爪切りは、じっくり時間をかけて…
猫の爪切りは、飼い主にとって大変な作業ですね。いやがって暴れて逃げる猫もいます。でも愛猫が健康で快適に生活していくと同時に、自宅の家具を引っかき傷から守る上でも爪切りは大事です。
このほど米国の研究者が、自宅や保護施設で猫の爪を切る際の「安全なやり方」を発表しました。
カリフォルニア大学デービス校「Animal Welfare Epi Lab」の博士課程で研究中のJennifer Linkさんが、「模範的な猫の爪切り手順」をまとめたのです。
Jenniferさんは5ヵ月前の2023年7月半ばに、この研究を始めました。平日は毎日2時間サクラメントにある動物保護施設を訪れ、70匹以上の猫にこの方法を試してみたのです。
手順はまず、人間が猫の足にさわり、そのあとで肉球周辺をさわります。そのあと肉球をやさしく握るのです。
この時点で猫が抵抗するかどうかを観察し、おとなしくしていれば1本の指の爪をそっと切ります。彼女はこの手順を複数の猫に試してみました。猫が途中でいやがったら、すぐに実験を中止しました。
多くの飼い主が安全な猫の爪切り方法を知らず
「飼い猫の場合、時間の制約を受けずに実験ができます。でも保護猫は、いつ誰かに引き取られるかわからないので、数日以内に終わるよう簡単な手順にする必要がありました。飼い猫は人間と信頼関係を結んでいるので、保護猫よりもストレスが少なく、このやり方が成功しやすいでしょう」
「ただし、ほとんどの飼い主さんは、状況にあわせて行動を変える工夫や、猫の気持ちの読み取り方、ストレスが最小になるよう猫を扱う方法を知らないため、補足的な説明が必要になりますね」と彼女は説明します。
「猫は足を触られるのを嫌がる傾向があり、世話をする人にとって爪切り作業は難しいものです。加えて多くの飼い主さんが、ストレスを最小限にして安全に猫の爪を切る方法を知らないようです」
「このため猫の体を強く拘束してしまいがちです。これで猫も飼い主もいやな経験をして、ケガをしたり、飼い主が猫の健康上大事な爪切りをあきらめてしまったりするのです」
猫のストレスを最小に
もちろん自宅で爪切りをせずに、獣医にやってもらうこともできます。しかしその際も、猫をキャリーに入れたり車で移動したりしてストレスを与えるうえ、不慣れな病院で不安にさせたりする懸念があるのです。
「この研究の目的は、猫のペースに合わせて人間が徐々に足にさわっていって、段階を踏みながら爪切りを成功させることにより、猫のストレスを最小限にして、ケガのないようにすることです」というJenniferさん。
猫の爪を切るときは、飼い主の忍耐と愛情が欠かせないといえそうですね。
出典:Cat Owners Rejoice: Science Can Make Trimming Claws Less Stressful