猫のためにできる「ボランティア」
環境省の統計資料によると、2021年4月1日〜2022年3月31日の間に引き取られた猫は、所有者不明も含めて34,805頭、その内殺処分されたのは11,718頭でした。
殺処分の内訳は、治癒の見込みがない病気や攻撃性等で譲渡不適切な猫が4,834頭、譲渡先確保や適切な飼養管理が困難だった猫が3,822頭、運搬や飼養管理中に病気などで死亡した猫が3,062頭でした。
各自治体での取り組みもあり、引取数も殺処分数も年々減少傾向を見せています。しかしその裏には、『民間の動物保護団体などによるボランティアの協力が欠かせない』というのが日本の現状です。
「不幸な猫を増やさないために何かしたい」と考え、寄付や署名活動への参加、寄付金付き物品の購入や保護猫活動関連イベントへの参加等をされている方も多いでしょう。しかし直接ボランティアに参加したいと思いながらも、なかなか踏み出せない方も多いようです。
猫のためのボランティアにも、さまざまな活動内容があります。獣医師や動物看護師、トリマー、トレーナーなどの特別な資格がなくても参加できる「ボランティア」について解説します。
1.シェルタースタッフボランティア
行政機関や民間の保護団体が運営しているシェルター(施設)に保護されている猫のケア、施設・設備等の清掃や維持管理などを行います。
シェルターにより分業制が確立していたり、作業全般を任されたりします。ボランティアといってもさまざまな業種がありますし、希望した作業が出来ない場合もあります。事前に施設ごとの募集要項をよく確認しましょう。
猫の飼育経験だけではなく、シェルターごとのルールを順守できるか、スタッフ間で協力し合えるか等の協調性も重視されます。また、体力を使う作業も多いことを認識しておきましょう。
2.預かりボランティア
シェルターに収容しきれない保護猫を預かり、一時的に自宅で飼養します。預かり期間や一度に預かる頭数は、団体により異なります。
しっかりとした飼育経験や住環境、在宅時間、シェルターからの距離や移動手段、常に連絡が取れることなどの他、定期的な報告など厳しい条件が求められます。
3.ミルクボランティア
生後2ヵ月齢頃までの哺乳期の子猫を預かり、自宅で飼養します。授乳は2〜3時間おきに、そして授乳後は排泄補助も必要など、膨大な作業量になります。
また体力もなく、すぐに体調を崩す時期なので、かなりの飼育スキルも求められます。
4.運搬ボランティア
保護された猫を、保護施設や譲渡先、動物病院、譲渡会場などに運ぶ作業を担います。車両の所有が求められることも多いです。
ただし、保護猫には団体スタッフが同行するケースも多く、飼育経験を問われないケースもあり、飼育に自信のない方も参加できるチャンスだといえます。
5.WEB・SNS・チラシ等の制作および運営ボランティア
保護団体は、トラウマを抱えた猫たちを社会化した上で、適切な里親を見つけ、譲渡し、里親をサポートするまでが仕事です。
その中でも重要なのが、適切な譲渡先を見つけることで、ホームページの立ち上げと運用、SNSでの情報発信、チラシの制作などが必要になります。
デザイナー、プログラマー、コーダーなどの経験者や、関連ソフトを使用できる方は、直接猫の飼育経験がなくてもボランティアに応募できることが多いです。
まとめ
寄付やイベントへの参加と比べると、どうしてもハードルが高くなる「ボランティア」。
しかし、作業内容によっては「これなら!」と思えるものがあったのではないでしょうか。
全国の犬や猫に関するボランティアの募集情報を発信しているサイトなども利用して、背伸びをせずに取り組めそうなボランティア募集がないかを探してみてください。