猫のお尻にまつわる危険な病気
1. 肛門嚢炎
肛門嚢炎とは、猫のお尻にある肛門嚢(肛門腺)という器官が炎症を起こしてしまっている状態のことです。肛門嚢は袋状になっており、強い臭いがする分泌物が溜まっています。
通常は便と一緒に分泌物も排出されるのですが、肛門嚢が詰まってしまうと排出されずに溜まり続けることも。そして分泌物が溜まりすぎたり細菌に感染したりした結果、肛門嚢炎になってしまうのです。
肛門嚢炎を予防するには、炎症を引き起こす前に肛門腺しぼりをして分泌物の排出を促す必要があります。基本的に猫に肛門腺しぼりは不要ですが、愛猫が分泌物が溜まりやすい体質をしている場合や、お尻を気にする場合には肛門腺しぼりをしましょう。
2. 肛門嚢破裂
肛門嚢炎が重症化すると、肛門嚢破裂を引き起こす危険性があります。肛門嚢破裂とは、その名の通り肛門嚢が破裂してしまうことで、皮膚に穴が開いて溜まった膿や血が出てくることも多いです。
肛門嚢が破裂すると皮膚を縫合する必要も出てくるので、愛猫に負担をかけないためにも予防を心がけたいですね。肛門嚢が炎症を起こしてしまった時点で、愛猫を動物病院に連れて行き、適切な治療を受けて症状の進行を抑えましょう。
3. 直腸脱
便秘や下痢などの原因で肛門から直腸がはみ出して直腸脱を引き起こすことがあるので注意が必要です。直腸が肛門からはみ出た状態で過ごしていると、損傷したり壊死したりする危険性もあります。
直腸脱の原因となった問題の対策をすることは直腸脱の予防にもつながるので、直腸脱につながり得る下痢や便秘などの問題がないか普段から気を付けて観察しましょう。また愛猫の下痢や便秘が続いている時には、放置せずに早めに動物病院で治療を受けることも大切です。
4. 条虫症
条虫症とは、瓜実条虫などの寄生虫が原因で引き起こされる感染症です。条虫に寄生されるとお尻に違和感や痒みが出ることがあるので、猫が頻繁にお尻を舐めたり地面にこすりつけたりしている時は要注意。また寄生虫の量が多い場合は、下痢や血便といった症状が出ることもあります。
条虫症の予防としては、瓜実条虫の感染源であるノミの予防・駆除を徹底することやネズミやカエルなど外にいる生き物と猫を接触させないことなどが効果的です。また子猫をお家に迎えた時や外で暮らしていた猫を保護した時には、糞便検査をして寄生虫がいないかどうかチェックすることも重要ですよ。
猫のお尻をチェックするポイント
猫のお尻のトラブルの有無をチェックする際は、汚れやにおいなどの異常がないかどうかがポイントです。お尻が汚れている場合は炎症の原因になるので、すぐに綺麗にしてあげましょう。においが気になる場合は、肛門嚢炎や肛門嚢破裂の疑いがあります。
また猫の仕草から、お尻のトラブルに気づけることも多いです。猫がお尻を気にして舐めていたり、お尻を床にすりつけて歩いていたりする時はお尻に違和感があるサイン。お尻にまつわる病気の可能性を考えて、愛猫のお尻の状態をチェックしてみてください。
肛門嚢のトラブルが疑われる場合でも、飼い主さんの自己判断で肛門腺しぼりをするのはおすすめできません。お尻ではなく、泌尿器や生殖器のトラブルがにおいや違和感の原因になっている可能性もあるため、まずは動物病院で相談するとよいでしょう。
まとめ
愛猫の健康を守るうえで、お尻に異常がないかどうかをチェックすることは大切です。「最近お尻がくさい気がする…」「お尻を舐めている姿をよく見るな」など気になる点があるのなら、早めに動物病院で診察を受けましょう。
また日頃から愛猫のお尻を清潔に保つことや、下痢や便秘を予防して健康的なウンチが出るようにすることもポイントですよ。