大勢の猫たちと暮らす毎日
英国ウェールズ中部に住むKaren Smyさんと娘のLauren Sheldrickさんは、熱心な動物愛護活動家。自宅で小規模な保護施設を運営しています。2人の家には70匹の保護猫が暮らしており、「人間社会で疲弊した精神も、猫たちのお陰で救われます」と話します。
でも保護する猫が増えるにつれ、家じゅうに猫たちがあふれるほどになってきました。
元保育士のKarenさん(56歳)はいいます。
「うちにはいつも複数の猫がいました。でも現在は60匹もの保護猫と、娘の飼っている猫8匹、わたしの猫10匹がいます」
家にいる猫はみんな名前がつけられていて、それぞれに個性があります。2人はどの猫も、たちどころに区別できるといいます。
「猫たちは外に逃げたり引き出しに隠れたり、バルコニーからジャンプしたりします。食べ物を見つければ盗み食いもします。でもレーザーポインターで遊んであげると、大喜びで追いかけてくるので、すごく愉快ですよ」とKarenさん。
「部屋でぼんやりテレビを見ていると、侵入してきたネズミをくわえている猫を見つけて、あわてて追いかけ回すこともあります」
ロックダウン後、捨てられる猫が急増
この保護施設は2017年に始まりました。近隣には引き取り手のない猫が多く、Karenさんに相談してくる人々がいたからです。そのうちに猫を持ち込む人が押し寄せてくるようになり、自宅で預かることになってしまったといいます。
猫たちの餌やトイレの処理に、1日135ポンド(2万5千円弱)かかります。なかには処方された特別食が必要な猫もいるので、さらに経費はかさみます。
これに加え、オス猫の去勢費用が1匹45ポンド(約8千円)、メス猫は78ポンド(1万4千円)必要です。すべての猫にワクチンを2回接種するのですが、費用は1回63ポンド(1万1千500円)になります。
猫が増えた背景について、Karenさんはこう語ります。
「ロックダウンのときに飼い始めたペットを、忙しくなって世話ができない上に、生活苦のために餌代も厳しくなり、捨てる人が多いのです。しかも獣医の費用も上がり、餌代も以前の2倍になりました。子猫時代はかわいいものの、猫は成長します。お金もかかります。猫を育てるのにはいろいろ困難も伴うのです。これまで英国人は動物好きといわれてきましたが、状況は悪くなってきていますよ」
猫への愛情が活動のエネルギー
2人は深夜に就寝しますが、数時間ほどで起床し、すぐに餌やりや掃除を始めるのです。
「これだけ猫がいると、ひどく大変な仕事です」という彼女。朝に餌やりをして、少し書類仕事をすると、すぐに家中の掃除をする毎日です。
「すべてやり終えると、もう午後2時。それからまた餌やりと掃除の繰り返しです。でもわたしたちが選んだ道ですからね」とLaurenさん。
2人のエネルギーの源は、猫たちが与えてくれる幸せな気持ちです。疲れやお金の心配も、猫がもたらす喜びには代えられないそうです。
資金集めの活動も大変ですが、「TikTok」上で愛猫家が寄付をしてくれるので、助かっているといいます。
「地球の裏側に住む人々まで、熱心に寄付をしてくれたりします。すばらしいことです」というLaurenさん。
「猫の立場を表明し、主張する人間が絶対に必要です。そのためにわたしたちはがんばっています。この子たちを受け入れなかったら、だれが救ってくれるというのですか? 猫への愛情が活動のエネルギーです。死ぬまで続けますよ」と、2人は決意を語ってくれました。