1.複雑な構造だから
猫の尻尾は、思った以上に複雑な作りになっています。まず、尻尾そのものを支える骨は、一般的に18~26個ほどの骨で構成されています。これは「尾椎(びつい)」と呼ばれる骨で、1本1本の長さは約1cm前後、骨の数は尻尾の長さにより個体差があります。
そんな尾椎の周りには、数種類の筋肉があります。それぞれの尾椎にあり「くねり」という繊細な動きをする「尾横突間筋(びおうとつかんきん)」や、尻尾を体の下に巻き込む動作をする「直腸尾筋(ちょくちょうびきん)」など、実に繊細な作りになっているのです。
猫は、人間のように自分の体の構造を把握することはできません。しかしこそれだけ複雑な造りであることを、本能ベースで感じるのは当然ですよね。猫の尻尾は繊細なつくりをしているだけに、触られたくないのでしょう。
2.尻尾の先まで神経が通っている
猫の尻尾は、ゆらゆらしたり、ピーンと立ったり、パタパタさせたりなど、さまざまな動きをするものです。
先述した「尾椎」に関しては、根本が太く先端にいくにあたり細くなりますが、神経は先端までしっかり通っています。そんな猫の尻尾を動かしているのは「尾骨神経」といって、尻尾の全体に分布。骨盤神経や下腹神経、陰部神経とつながっています。
尻尾が動く仕組みとしては、尾骨神経が脳から指令を受けて、筋肉や尾椎に伝わり、意思に応じてしっぽが動くというものです。
猫のしっぽは柔軟に見えても、ひっぱったり踏んだりダメージを与えてしまうと、尾骨神経が損傷してしまいます。特に付け根の部分で他の重要な神経とつながっているため、尾骨神経が正常に機能しなくなることで、歩行や非尿排便など、様々な障害リスクが高くなります。
猫にとって、尻尾はとても敏感な部位。触り方しだいでは痛みを感じることもあるので、尻尾を触られると怒る猫が多いのです。
3.バランスをとる為の大切なパーツだから
猫の尻尾には「バランスをとる」という役割があります。猫はとてもバランス感覚に優れた動物ですが、実は尻尾もそのひと役を担っているのです。
例えば、高い壁の上でも落ちることなく寝ていたり、壁の上を平然と歩いたり、狭いところをぶつからずにスマートに歩行できるなどは、猫のバランス感覚のたまもの。このバランスをとるために、猫は尻尾を左右に動かすのです。
このように、猫にとって尻尾はバランスをとる為の大切なパーツなのです。すなわち、生きるために必要なものでもあるので、むやみに触られたら怒る猫が多いのもうなずけますね。
まとめ
このように整理してみると、「尻尾を触る」と愛猫が怒るのには、今回ご紹介したような理由があるのも頷けますね。
猫の尻尾は人間に置き換えてみると、「繊細で壊れやすいもの」「触られると痛いもの」「行動するために必要不可欠なもの」なので、他人に安易に触られるのは不快ですよね。
とはいえ、猫の尻尾は「触られたくない」という猫の気持ちに反して、とてもキュートな見た目なのでつい触りたくなる誘惑にかられてしまうものです。しかし、そこは猫の立場になってグッとこらえてあげることをおすすめします。