いつ起こるかわからない「停電」
日本はめったに停電が起きない国だという認識を持っていた方も、東日本大震災の原発事故以降、「停電はいつ起きてもおかしくない」と認識を改められた方が多いのではないでしょうか。
停電の原因は、発電所の問題だけではありません。気候変動により毎年豪雨や台風などによる災害が増えている影響もありますし、送電施設などの老朽化という問題もあります。
愛猫家にとっての心配は、留守中の愛猫の室温管理でしょう。特に寒暖の激しい夏や冬に停電でエアコンが止まってしまうと、愛猫の健康状態が心配になる飼い主さんが多いはずです。
そこで今回は、愛猫に留守番をさせる場合を中心に、猫がいる家での「停電」対策について考えてみたいと思います。
「停電」が起きた時に気をつけるべきポイント
では、実際に「停電」が起きた場合に、猫のいるご家庭で気をつけるべきポイントについて解説します。今一度ご家庭できちんと対策されているか、この機会に確認しておきましょう。
1.室温調整対策
昨今の日本の気温は、夏も冬も暑さや寒さが非常に激しくなってきています。人間ですらその温度差に体調を崩しがちですが、全身を被毛で覆われ、発汗できるのは肉球だけ、犬のように口呼吸もできない猫にとってはますます辛いところ。対策として室温と湿度の適度な調整が不可欠です。
そのように気温差の激しい季節には、自分の留守中も猫のいる部屋のエアコンをつけたままにされる飼い主さんが多いことでしょう。ただしエアコンの大敵は「停電」です。落雷などによる瞬電であっても、停止したエアコンは自動的に再稼働しないからです。
そのため、防寒(断熱)カーテンなどを利用して外気による室温の低下を抑える、あったかグッズなどを活用して室内に暖かい場所を作り出す、いつでも新鮮な水を十分に飲めるようにしておく、というような、電気に頼らない室温調整対策も必ず並行して行っておくことをおすすめします。
2.低温やけどに注意
冬の室温対策では、猫がしっかり暖まることができる場所が必要です。この場合も、エアコンやペット用のヒーターなどの電気製品の利用だけではなく、並行して電気に頼らない防寒対策を行いましょう。
猫は狭くて暗い場所を好みます。そして、1日の大半を寝て過ごします。これらの習性を活かして、寝床に毛布を置いておくなどの、電気を使わずに暖を取れる対策を併用しましょう。
その際、湯たんぽやカイロなどは低温やけどを予防する対策も必要ですので、必ず忘れないようにしましょう。
3.自分で居心地の良い場所を選べるようにしておく
狭いところにも高いところにも自由自在に出入りできる猫は、家の中で最も居心地の良い場所を見つけ出す天才です。
留守番時も、できるだけ猫が自由に過ごせる空間を広く確保しておきましょう。その中に、夏であれば廊下や洗面所、玄関などの涼しい場所、寒さの厳しい冬であればポカポカの日差しがよく当たる暖かい場所に布団などを配置しておきましょう。
4.脱走対策
停電時に通気を良くししたり換気のために窓を開けておく、というような対策をされる飼い主さんもおられるかもしれません。
しかし猫は、窓のほんの少しの隙間をこじ開けて逃げ出してしまうことがあります。換気の際には並行して脱走対策も行うようにしましょう。
5.いざというときのために頼れる人を探しておく
たとえば自分の留守中に自宅エリアで停電が起きてしまった場合、すぐには対応できませんよね。
そのような「いざという時」のために、自分の留守中でも自宅に入って愛猫の世話をしてもらえる人を確保しておくことも大切です。
近くに親戚や信頼できる友人がいない場合は、信頼できるペットシッターを見つけておくと安心できるでしょう。
備えておくと助かる便利グッズ
エアコンは、停電やブレーカーが落ちてしまうと自動的に再稼働させられません。そのため、猫の留守番中だとエアコンが切れた状態が長く続いてしまうことになり、命の危険も。
しかし実は、コンセントとエアコンの間にポータブル電源装置を挟むことで、停電に対する備えが可能となります。こちらはある程度の専門知識が必要となり、また高価なため、どのご家庭でも簡単に備えられるとは限りませんが、専門知識を持つ方に相談をしてみるのも良いでしょう。
電気に頼らないグッズとして、夏向けには涼感素材、冬用には発熱素材等を使ったマットなどは備えておくと助かります。いくつか入手して、愛猫が使ってくれるものをみつけておきましょう。
最近は、電源を使わず水が蒸発する気化熱を利用したペット用の製品なども出てきましたので、機会があれば試してみても良いのではないでしょうか。
まとめ
一昔前まではめったに起こらなかった「停電」ですが、最近は自然災害や送電施設等の老朽化、発電施設の問題などにより、停電が起こる頻度が上がってきていると言われています。
自分の留守中にエアコンなどの電気製品を利用して、愛猫のための温度調整をしているご家庭は少なくありません。しかし停電が起きてしまったら、電気製品だけでの温度調整だと、愛猫の命をも脅かしかねない大きなリスクになってしまいかねません。
また、今回は留守中の状態を想定して解説しましたが、飼い主さんの在宅中でも停電は起きる可能性がありますし、飼い主さんがパニックになってしまうと留守中と同じように愛猫にも危険が及ぶ可能性があります。
愛猫の安全を守るためにも、万が一停電が起きても大丈夫なように、日頃から電気と電気以外の双方の対策を施すように心がけましょう。