの。骨がうまく成長せず変形してしまうため、関節炎による痛みで座り方がおかしくなります。
おじさんのように両後足を前に投げ出して座る「スコ座り」は、骨軟骨異形成が原因になっているケースもあります。スコティッシュフォールドはもともと骨の形成不全が多いため、他の猫種よりもこのような座り方になりやすいのです。
骨軟骨異形成になると、歩き方に異変があったり、脚を引きずって歩くなどの症状が見られることもあります。「骨瘤(こつりゅう)」といって、コブ状に腫れあがってしまうことも。遺伝性の病気で、治療方法が不明であるため完治することは難しい疾患です。起きる症状に合わせて対症療法を行います。
2.変形性関節症
変形性関節症は、関節軟骨の異常によって関節が変形してしまう疾患です。シニア猫や肥満猫に多く、痛みがあります。関節の痛みをカバーするために座り方を変えているというわけです。
シニア猫や肥満猫の発症が多いとはいえ、外傷や別の疾患などきっかけはさまざま。また骨軟骨異形成と違って猫種に関係なく発症します。とてもゆっくり進行していくため、単なる老化と間違えることも。座り方がおかしいと感じた時点で診察できるとベターです。
変形性関節症の主症状は慢性的な痛みですが、元気がなくなったり排泄障害が起こることもあるので注意しましょう。また座り方が変わらなくても、運動量が減ったりジャンプをためらったりといった変化が見られることもあります。
3.カリシウイルス性関節症
俗にいう「猫風邪」のひとつに、カリシウイルス性感染症というものがあります。主な症状はくしゃみや鼻水、口腔内の水泡などですが、まれに「多発性関節炎」を引き起こすことがあります。カリシウイルス性感染症をきっかけに関節炎を発症すると、痛くて座れなくなるのです。
猫風邪のウイルスは他にもたくさんありますが、その中でもカリシウイルスは感染力が高いと言われています。接触感染はもちろん、空気感染をすることも。成猫では症状が見られないケースもありますが、子猫の場合は重篤な状態に陥ることがあります。
なおカリシウイルス性感染症は、3種以上の混合ワクチンで対策できます。感染を100%防げるわけではありませんが重症化しにくいので、他の感染症とともに予防しておくといいでしょう。
座り方がおかしいときの対処法
猫の座り方がいつもと違う場合は、どんな座り方になっているかチェックしてみてください。何度も座り方を変えているようなら、痛みを感じている可能性が高いです。またお腹を抑えるようにして座っている場合は腹痛かもしれません。
目に見える怪我などのトラブルではなかった場合、自己診断で対処するのは危険です。変な座り方をしている瞬間を写真におさめ、動物病院へ連れていきましょう。疾患ではない可能性ももちろんありますが、万が一の場合は早期発見につながります。
また座り方の変化の他にも、以下のような症状が見られたら診察をおすすめします。
- 触ると嫌がる
- 動きが鈍くなった
- ご飯を食べない
- トイレの失敗が増えた
- うずくまったまま動かない
まとめ
猫が座り方を変えたときは、疾患が隠れている可能性があります。痛みや不快感があるために、いつもと同じ座り方をできないというわけです。痛みが悪化してしまう前に、速やかに動物病院へ連れていきましょう。
また遺伝性疾患のように完治を望めないケースもありますが、痛みを緩和するなど対処療法が可能な場合もあります。病院へ行けば、日常生活で気を付けるべきことを教えてもらえる場合も。老化したからと諦めず、猫のQOLを上げることに努めましょう。