毛柄の元祖は「キジトラ柄」だった
今では多種多様な色・柄が見られる猫の被毛ですが、元祖は猫の祖先であるリビアヤマネコが持つ「キジトラ柄」です。
茶色の毛に黒い縞模様・額にMの模様が特徴的な柄で、風景に溶け込んで敵から見つかりにくい色味になっています。
キジトラ模様は「アグーチ(A)」と呼ばれる遺伝子によって1本の毛の中に色の違う層が作り出されることで生じるのですが、ある時にアグーチ遺伝子が突然変異を起こしたことで柄のない単色の猫が生まれました。
その後は単色以外にも突然変異によりキジトラ以外の柄が現れたものの、目を引きやすい柄だと外敵に襲われるなどして淘汰されていってしまいます。
いつしか人間が猫を飼うようになり、外敵から身を隠さなくても生き延びられるようになっていき、現在のように様々な色・柄の猫が増えていったと言われています。
猫の毛柄が決まる仕組みは遺伝子にある
猫の毛色や毛柄は、両親が持っている遺伝子を受け継いだ時の組み合わせによって決まります。
遺伝子にはA、B、C、D、I、O、T、S、Wという9つの種類があり、ひとつの遺伝子においても「優勢」「劣勢」と細かく分かれます。
- A(アグーチ)…1本の毛の中に縞が現れる
- B(ブラック)…毛色を黒くする
- C(カラーポイント)…足や顔など部分的に色を入れる
- D(デンス)…毛色を濃くする
- I(インヒビター)…毛がシルバーになる
- O(オレンジ)…毛色を茶色にする
- T(タビー)…縞模様や斑点が現れる
- S(スポッティング)…白斑が現れる
- W(ホワイト)…毛色を白くする
これらの遺伝子は卵子ごとにそれぞれ違う組み合わせで受け継がれると言われていて、同じ時に生まれた兄弟でも毛柄が違うという現象が起きるのはこのためです。
毛柄と性格に関係がある?
一概に全ての猫が当てはまるとは言えませんが、毛柄による性格の傾向があると言われています。
身近にいる猫の毛柄では、
- キジトラ…警戒心が強く神経質、懐くと甘えん坊
- 茶トラ…温厚で人懐っこい
- 黒猫…好奇心旺盛で気さく
- 白猫…穏やかで大人しい、人見知りをする
- 三毛猫…マイペースでツンデレ
- サビ猫…賢く愛情深い
という特徴があり、目立ちやすい白色を持つ猫は警戒心が強くなりやすいようです。
心を開くまでに時間がかかる子もいて、飼い主としてはちょっぴり寂しく感じてしまいますが…外敵に狙われやすいという弱点を補うためだと思うと仕方ないのかもしれませんね。
まとめ
今回は多種多様な猫の毛柄の決め手について解説しました。
猫の毛柄を決めるのは複雑に組み合わさって遺伝する9つの遺伝子です。現在では単色、縞模様、斑点などさまざまな柄がありますが、元を辿ると猫の祖先であるリビアヤマネコが持つキジトラ柄がルーツとなっています。
遺伝は毛色や毛柄を決めるだけでなく、顔の特徴・毛の長さ・瞳の色・しっぽの形や長さ・体格・性格に至るまで、さまざまなところに影響します。親の猫種によっては遺伝しやすい病気があることも。
よく似ている猫はいたとしても1匹として同じ個体はいないので、それぞれの良さを尊重してたっぷり愛情を注ぎましょう。