食べ過ぎの猫は、体重が増えても栄養が十分に取り込めていないことが判明 米研究者ら発表

食べ過ぎの猫は、体重が増えても栄養が十分に取り込めていないことが判明 米研究者ら発表

米国内の猫の60%が肥満状態だといわれます。太りすぎの状態は、猫の代謝や消化にも悪影響を及ぼし、腸内細菌の変化を招くという研究結果が発表されました。人間同様、猫も適正体重を保つことが大切なようです。

猫はどうやって「肥満」になる?

ぽっちゃり猫さんと体重計

写真はイメージです

「アメリカ人は肥満が多い」といわれますが、これは人間だけの問題ではないようです。2022年のペット肥満報告書「State of U.S. Pet Obesity Report」によると、米国内の猫の60%が「太り気味」や「肥満」の状態です。

肥満になった猫の体には、どんな影響があるのでしょうか。

「これは大問題です。自分で適正体重をキープできる猫も一部にはいますが、大多数は無理です。肥満を避けることで、病気を防いだり発症を遅らせたりできるのですが…」と話すのは、Kelly Swanson教授(動物科学専攻・イリノイ大学栄養科学部の臨時学部長)です。

猫の体重減少については、これまでさまざまな研究が行われてきましたが、体重増加の過程や健康への影響については、ほとんどわかっていません。そこでSwanson教授のグループは、猫が太っていく過程での、代謝や消化の変化を調べることにしたのです。

余分な餌は、体重増を招く

肥満の猫

写真はイメージです

この研究結果は「Journal of Animal Science」誌上で発表されました。11匹のメスの成猫に好きなだけ餌を与え、18週間にわたって観察を続けたのです。

「余分な餌を与えられた猫は、すぐに過体重になりました。体重が増えると、胃腸を食べ物が通過する時間が短くなり、消化効率も低下したのです。餌の量が少ないときは、栄養分を効率よく吸収します。逆に食べる量が増えると、消化器をすぐに通過してしまうため、栄養分が十分に体内に取り込めないのです」とSwanson教授。

「猫の糞の中の微生物叢にも影響がありました。消化力が低下して、吸収されずに体を通過する栄養素が増えたせいでしょう」

腸内細菌のうち、抗菌力のあるビフィズス菌が増えた一方で、コリンセラ菌は減りました。この菌は、繊維質を分解して炎症を抑える物質を作る大切な働きをしています。これは人間の肥満の場合とは正反対の現象です。体内微生物と肥満との関係は、かなり複雑だといえるでしょう。

なお、実験終了後、猫たちには適正体重に戻すための厳しいダイエットが行われました。

減量には飼い主の努力が大切

子猫に餌を与える飼い主

写真はイメージです

猫の体重増加のしくみを完全に理解するには、さらに研究が必要です。しかし教授らは「今回の結果が、将来猫が肥満になるのを防ぐとともに、肥満治療に役立つことを願っています」と話します。

では、すでに肥満状態になった猫にはどう対処したらよいのでしょうか?

「もっとも重要なのは、餌を制限し食べる量を観察することです。おやつや人間の食べ残しなどを与えるときは、総カロリーの10%以内に制限することも大事ですね。運動をさせ、活動的に過ごすのも重要です」と教授。

「減量成功のためには、飼い主の努力や適切な餌・給餌方法、定期的な運動、飼い主とのコミュニケーション、猫の様子を注意深く観察する習慣が欠かせません。大幅な減量が必要な場合は、そのために考案された『処方フード』をお勧めします。気をつけないと、急速な減量は危険です。栄養失調になることもあるからです。獣医とよく相談して、適切な減量計画を立てることがベストですね」

出典:Here's What Happens to Your Cat's Insides When They Overeat 

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