猫にアルコールが絶対にNGな3つの理由
アルコールが身体に及ぼす仕組みは猫も人も同じですが、身体の代謝機能が人と猫とで異なるため、猫にはアルコールが厳禁だといわれています。その理由は以下の3つです。
1.中枢神経系への影響
アルコールは猫の中枢神経系にも深刻な影響を与えます。
中枢神経とは、脳と脊髄からなる身体の司令塔のようなもので、体の動きや感覚などをコントロールしているところです。
猫がアルコールを摂取すると中枢神経に麻痺が起こり、意識の混濁や失神、異常行動などの症状が表れる可能性があります。
猫の場合は、ほんの少量のアルコールでも、人が強いお酒を一気飲みしたような状態になってしまうのです。
2.呼吸抑制
アルコールによって呼吸を抑制されると呼吸困難となり、猫にとって致命的な影響を与えることがあります。
アルコールには麻酔のような作用があるため、呼吸をコントロールしている中枢にブレーキをかけて呼吸回数が減少してしまいます。
呼吸が一時停止する「チェーンストークス呼吸」や呼吸の完全停止が見られたら、アルコール中毒もかなりの重症です。
3.肝臓への負担
猫は、アルコールを分解する酵素を持っていないため、血液中のアルコールはいつまでも排出されることがありません。
そのため、アルコール中毒を引き起こしやすいのです。
血液中のアルコールは身体中を巡り、脳に影響を与えるだけでなく、心臓、肺、肝臓や腎臓、また血管そのものにも悪影響を及ぼすことになります。
アルコールは微量であっても、猫にとっては厳禁となる最大の理由です。
猫がアルコールを誤飲するとどのような症状が出るか?
猫がアルコールを誤飲してしまうと、以下のような症状が表れる可能性があります。ただし、症状の重さは、摂取した量や濃度、猫の体重によっても異なります。
- 吐き気、嘔吐
- 興奮
- 酩酊状態
- 脱水
- 呼吸異常
- 低体温
- 発作
- 意識喪失
いずれの症状も人がお酒に酔ったときと同じような状態です。
前述したように猫の身体ではアルコールが排出されないため、泥酔した人間の何倍も危険性が高まります。
このような症状が見られたときは、すぐに獣医師のもとで処置を受ける必要があります。適切な治療が行われないと、致命的な結果につながる可能性があります。
猫がアルコールを誤飲したときの対処法
もし愛猫がアルコールを摂取してしまったときには、決して自己判断で無理やり吐かせようとしたり、水や人間用の薬などは飲ませないようにしましょう。
症状が出ているかどうかに関わらず、すぐに動物病院に連絡して指示を仰いでください。
動物病院に連絡するときには、何をどれくらいの量を摂取したかや摂取した時間、現在どのような症状が出ているかを伝えましょう。
注意すべきアルコールは飲料だけではありません。ケーキや蒸しパンにも含まれています。稀かもしれませんが、発酵中で焼き上げる前のパン生地を猫が摂取してしまい、アルコール中毒になったという事例も出ています。
アルコールの場合、誤飲した後も元気にしているからといって大丈夫というわけではありません。体内をアルコールが回って、しばらくして症状が出てくることがあります。十分注意しましょう。
まとめ
この記事では、アルコールが猫にとっていかに危険であるかの理由と対処法を解説しました。
猫が自らアルコールを飲むとは信じられませんが、なかには飼い主が飲むアルコール飲料を一度口にしたことがきっかけで、常習化してしまい死亡に至るケースも目にします。
きっかけとしては、床や食卓にこぼしたアルコール飲料が猫の手足や被毛に付いてしまい、気にして舐めた結果、誤飲するということが考えられます。
猫がテーブルに登ってしまい、うっかりこぼしたお酒を踏んでしまう事故は考えられます。
また、直接飲み物でなくても、お酒入りの料理やお菓子も誤飲の危険があります。猫が好みそうな甘い香りがするものには、特に気を付けましょう。