1.三毛猫
日本猫の代表と言えば「三毛猫」ですね。
白・茶色・黒がハッキリと独立した模様が人気ですが、ほかにキジミケやしま模様の入ったシマミケ、パステルミケなども存在します。
江戸時代末期の浮世絵師・歌川国芳の作品や商売繁盛の招き猫など、三毛猫は古くから日本で親しまれてきました。
しかし、三毛猫が外国で「日本猫」の純血種としての登録は1978年になります。広く知れ渡るようになったのは1960年代ですが、その血統は保存されることなく繁殖し、いまではほとんどが雑種です。
猫の毛柄は遺伝子が起因しているため、三毛猫にオスが生まれることはほとんどありません。賢く、控えめで芯の強い、まさに大和なでしこにふさわしい性格をしているのが三毛猫の特徴です。
2.トラネコ
トラネコと呼ばれる柄は、大きく分けて「キジトラ」「サバトラ」「茶トラ」の3種類です。
イエネコの祖先であるリビアヤマネコは、茶色と黒のしま模様であるキジトラに近いため、トラネコのベースはキジトラだといわれています。
茶トラは遺伝子的にも比較的発生しやすい毛色で、日本にも古くから存在しています。
安土桃山時代、薩摩大名の島津義弘が朝鮮へ出兵したときに、茶トラの猫「ヤス」を連れて行ったという記録も残っています。
茶トラの性格は、明るくて警戒心が薄く、懐きやすい傾向にあるため、日本をはじめ世界中で愛される猫の毛色です。
シルバーグレー色のサバトラは、本来の日本猫には存在せず、高度成長期に外国から持ち込まれた洋猫がキジトラなどと交配して発生したものといわれています。
3.ハチワレ(黒白)
黒白2色の毛色は、日本猫に限らず外国種にも見られる一般的な毛色です。バイカラー(2色)といえば黒と白というほどメジャーな組み合わせです。
黒ベースの遺伝子に、白の遺伝子がひとつ入ると黒白の毛色になり、黒と白の割合は、白毛の遺伝子によって発生の仕方が異なります。
タキシードを着ているような姿や人に対してフレンドリーで活発な性格から、海外でも人気のある毛色です。
黒白の中でも、オデコが八の字のように分かれている毛柄は「ハチワレ」と呼ばれていますね。
漢字の八の字から「末広がりで縁起が良い」とするのは日本ならではの発想ですが、海外でのハチワレは、タキシードを着て、ヘアスタイルを整えたフォーマルな装いをしているという意味で人気です。
4.サビ
サビ猫は、黒と茶色のまだら模様が特徴です。茶色のベースに黒い墨で塗りつぶされるような独特な毛色は、三毛猫の3色の遺伝子の中で白い遺伝子が入らなかったことで生まれます。
全体的に暗い色なので写真を撮っても「映えにくい」一面がありますが、海外ではtortoiseshell(トーティシェル=べっ甲)と呼ばれて人気です。
三毛猫同様、ほとんどがメス猫であることから、警戒心が強く、やや慎重なところがありますが、本質的には賢くて協調性があるため、一度でも飼ったことのある人は、サビ猫の大ファンになってしまうほどです。
毛色も性格もミステリアスなところが、サビ猫の魅力なのでしょう。
5.白ネコ
単色の猫は海外でも人気が高く、特に全身真っ白な猫は人気です。優雅で神秘的なイメージがあり、野生下では目立つことから警戒心が強いなどといわれますが、実は人との距離を上手に保てるので飼い猫には最適だと評判です。
白毛を作る遺伝子は絶対優性といわれ、ひとつでもあれば白い毛を発生させるため、白黒猫、茶白、三毛猫などすべての猫が持っています。
この猫たちの交配が続くと、いつかのタイミングで白一色の猫が誕生するといわれています。
白猫はタイのカオマニーやトルコのターキッシュアンゴラなど外国種にも多いため、日本の白猫が海外でも親しまれるのもうなずけますね。
まとめ
今回、日本猫が毛色だけで分類されていたのには理由があります。
日本猫には、血統のように固定された基準や条件がなく、ほとんどが雑種です。日本猫は短毛が多く、性格も穏やか、比較的長寿であることが指摘されています。
「ジャパニーズ・ボブテイル」という血統種は、あくまでも海外で改良された日本イメージの猫に過ぎません。
数十年前まで外にも猫がいることが一般的だったため、猫を飼っている・いないに関わらず、多くの人たちが猫のいる風景を生活の一部のように親しんできました。
長い間、日本人のかたわらで生活してきた日本猫には、このような日本の治安良さが日本猫の性格形成にも影響し、世界中で親しまれる要因となったのかもしれません。