1.走って逃げる
状況判断が得意な猫が、危険を感じる要因があれば、できるだけ遠ざかろうとすることは自然な行動です。
走って逃げるということは、相手に見つかる可能性が高くなり、逆に危険にさらされることになります。そのため、人に慣れている猫であれば、部屋にちょっとくらい「苦手な人」がいても、走り出さずにソロリソロリとバレないように部屋から出ていきます。
それにもかかわらず、走って逃げていく場合、猫の自己防衛の本能が働いて、すぐにでも安全な場所に避難しようという意思がある証拠です。
このような場合は、猫にとって「ちょっと苦手」では済まないかも知れません。猫を興奮させないために追いかけないように注意しましょう。
2.身を隠す
猫は不安を感じると、身を隠せる場所を探して入り込みます。
息をひそめて敵が去るのをじっと待っているのです。この行動は、猫が自然界では捕食者であるのと同時に、獲物としても狙われる存在だったところから来ています。
部屋の中に完全に身を隠す場所がない場合は、高い場所に登ったり、箱や家具の隙間などに隠れたりすることもあります。このときには、耳が横に倒れた「イカ耳」になっていることでしょう。
もしかしたら猫が隠れているのは、飼い主から見たらすぐにバレてしまう場所かもしれませんが、猫にとっては「かかわらないで!」という強い意味を込めて隠れているのです。しばらくそっとしておくのも選択のひとつです。
3.威嚇する
姿を見た瞬間にしっぽを立て、耳を後ろに倒しながら「シャーッ」と威嚇してきたら、「あっちに行って!」「近づかないで」という猫からの警告です。
逃げられる安全な場所がなく、極度の不安を感じたときに、このように威嚇することがあります。猫がその場のストレスを排除して、身の安全を確保しようとする自然な反応です。
軽い威嚇の中には「困惑」の気持ちを含むため、まだ人慣れしていない保護猫や新しい環境へ移動したばかりの猫には比較的よく見られる態度です。
しかし、唸り声をあげて「カッ」と追い払うような咆哮(ほうこう)をするなら、本気で嫌がっている可能性があります。猫を落ち着かせるためにも、決してこちらから近づかないようにしてください。
4.決死の攻撃
猫は自分に安全な逃げ場がない、あるいは逃げる余地がないと感じた場合は、決死の思いで攻撃をしてくることがあります。
最初の段階では、手で叩き払おうとしてきます。するどい爪を使って相手を痛めつければ、物理的に距離が確保できるからです。
しかし、猫がもう限界と感じた時には、噛みついて攻撃してくることがあります。
猫は肉食獣ならではの尖ったキバを持つ猫に噛まれると、人の皮膚でもポッカリと穴が空くほどの力があります。かなりの出血や痛みを伴いますし、人畜共通感染症などの危険もあるため危険です。
もし、前述した威嚇や唸り声などを聞いたら、すみやかに猫から距離を置く方がよいでしょう。まずは、猫を安心させることが大切です。
猫との仲を取り戻すための改善策
どんなに気分屋と呼ばれる猫であっても、「嫌い」「怖い」などといった強いネガティブな感情を持ってしまうと、猫は自分自身で変えることができません。
猫の態度が病気やケガによるものなどでないなら、人間の方から猫の不安を取り除き、仲を取り戻せる対策を講じましょう。
おだやかに生活する
急にバッと動いたり、大きな音を立てたりしないようにしましょう。物の落下や音楽などにも注意して暮らしましょう。
また、猫は人の声のトーンにも敏感です。できるだけやわらかい声で話しかけると、猫が安心しやすくなります。大きな声での急な呼びかけや話しかけは避けましょう。感情的に叱るのも厳禁です。
猫の個性にもよりますが、繊細な猫にとっては、人間のささいな行動でも脅威に感じることがあるためです。
猫のペースに合わせる
猫と上手につきあう上で大切なことは、猫のペースに合わせることです。
猫の方から近づいてくるまでは、こちらからのふれあいは我慢するようにしましょう。特に猫の警戒心が強いうちは、無理に近づいて触ったりすると余計に嫌われてしまいます。
しかし、猫に無関心でいろというわけではありません。
健康的な猫であれば、どんな猫も本能的な遊びが大好きです。5分〜10分だけでもよいので、毎日時間を決めて、猫じゃらしなどでお誘いしてみましょう。
このルーチンを続けて、いっしょにいると楽しいことがわかってもらえれば、心の距離もグッと縮まるはずです。猫が遊んでも遊ばなくても、最後にはおやつなどご褒美を与えて終わりにするのがポイントです。
猫のボディランゲージを理解する
猫の耳やしっぽの動きは、猫の感情を示す重要なサインです。
もし、次のような姿が見られたら、猫が緊張や不安を感じている可能性があります。
- 耳をうしろに倒す
- 目つきが悪い
- しっぽをパタパタ振る
- 姿勢を低くする
また、猫は精神的にネガティブなときには、安心を確保するためにひとりになりたがるものです。
そのようなときに、特定の人が干渉してくると、猫はその人と不安な状況を結びつけることがあります。そして、これが繰り返されると猫はその人を不安の原因と見なして嫌悪感を抱く可能性があるのです。
特にお迎えしたばかりで家になじんでいない猫は、家族のうちひとりが気を付けていても、ほかの人に問題があると家族全員に嫌悪感を抱くことも考えられます。
猫の特徴をよく観察して猫が交流を望まないときには、適度に放置することも大切です。
まとめ
猫とのコミュニケーションでは、猫の行動や仕草から気持ちを理解することが重要です。
大嫌いな人に対しては、逃げたり隠れたり、場合によっては威嚇や攻撃してくることもあります。これは猫が自分の安全を確保しようとする自己防衛の行動なので、ストレスの原因を特定の人間だと考えている証拠です。
猫との仲を取り戻すためには、猫のペースにあわせて少しずつ安心できる環境を作ってあげるよう心掛けましょう。
また、適度な遊びのルーチンやご褒美は、交流を深める手段となります。猫とのコミュニケーションを通じて、お互いに信頼を築いていくことが重要です。