猫が「八つ当たり」しているときの行動
動物番組やYouTubeなどで、猫が飼い主さんに「八つ当たり」している動画を最近よく目にしますよね。
猫のこのような行動は「転嫁行動」と呼ばれるものなのですが、これはなぜ起きてしまうのでしょうか。人間からすると非常に理不尽にも思えるその行動、猫なりの理由があったりするのでしょうか。
八つ当たりされても、あまりの理不尽さと突然のことで、あまり深く考えずにやり過ごしていた方が少なくないかもしれません。
そこで今回は、猫が「八つ当たり」しているときの行動について解説いたします。
1.猫パンチ
猫が八つ当たりする際の定番の行動は「猫パンチ」です。何かに驚いた時や、他の猫に攻撃された苛立ちを他者にぶつける意味で、怒りのパンチをお見舞いしてきます。
ではなぜ、その人(あるいは猫)が対象になってしまったのでしょうか。
その答えは至ってシンプルです。単に、「その場に居合わせたから」、もしくは「仲裁に入ろうとしたから」です。
実は、猫がこのような理不尽な行動に出てしまうのには理由があります。それは、理性を司る大脳辺縁系の発達が弱いからです。
人間の脳は、大脳辺縁系が大きく育っているため、理性的な行動を取ることができます。しかし、猫の場合はその発達の弱さゆえに、感情をコントロールすることが苦手なのです。
2.激しい威嚇
猫パンチと同様に、猫の八つ当たりの際に多く見られるのが「激しい威嚇」です。しかも八つ当たりのときの威嚇は攻撃の意思が強く、危険を伴います。
理性によって怒りを鎮めることが困難な猫にとって理不尽なのは、むしろ原因となった事柄です。ひとたび沸き起こった怒りは、何かしらの形で吐き出さなければ落ち着くことがないのです。
とばっちりの意味合いが強い威嚇を目撃した際は、目を逸らして静かにその場を去りましょう。
怒りの矛先が他の猫や動物の場合は、衝立になりそうなものを間において注意を逸らします。
3.手足への攻撃
前の章で「八つ当たり」の行動が「威嚇」になった場合、その場を静かに去るようにお伝えしましたが、万が一逃げるタイミングを失った場合、攻撃対象になりやすいのは手足です。人間が咄嗟に逃げようとする際に手足がよく動いてしまうため、思わず噛みつきたくなるのでしょう。
威嚇と同様に、この場合の攻撃もそれなりの威力が予想されますので注意が必要です。
近くに衣類やタオルなどがあれば、猫の顔に被せてください。猫は狭くて暗い場所を好むため、安心感を促すことができます。
4.物に当たる
いわばパニック状態に陥った猫は、興奮状態になります。散々暴れまわった結果、物に当たることもあるでしょう。
猫と暮らす際は時々あることと捉え、破損しては困るもの・怪我につながりそうなものは、そもそも猫の行動範囲に置かないようにしてください。
5.自傷行為
これまではイライラが外に向くケースを紹介してきましたが、内側に向く場合もあります。
いわゆる「自傷行為」に当たるものですが、猫に多いのはしっぽに噛み付く・同じ場所をしきりに舐め続ける・毛をむしるなどの行動です。
自分の身体を自ら攻撃してしまう猫の場合は、その場の怒りだけに留まらず、日頃から強いストレスを抱えている可能性があります。
そのため、何か思いたる節があれば、少しずつ改善していきましょう。不安要素が見つからない場合は、愛猫のにおいのするものを部屋の至る場所に置くと、縄張りの安定につなげることができます。
また、母猫のにおいを模したスプレーをかけることも効果的です。日頃から落ち着きがなくイライラしやすい印象があれば試してみてください。
まとめ
猫の八つ当たり行動から受ける印象は「理不尽」です。しかし、「なぜ」という部分にフォーカスを当ててみると、深い理由が見えてきたと思います。
猫がその場に居合わせた相手に当り散らすのは、脳の機能が関与していました。こればかりは注意しただけでは改善しないでしょう。
日常生活の中で起こり得る自体を予測し、危険物の撤去や安心できる環境作りを心がけてみてください。
万が一の際はその場を立ち去るのが得策です。愛猫をなだめようとはせず、遠くから落ち着く時を待つようにすると安全です。こちらもやはり、日頃からシミュレーションしておくと良いかもしれません。
猫の八つ当たりは正しく理解し、備え、対策することが大切です。上手に向き合っていきましょう。