猫が死んだフリをするのはどんなとき?
犬が芸で死んだフリをするのはよく知られています。またオポッサムなどの動物や昆虫類は本能的な防御行動として「擬死行動(死んだフリ)」をします。簡単に言うと死んだフリをしてピンチをやり過ごそうとしているのです。
「じゃ、猫は?」と思いますよね。猫は明確に「死んだフリ」はしませんが、極度の緊張や恐怖、驚きを感じたときに固まって動作が止まってしまうことがあります。
逆に突然脱力して倒れてしまうことも。そのような状況から死んだフリをしていると思われることがあるようです。
では猫はどのような理由や状況で、死んだフリと言われる行動をするのでしょうか?詳しく紹介していきます。
1.強い驚きや緊張、恐怖からの警戒性徐脈
猫は自分では対応できないほどの驚きや緊張、恐怖を感じたときに、以下のような反応をします。
- 固まって動きを止める
- 一時的に脱力する
その際におこる自律神経のスイッチングのことを「警戒性徐脈」と言います。天敵に狙われるなどの危機的状況で、動きを止めて存在感を消し、やり過ごそうとする防御反応の一種です。
急に倒れ込んで動かなくなることもあるため、死んだフリをしているように見える場合もあるでしょう。
たとえば猫が車のヘッドライトに照らされて固まる、動物病院の診察台の上で動かなくなるなども緊張や恐怖による警戒性徐脈の可能性が考えられます。
2.突然脱力してしまう情動脱力発作
「情動脱力発作」は「カタプレキシー」とも呼ばれ、突然全身が脱力して動けなくなってしまう現象です。目を開けた状態で意識を保ったまま突然床に突っ伏して倒れます。
突然脱力して突っ伏してしまう状態が死んだフリのように見えてしまうことがあるようです。
てんかんと間違われることもあるようですが、大きな違いはてんかんのように痙攣をしたり、体を硬直させたりしない点です。
情動脱力発作は全身が脱力するのが特徴で、暮らしの中の何気ない行動が引き金になったりします。
通常は後遺症もなく、数十秒ほどで回復することが多いですが、程度により個体差があります。
原因としては、自己免疫疾患、神経系の不具合、遺伝などが考えられているようですが、なぜおこるのか明確なところはわかっていません。
3.芸で死んだフリをする猫もいる
動画サイトでは、犬のように死んだフリを披露してくれる芸達者な猫たちが見られます。
飼い主さんに「バーン!」と撃たれて首の力を抜いて、倒れ込んで動かなくなる猫や倒れたあとしばらく体を揺すっても脱力した状態で身じろぎひとつしない猫までいるのですから驚きです。
猫に芸を教えるのはむずかしいと思うのですが、いったいどうやって教えたのでしょうか?興味がありますよね。
まとめ
猫は、意図的に死んだフリをすることはないようです。しかし強い驚きや恐怖を感じたり、ピンチになったりすると、突然動きを止めたり、脱力したりする場合があります。そのような状況から「猫が死んだフリをしている」と思われていることが考えられます。
一見するとコミカルにも見えるかもしれませんが、猫にとっては窮地に立たされ、極度のストレスを感じている可能性が否定できません。原因がはっきりしている場合は対策を検討しましょう。
また突然脱力する場合や頻度が多い場合は、病的な異常である疑いがあるため、獣医師に相談することをおすすめします。